海外の最新機能性素材トレンドから読み解く!
これから日本で最も注目すべき3つのテーマとは?

2023年夏、世間は長かったマスク装着や行動制限からようやく解放されました。あれほど注目を集めた免疫系の健康食品やサプリメントはその勢いを失い、もはや機能性表示をまとっただけの製品は思うように売れ続けることができません。

多くの食品企業が頭を悩ませるなか、一般社団法人ウェルネス総合研究所は食品業界トレンドセミナー第2回として、「“海外の最新機能性素材トレンド”グローバルトレンドの変遷とマーケティング視点から読み解く、これからの日本での注目素材と可能性!」について、2023年9月20日(水)にセミナーを開催しました。本総研理事の藤田康人氏と武田猛氏によるセミナーと、2人のパネルディスカッションの内容をレポートします。

第1部:「海外の最新機能性素材トレンドと、その変遷から読み取るこれから注目すべき素材とは」

2023年版、いま注目すべき海外の最新トレンド

まず始めにグローバルニュートリショングループ代表取締役の武田 猛氏が、毎年3月に米国カリフォルニア州で開催される自然食品や健康食品に関して世界最大規模の展示会「Natural Products Expo West(以下、Expo West)」を今年視察したときの印象を語りました。

とくに注目したというトレンドは次に挙げる8つです。この中から登壇では、「女性の健康」「コラーゲン」「サプリメントの非ピル化」の3つに的を当てて製品を交えながら説明したあと、10キートレンドの変遷から海外トレンドと日本トレンドの関連性について解説します。

【注目すべきExpo West 2023トレンド】
1. プラントベース
2. サステナビリティ
3. Woman’s Wellness(女性の健康)
4. プロバイオティクス・プレバイオティクス
5. コラーゲン
6. サプリメントの非ピル化
7. マッシュルーム
8. 海藻

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

日本ではまだ希少、「女性の健康」関連商品が続々と登場!

1つ目の「女性の健康」では7社の製品を挙げて、それらの特徴や訴求の内容、日本の食品企業で課題となる点について紹介しました。数が多いのはマカを配合し、ストレス軽減やムードに関わる製品です。訴求しているのは植物性タンパク質や海塩などを用いたナチュラルであることのほか、月経やホルモンの乱れによる女性特有の不定愁訴に対するアプローチなど。
なかには、わが国で専ら医薬品成分として扱われている生薬のウイキョウを配合する製品もあり、注意を促しました。また、日本ではまだあまり聞いたことのないαGEEというペプチドの原料を使った製品も興味深いと話します。

 

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

強力なプロテイントレンドの流れでコラーゲンが熱い!

2つ目の「コラーゲン」に関してはまず、Google検索の結果を提示して消費者の関心が非常に高いことを示しました。科学的な裏付けも堆積しつつあるなかで従来の肌や関節、骨に対するアプローチに加え、創傷治癒やスポーツニュートリションなどの分野でも目覚ましい進展を見せていると言います。これに伴って消費者の教育レベルも向上し、それにつながるようなエビデンスを取るための科学に対する投資は欠かせません。

また、大手食品メーカーのNestlé Health Science社が2020年6月に米国を代表するコラーゲンブランドの企業を買収したことは衝撃的でした。

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

製品紹介ではプラントベースプロテインや、コラーゲンに王道の機能性成分を配合したもののほか、全身に寄与することを期待するトータルボディーコラーゲンなど、多くの製品が細分化されて注目を集めています。どれを見ても、コラーゲンが日々の健康やウェルネスのために摂取すべきものというポジションに変化しつつあることがよくわかります。

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

また、Expo Westで訪れた現地にある高級な健康食品店や、低価格が売りのスーパーでもコラーゲンは店の系統に寄らず、大々的に販売されていると語りました。そこでは今回の登壇者である藤田氏と偶然、遭遇したという話も。

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

サプリメントの非ピル化で「グミ」が流行の域を超越!

3つ目の「サプリメントの非ピル化」ではチョコレートや飲料など様々な形態があるなかで、明らかにグミが強い印象でした。その背景にあるのが、よりナチュラルで咀嚼ができて、味があるというウェルビーイングをかなえる要素です。ウェルネス業界の調査会社NBJ(ニュートリションビジネスジャーナル、米国)はこのグミについて、“流行ではなく一つの現象である”と分析しています。その市場は2016年の4倍で、2024年には167億6,000万ドルに達するという予想も。

注目したいのは幅広い分野への対応と、歯ごたえやフレーバー、配合成分をカスタマイズできる利便性、さらにX世代やZ世代といった錠剤およびカプセルを嫌厭しがちな世代にも受け入れやすいという部分です。

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

10キートレンドの変遷とコラーゲンの新しい方向性

続いて、最新版の10キートレンド2023※とこれまでの変遷に加え、コラーゲンの新しい方向性について詳しく解説しました。前置きとして日本では2006年頃に初めて株式会社 明治のアミノコラーゲン®と、株式会社資生堂のザ・コラーゲン®の2つが登場したことでコラーゲンブームが巻き起こったことを添えます。

当時、欧米ではコラーゲンというとスポーツニュートリションやジョイントヘルスの分野が主でした。面白いのは海外と日本では普及の仕方が真逆で、わが国では肌や美容から始まり、2015年の機能性表示制度の開始を受けて今はジョイントヘルスの方に向かっているということです。

※10キートレンド:食品・栄養・健康ビジネスの将来的な方向性を示す「長期的」かつ「成長のチャンスがあるグローバルトレンド」としてNNBマガジンが発表しているトレンド。

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

コラーゲンの方向性ではGoogleの検索数とともに消費者の関心も確実に高まっていることを示し、その戦略にはしっかりとしたエビデンスや科学的根拠が必須だと説明します。ソーシャルメディアにおける投稿数で見ても、その注目度は高いことが明らかです。

製品としては、コラーゲンを配合したチョコレートやハンバーガーなどを紹介しました。このハンバーガーは、97%の牛肉にコラーゲンを配合することで柔らかさとジューシーさを保っています。まさに動物性プロテインの魅力を強化しているような理にかなった製品で、その年間売上高は25億ドルです。

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

海外トレンドを日本に取り入れるときの注意点

こうした海外トレンドを日本へ導入するときには食文化の違いをよく考慮し、表現に加えてターゲットの違いも比較しながら徐々に行うことが重要だと語ります。実際、タイムラグを生じながら日本へ入ってきた、エナジードリンクやグルテンフリーの背景にある分化の違いについて解説。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響やプロテインのトレンドを交えながら、ギリシャヨーグルトにおける日本と米国の違いを比較しました。

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

一般社団法人ウェルネス総合研究所主催「第2回 食品業界トレンドセミナー」講演資料より

ウェルネス総研レポートonline編集部

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