04認知症コラム
統合失調症と認知症の違いは?
見分け方や併発するとどうなるかも解説
2026.02.27
統合失調症と認知症は似ている部分もありますが、統合失調症が心の病気であるのに対し、認知症は脳の病気で、治療法もまったく異なります。統合失調症と認知症の違いや見分け方、併発した際の問題などについてまとめました。家族の対応法についても解説するので、ぜひチェックしてください。
統合失調症と認知症の違い-見分け方は?
統合失調症と認知症は似ている部分もありますが、実際はまったく異なる病気です。正確に見分けるためにも、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
| 項目 | 統合失調症 | 認知症 |
|---|---|---|
| 病気の性質 | 心の病気 | 脳の病気 |
| 主な 発症年齢 |
10〜30代 | 65歳以上 |
| もの忘れの程度 | 軽い (注意力が落ちる程度) |
重い (ついさっきのことを忘れる) |
| 症状の 日内変動 |
あまり変わらない | 変わりやすい |
| 進行性 | 治療で改善・安定できる | 徐々に悪化していく |
統合失調症とは
統合失調症は、気持ちや考えがうまくまとまりにくくなる心の病気です。ドーパミンなどの脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで起こるとされています。
中年期以降に発症することもありますが、10~30代の若い世代に発症しやすく、人口全体の約100人に1人は罹患しているといわれています。幻覚や妄想、思考の混乱、気力や表情の喪失、人との関わりを避けるなどが主な症状です。
参考:厚生労働省「統合失調症」
- 統合失調症の症状の例
-
- 幻聴が聞こえる
- 被害妄想や関係妄想(何でも自分に関係があると思い込むこと)などが強くなる
- 話が途切れる、関係のない話題に脱線する
- 身の回りに構わなくなる
- 喜怒哀楽がなくなる
認知症とは
認知症は、脳の神経細胞の働きが変化し、認知機能が低下する病気です。65歳以上の高齢者に多く、認知症と軽度認知障害(認知症の前段階と考えられる状態)を合わせると高齢者の3人に1人は認知機能に関わる症状を有しているとされます。
認知症には、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症などの種類があり、患者全体の約3分の1はアルツハイマー型認知症です。また、記憶障害を伴うことが多く、もの忘れや判断力・理解力の低下といった症状が見られることがあります。
- 認知症の症状の例
-
- 同じことを何度も言ったり尋ねたりする
- 料理や計算などのミスが増える
- 慣れている道を迷う
- 些細なことで怒る
- 外出のときに何度も荷物をチェックするなど、不安が強くなる
統合失調症と認知症が間違われやすい3つの理由
統合失調症と認知症は似ている症状も多く、間違われることも少なくありません。2つの病気に共通して見られる症状を紹介します。
統合失調症の認知機能障害が認知症に似ているため 高齢発症の統合失調症が認知症に似ているため 認知症のBPSD(周辺症状)が統合失調症に似ているため
統合失調症の認知機能障害が認知症に似ているため
統合失調症と認知症のいずれも、注意力や判断力の低下といった認知機能の低下に起因する症状が見られることがあります。また、会話にまとまりがなくなる、作業を長時間続けることが難しくなるケースも少なくありません。
ただし、統合失調症で記憶障害が見られる場合も、重症度は軽度であることが多いです。ついさっきしたことを忘れるといった症状が見られるときは、統合失調症ではなく認知症の可能性があります。
高齢発症の統合失調症が認知症に似ているため
高齢発症の統合失調症(40歳以降)は認知症と見分けにくく、専門診断が必要です。遅発性統合失調症の発症年齢は65歳前後にも及び、認知症発症と重なります。高齢者に幻覚・妄想が見られると、認知症の周辺症状(BSPD)と判断されやすいためです。発症年齢だけでは区別できません。
認知症のBPSD(周辺症状)が統合失調症に似ているため
認知症で見られるBPSD(周辺症状)は、統合失調症の幻覚や妄想と非常に似ており、症状だけでは区別がつきにくい状況が生まれます。とくにレビー小体型認知症に特徴的な幻視は、統合失調症の幻覚と誤解されやすい代表例です。
認知症患者の約8割にBPSDが見られるとされ、夜間に悪化する「日内変動」がある場合はレビー小体型認知症の可能性が高まります。症状の重なりが多いため、認知機能検査や脳画像など複数の情報を組み合わせた診断が欠かせません。
統合失調症と認知症の関係
統合失調症を発症している人は認知症発症リスクが
2.5倍高いという研究結果がある
統合失調症のある人は、認知症を発症するリスクが一般人口より高いことが、複数の長期研究で示されています。年齢などの要因を調整した分析でも、統合失調症患者の認知症発症リスクはおよそ2〜2.5倍とされ、明確な関連が指摘されています。
発症時期は高齢期に集中する傾向があり、とくに血管性認知症との関連が報告されています。こうした研究結果から、統合失調症と認知症の間には無視できない関係があると考えられています。
- 統合失調症に関連して認知症リスクを高める可能性がある要因
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- 病気の経過が長期化する
→加齢以上に認知機能が落ちやすくなる - 糖尿病や高血圧など生活習慣病を合併しやすい
→脳血管性認知症につながる - 長期入院や社会的孤立が続く
→認知機能がさらに低下しやすい
- 病気の経過が長期化する
統合失調症と認知症が合併するとどうなる?
統合失調症と認知症が併発するケースもあります。同時に症状が生じているときの問題点について見ていきましょう。
症状の見分け方が難しくなる
統合失調症と認知症には共通する症状が多く、症状だけでは区別がつきにくい状況が生まれます。幻覚や妄想、記憶障害、注意力の低下といった特徴はどちらの病気でも見られるため、診断の精度が下がりやすくなります。こうした重なりによって誤診や治療の遅れにつながる恐れがあるため、慎重な評価が欠かせません。
治療・ケアの方針が複雑になる
統合失調症と認知症では治療やケアの方向性が大きく異なるため、両方が合併すると方針の調整が複雑になります。薬物療法を行う際も使用する薬が異なり、副作用や相互作用に配慮しながら慎重に管理する必要があります。さらに、認知症では介護が必要になるケースが多いため、医療と介護の両面で多職種が連携しながら支える体制が欠かせません。
家族の介護負担が増大する
統合失調症と認知症が同時に進行すると、精神症状と認知症状の両方に対応する必要が生じ、家族の介護負担が大きくなります。徘徊などの問題行動や再発の兆しに備えるため、日常生活の支援は複雑化しやすい状況です。
こうした負担を家族だけで抱えるのは難しいため、自治体窓口やケアマネジャーに相談し、利用できる支援制度を積極的に活用することが欠かせません。
統合失調症と認知症の治療法
統合失調症は回復可能な病気です。基本的には薬物療法で治療を進めていき、早期治療で社会復帰も期待できます。
一方、認知症は進行性の病気です。薬物療法と非薬物療法を組み合わせることで進行スピードを遅らせることはできますが、完全に進行を止めることは現在できません。
統合失調症も認知症も、いずれも家族の理解とサポートを得ることが必要です。また、専門医と連携し、治療を継続的に受けることも大切なポイントといえます。
| 項目 | 統合失調症 | 認知症 |
|---|---|---|
| 治療の目標 | ・症状の改善・寛解 ・社会復帰 |
・進行を遅らせる ・穏やかに過ごす |
| 主な薬物療法 | ・抗精神病薬(リスペリドン、 オランザピンなど) |
・認知症治療薬(ドネペジル、メマンチン) ・最新薬(レカネマブ、ドナネマブ) |
| 非薬物療法 | ・認知行動療法(CBT) ・作業療法 ・デイケア |
・認知刺激療法 ・運動療法 ・音楽療法 ・回想法 |
| 治療の見通し | 早期治療で寛解・ 社会復帰が可能 |
徐々に進行するため、 長期的なケアが必要 |
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統合失調症の場合家族の対応法
統合失調症からの早期回復を目指すためにも、家族のサポートは欠かせません。家族が理解しておきたい対応法を紹介します。
服薬を継続させるよう管理する
服薬が途切れると再発しやすいため、家族が継続できるよう声がけや見守りで支えることが重要になります。自己判断で中断すると症状が悪化しやすく、治療の立て直しにも時間がかかります。薬の必要性を理解できるほど自己中断を防ぎやすくなります。
- 対応例
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- 毎日の服薬を確認する
- 通院や処方更新をサポートする
- 薬の必要性を本人に説明する
感情的な批判を避けるよう心がける
感情的な批判は本人の不安を強め、症状の不安定化や再発につながりやすくなるため避けることが重要です。強い口調や否定的な言葉が続くと、ストレスが高まり治療への意欲も低下しやすくなります。心の安定を保つためにも、穏やかな声がけや安心できる関わり方を意識すると良いでしょう。
- 対応例
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- 強い否定や批判を控える
- 落ち着いた態度で接する
- 本人の気持ちを受け止める
妄想や幻聴を完全に否定しないよう対応する
妄想や幻聴を頭ごなしに否定すると不安が強まり、孤立感や症状の悪化につながるため慎重な対応が必要になります。本人にとっては体験そのものが現実であり、否定は関係性の断絶を招きやすい状況です。専門家と連携しながら、安心できる受け止め方を意識すると良いでしょう。
- 対応例
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- 「そう感じているんだね」と受け止める
- 不安を和らげる声かけをする
- 医師や支援者と連携する
社会復帰を後押しする
社会復帰を家族が後押しすることで、本人が社会的役割を保ちやすくなり、生活の質や再発予防にも良い影響が生まれます。症状の安定度や本人の意欲に合わせ、無理のない範囲で段階的に社会参加を広げていくことが大切です。焦らず継続的に支える姿勢が回復を支えます。
- 対応例
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- 就労支援を利用する
- デイケアに参加させる
- 本人の希望を尊重する
症状が落ち着いている時期でも
再発兆候を見逃さないようにする
症状が安定している時期でも再発の兆しを早くつかむことが、悪化を防ぐうえで重要になります。統合失調症は寛解期でも再発しやすく、普段の様子に小さな変化があれば早めの対応が必要です。家族が変化を把握し、医師や支援機関と連携することで治療を続けやすくなり、本人の安心感にもつながります。
- 対応例
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- 不眠やイライラを観察する
- 引きこもりや生活リズムの乱れを確認する
- 異変を感じたら医療機関に相談する
認知症の場合家族の対応法
認知症患者にとっても、家族のサポートは大きな意味を持ちます。家族が心がけたい対応法について見ていきましょう。
記憶の混乱を否定せず安心感を優先する
記憶が混乱している場面では否定せず安心感を優先することが、患者の不安を和らげ生活の安定につながります。発言や行動を強く否定すると混乱が深まり、家族との関わりがぎこちなくなりやすくなるでしょう。家族が穏やかに受け止める姿勢を保つことで、患者の精神的な落ち着きを支えられます。
- 対応例
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- 「違う」と訂正しない
- 本人の感覚を受け止める
- 安心できる声かけをする
記憶を補う生活工夫を取り入れる
記憶の混乱が起きやすい認知症では、生活の中で記憶を補う工夫を取り入れることが安定した暮らしにつながります。日常の行動を習慣化し、必要な情報を思い出しやすい環境を整えることで、自立を支えやすくなります。家族間で工夫を共有し、無理なく続けられる支援体制を作りましょう。
- 対応例
-
- 不眠やイライラを観察する
- 引きこもりや生活リズムの乱れを確認する
- 異変を感じたら医療機関に相談する
安全な環境を整えるよう配慮する
安全な環境づくりは転倒や事故を防ぐだけでなく、患者の不安を和らげ、介護者が支援しやすい状況を整えるうえでも重要になります。家族で協力しながら継続的に環境を整えていきましょう。
- 対応例
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- 家の動線をシンプルにする
- 危険物を片付ける
- 転倒防止策を施す
徘徊や帰宅願望に備えて対応する
徘徊時の安全を確保するためにも、普段から地域と連携しておきましょう。患者を探す時間を短縮でき、介護者の負担軽減にもつながります。また、徘徊や帰宅願望が見られるときは、なるべく患者本人の気持ちを尊重し、安心感を保てるようにサポートする必要があります。
認知症の徘徊について詳しくはこちら
認知症の帰宅願望について詳しくはこちら
認知症の方のGPSの持たせ方について詳しくはこちら
- 対応例
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- GPS端末を活用する
- 地域の見守りネットワークに参加する
- 「帰りたい」という気持ちを受け止める
介護負担を軽減するよう支援を活用する
介護者が休息を確保するためにも、支援制度を積極的に活用して負担を軽減していくことが大切です。適度に休める環境が整うほど、長期的に介護を続けやすくなります。さらに、家族が孤立しないことも重要な視点で、地域の支援機関と連携することで安心して介護に向き合える体制が整います。
- 対応例
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- デイサービスを利用する
- ショートステイを活用する
- 公的支援制度を取り入れる
統合失調症と認知症に関するよくある質問
統合失調症と認知症について、よくある質問とその答えをまとめました。ぜひ疑問解消にお役立てください。
高齢者の統合失調症のケアのポイントは何ですか? 統合失調症を発症している方の認知症予防法はありますか? 統合失調症か認知症かを判断できない時はどの専門医に相談すべきですか?
Q高齢者の統合失調症のケアのポイントは何ですか?
高齢者の統合失調症は、少量から投薬を開始し徐々に増量することが基本です。また、認知症カフェや通所介護で無理なく社会参加を維持し、終身の居場所を確保しましょう。地域包括支援センターへ相談すれば、高齢精神科専門医を紹介してもらえます。
Q統合失調症を発症している方の認知症予防法はありますか?
統合失調症の方の認知症予防は、薬の調整と生活リズムの見直しが基本です。長く使っている薬はそのままで、むやみに減らさないことが大切です。体を動かす時間を毎日少しずつ作り、頭を使う機会を減らさないように心がけるといいでしょう。無理のない範囲で人と接することも、うまくいくコツです。
Q統合失調症か認知症かを判断できない時は
どの専門医に相談すべきですか?
統合失調症か認知症か判断できないときは、まず地域包括支援センターへ電話相談します。専門スタッフが簡易チェックを行い、高齢精神科・認知症双方に対応できる医療機関を紹介してくれます。受診当日は家族の観察メモ(症状の時間帯・変化)を持参し、医師に詳しく伝えましょう。
変化を見逃さないように普段から目を配ろう
統合失調症と認知症は類似する症状も多く、判断が難しい病気です。それぞれ治療法が異なるため、医療機関を受診して正確に診断してもらい、適切な治療を受けるようにしましょう。
また、認知症は65歳以上で発症することが一般的ですが、若くして発症する「若年性認知症」などもあります。普段から栄養バランスの良い食事や運動を心がけ、予防活動に取り組みましょう。
「認知機能ケアプロジェクト」では、ガンマ波を用いた認知症予防などの最新研究情報を配信しています。正しい知識を得るためにも、ぜひチェックしてみてください。