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04認知症コラム

地域包括支援センターとは?
主な役割と相談内容から見える使い方

2026.01.30

【弁護士監修】成年後見制度とは?手続きの流れや認知症との関係を解説

地域包括支援センターとは、社協や行政の委託受けた民間により運営されています。公正・中立を原則とした施設で、高齢者や家族の介護・生活に関する相談を総合的に支援する窓口です。本記事では、地域包括支援センターの役割や相談内容、利用方法をわかりやすく解説します。

地域包括支援センターとは?

高齢者が安心して暮らせる支援をする
地域の総合相談窓口

地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、医療や介護などの支援を総合的に行う行政の委託を受けている相談窓口です。

厚生労働省では2025年を目処に、要介護状態になっても住み慣れた地域で生活を続けられるよう、医療・介護・予防などを一体的に提供する体制の構築を進めるとしています。
この現場において重要な役割を担うのが地域包括支援センターです。

参考:厚生労働省「地域包括支援センターについて

地域包括支援センターとは? イメージ

利用対象者は?

地域包括支援センターの利用対象者は、原則としてその地域に住む65歳以上の方です。要介護認定の有無に関係なく誰でも相談できます。ただし、支援を受ける本人が居住する地域のセンターが対象です。離れて暮らしている場合は、問い合わせ先に注意しましょう。

  • 対象地域に住む65歳以上の高齢者
  • 高齢者の家族や親族
  • 高齢者支援にかかわっている人(介護スタッフなど)

地域包括支援センターが担う主な4つの役割

地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを地域で支える拠点として欠かせない存在です。ここでは、地域包括支援センターが担う主な役割について解説します。

総合相談支援

高齢者の困りごとや悩みに幅広く対応しています。介護・医療・福祉・保健など対応分野は広範です。適切な制度やサービスの紹介はもちろん、手続きのサポートまで包括的に支援し、安心して相談できる窓口として機能しています。

権利擁護

高齢者が安心して尊厳ある生活を送れるよう、権利にかかわる相談に応じます。たとえば、高齢者が虐待を受けている場合の通報・調査、認知症などで判断力が低下した人の成年後見制度の利用支援、悪質な訪問販売や詐欺被害への相談・対応などさまざまです。

介護予防ケアマネジメント

要支援1または2の認定者や、今後介護が必要になる可能性がある方に対し、状態に応じた介護予防を支援します。具体的には、介護予防ケアプランの作成支援や介護予防サービスの案内、健康教育などを行います。

包括的・継続的ケアマネジメント支援

地域で活動するケアマネジャーへの助言や個別相談、情報交換会や勉強会の開催を通じた支援体制の強化を行っています。
また、専門職や関係機関とのネットワーク構築により、地域包括ケアの環境整備や改善にも取り組んでいます。

地域包括支援センターで相談できる具体的な内容

地域包括支援センターでは、高齢者やその家族が抱える生活の困りごとや介護に関する幅広い相談を受け付けています。具体的にどのような内容が相談できるのか、詳しくみていきましょう。

介護保険の申請やサービス利用に関すること 家族の介護負担や生活環境に関すること 高齢者の権利擁護や金銭管理に関すること 認知症に関する不安や初期症状のこと

地域包括支援センターで相談できる具体的な内容 イメージ

介護保険の申請やサービス利用に関すること

地域包括支援センターでは、介護保険の申請やサービス利用の相談が可能です。要介護認定の申請手続き、必要書類の準備などについてサポートを受けられます。要支援・要介護認定が下りたあとは、利用可能な介護サービスの種類や事業所の選び方を教えてもらえます。

ケアマネジャーと連携し、サービス開始までの段取りも支援してくれるため、介護サービスをスムーズに利用できます。

具体的な相談事項の例
  • 要介護認定を受けたいが、手続きの流れがわからない
  • 介護保険の対象になるかどうかを知りたい

家族の介護負担や生活環境に関すること

家族や介護者の心身の負担軽減に向けた支援策も提案してもらえます。たとえば、同居や在宅介護における生活環境の整え方や、家族関係の悩みや介護疲れなど感情面の相談です。介護者が安心して支援を受けられる体制が整っており、介護者の健康維持や介護環境の改善につながります。

具体的な相談事項の例
  • 介護をしている家族が疲弊していて、支援を受けたい
  • 認知症の親と同居しているが、生活がうまく回らない

認知症介護の基本について詳しくはこちら

【認知症の在宅介護】限界を感じる前に知りたい5つの基本ケアと
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高齢者の権利擁護や金銭管理に関すること

高齢者の権利擁護や金銭管理に関する相談と支援も受けられます。たとえば、高齢者への虐待や消費者被害に対する適切な対応や防止策、成年後見制度の活用支援などです。

また、預貯金の管理、公共料金の支払いなど日常生活に必要な金銭管理も支援対象です。法的な支援が必要な場合は、専門機関との連携も図ってもらえます。

具体的な相談事項の例
  • 認知症の親が訪問販売で高額な契約をして
    しまいどうすればいいかわからない
  • 成年後見制度について知りたい

成年後見制度について詳しくはこちら

認知症でも不動産売買ができるかどうかについて詳しくはこちら

認知症に関する不安や初期症状のこと

認知症の疑いがある場合、受診前の不安や迷いに関する相談・支援を受けられます。たとえば、「物忘れや理解力が低下しているが病院に行くべきか」「どの診療科を選べばよいか」といったことを一緒に考えてくれます。本人が嫌がる場合は、家族だけでも相談可能です。

具体的な相談事項の例
  • 最近物忘れが増えた気がするが、病院に行くべきか迷っている
  • 親が同じ話を何度も繰り返すようになり、心配

認知症について詳しくはこちら

認知症の初期症状について詳しくはこちら

認知症が疑われたら何科を受診すべきかについて詳しくはこちら

認知症が疑われる方を病院に連れていく方法について
詳しくはこちら

地域包括支援センターに在籍する
専門家とその役割

地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)と呼ばれる専門職スタッフが在籍しています。ここでは、それぞれの役割や専門性についてご紹介します。

専門家 役割
保健師
  • 健康管理・介護予防の専門家として高齢者の健康状態を支える
  • 健康相談や訪問指導、医療機関との連携を通じて疾病予防を行う
社会福祉士
  • 生活課題の相談支援と権利擁護を担う
  • 経済・住環境・家族問題の相談対応や、制度利用の調整、虐待防止の支援などを行う
主任ケアマネジャー
  • ほかのケアマネジャーへの指導・助言・育成を行い、専門的な支援体制を強化する
  • 支援が困難なケースへの助言、多職種との連携調整、支援方針の整理などを行う

保健師

保健師が担う役割は、おもに介護予防マネジメントです。具体的には、予防給付や介護予防事業のケアプラン作成、高齢者が要介護状態に移行したり身体状況が悪化したりするのを防ぐための相談や指導を行います。

また、看護師資格を活かして医療的な知識を活用した相談にも対応し、高齢者の健康維持と生活の自立支援を包括的に支援します。

社会福祉士

社会福祉士は、高齢者やその家族が抱える生活課題を整理し、必要な支援へ適切につなげる重要な役割を担います。対応内容は、総合相談支援や高齢者の権利擁護に関わる事業の実施などです。その他にも、虐待の防止や早期発見、成年後見制度の利用支援、消費者被害防止などに尽力します。

また、状況に合わせて関係機関や民生委員や社会福祉協議会など、サービス提供事業者との連携を図りながら、高齢者が安心して地域で暮らせるよう包括的な支援を行います。

主任ケアマネジャー

主任ケアマネジャーは、包括的かつ継続的なケアマネジメントを担当し、地域のケアマネジャーに対して指導や助言を行うリーダー的存在です。具体的には、地域ケア会議の開催や、支援が難しい事例に対する指導や助言など専門的なサポートを行います。

また、ケアマネジャーが円滑に活動できるよう相談窓口となり、現場の支援体制を強化するといった重要な役割も担います。

地域包括支援センターの利用の流れ

地域包括支援センターのサービス利用にはいくつかのステップがあり、概要を押さえておくと手続きがスムーズです。ここでは、利用の流れについて順を追ってみていきましょう。

STEP1自分が居住する地域の
地域包括支援センターを調べる

まず、居住する市区町村の地域包括支援センターを調べましょう。地域包括支援センターは、住民票のある市区町村ごとに設置されています。自治体の公式サイトや「もの忘れ相談ナビ」などの検索サービスを利用すると、自分の居住地に対応した地域包括支援センターを簡単に調べることができます。

なお、地域によっては「シニアサポートセンター」など別の名称になっている場合があるため、住所ベースで確認するのが確実です。

STEP2来所または電話で相談する

地域包括支援センターの電話相談が受けられるのは平日の日中が基本ですが、多くの自治体で事前予約なしで対応してもらえます。来所相談の場合は、受付時間や担当者の在席状況を事前に確認しておくと安心です。

プライバシーや個人情報の秘密は厳守され、相談内容が外部に漏れることはないため、「こんなことを相談していいのか」と迷う内容でもまずは気軽に連絡してみましょう。

STEP3家族や本人と担当者が面談する(来所もしくは自宅訪問)

面談では、現在の状況や困りごとを丁寧にヒアリングしてもらえます。身体状況や認知機能、生活環境、家族関係、社会的支援ネットワークなど多方面から状況を総合的に評価してくれるため、個々のニーズに合った支援計画を立てられます。

本人が来所を嫌がる場合は、家族のみでの相談も可能です。
また、必要に応じて職員が自宅に訪問してくれるケースもあり、利用者の状況に合わせた柔軟な支援を受けられる仕組みになっています。

STEP4相談内容に応じて必要なサービスや
事業所の紹介を受ける

面談による相談後は、その内容に基づき、医療機関や介護サービス、福祉制度など適切な支援先を案内してもらえます。加えて、介護保険サービスの申請サポートもあるため、利用手続きもスムーズで安心です。認知症の方に向けては、進行予防や家族の負担軽減につながる支援策も提案してもらえます。

認知症の方が入所できる施設の種類とタイミングについて詳しくはこちら

地域包括支援センターに関するよくある質問

とくに地域包括支援センターを初めて利用する方は、わからないこと、不安なことも多いでしょう。ここでは、地域包括支援センターに関するよくある質問とその回答をまとめました。参考にしてください。

Q地域包括支援センターと介護サービスの違いは何ですか?

地域包括支援センターは、行政からの委託を受け、地域住民全体の介護予防や相談支援を行う機関です。一方、介護サービスは、要介護者に対して具体的なケアや支援を提供するサービスを指します。

地域包括支援センターは地域の高齢者を対象に、介護だけでなく福祉や医療、権利擁護など多方面から包括的に支援を行う相談窓口です。また、年に1度行政による監査を受け、守秘義務についても厳格に求められています。

Q地域包括支援センターの利用料金はかかりますか?

地域包括支援センターは公的な相談機関であるため、基本的に利用料金はかかりません。センターで紹介された介護サービスの利用には別途費用がかかりますが、相談自体に費用はかからないため、安心して問い合わせや相談が可能です。

Q地域包括支援センターの相談内容はどのように扱われますか?

地域包括支援センターは、行政から委託を受けて運営されている事業です。相談した内容は、最適な支援を提供することを目的に担当者間のみで共有されます。職員には守秘義務があり、秘密保持のもと個人情報として厳重に管理されるため、安心して利用できるようになっています。

また、年に1度行政による監査が行われ、守秘義務の遵守が厳格に求められています。近年は、高齢者だけでなくヤングケアラーへの支援にも取り組んでおり、対応内容は自治体によって異なります。

地域包括支援センターの活用で安心の介護を

地域包括支援センターは、高齢者やその家族が安心して暮らせる地域社会を支える重要な拠点です。相談対象は幅広く、現在抱える悩みや困りごとを気軽に相談でき、必要な支援につなげることができます。認知症に関する相談も受け付けており、専門知識を持つ職員が症状の対応方法や適切な医療・介護施設の紹介をしてくれるので安心です。

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