脂肪燃焼体質づくりのキーワード「ケトン体」とは?

いま、ダイエット市場で「ケトン体」が注目を集め、新しいトレンドがつくられようとしています。今回はケトン体とは何か、なぜ注目を集めているのかを解説していきます。

近年、ダイエットに取り組む理由として外見的な要素をあげる人よりも、健康維持、運動不足、病気の予防をあげる人が多く見られるようになりました。この影響で、脂肪燃焼体質を目指す抑制系/燃焼系ダイエット市場が成長拡大をし続けており、そのキーワードである「ケトン体」が注目を集めています。今回はケトン体とは何か、なぜ注目を集めているのかを解説していきます。

いま注目を集める「ケトン体」とは

普段私たちの体は、糖質を分解することでつくられるブドウ糖を燃料にしてエネルギーを産生しています。これが糖燃焼回路です。しかし、体が燃料として使える物質はブドウ糖だけではありません。その一つがケトン体です。ケトン体は脂肪を分解した際につくられる産生物で、これを活用したエネルギー産生は脂肪燃焼回路と呼ばれています。

ケトン体が増加・活性化すると、体が脂肪燃焼体質にシフト

脂肪燃焼回路でエネルギー産生を行うと、体内の脂肪が消費されるようになります。これが脂肪燃焼体質を利用した抑制系/燃焼系ダイエットのカラクリです。しかし、糖燃焼回路がメインでエネルギー産生を行っているあいだは、脂肪燃焼回路は働いていません。このスイッチを入れるのがケトン体です。体内でケトン体が増加・活性化することで、私たちの体は脂肪燃焼体質へとシフトしていくのです。

また、ケトン体の活性によって、体内ではもう一つ変化が起こります。ミトコンドリアの活性化です。ミトコンドリアとは、エネルギー産生を担っている細胞内小器官のこと。ケトン体はミトコンドリアに直接作用してその働きを活性化することができます。つまり、体内のケトン体が増加・活性化することでミトコンドリアのエネルギー産生量が増加。それに伴って脂肪の消費量も増えることで、私たちの体はさらに脂肪燃焼体質へと変化を遂げることができるのです。

ケトン体の増加・活性化には糖質制限とMCTの活用が有効

体内のケトン体を意識して増加・活性化することができれば、私たちの体を効率よく脂肪燃焼体質へとシフトさせることが可能です。では、ケトン体を増加・活性化させる方法には、どのような方法があるのでしょうか。

その一つが、糖燃焼回路で利用される糖質の摂取を制限することです。糖質が足りなくなると、エネルギー産生に必要なブドウ糖が枯渇してしまいます。すると体は代わりとなるエネルギー源を確保するために、蓄積している脂肪からケトン体を産生するようになります。これによって脂肪燃焼回路が働くようになり、脂肪燃焼体質へと体が変化していきます。これが一大ブームを巻き起こした糖質制限ダイエットの仕組みです。

また、MCTの摂取もケトン体を増加・活性化させることが知られています。MCTとは、母乳や乳製品、ココナッツオイルなどに含まれる、中鎖脂肪酸100%の天然成分のこと。ケトン体は体内に蓄積された脂肪からだけでなく、食品として摂取した脂肪酸からも作られます。そのなかでもMCTは、脂肪を素早くケトン体に変換し、エネルギーを多く生み出すことが可能です。実際に通常の食事に加えてMCTを摂取することで、体内でケトン体が増えることがヒト試験で明らかになりました。

今後、ダイエット食品産業のなかで、ケトン体は一つのトレンドをつくる可能性を秘めているでしょう。糖質制限ダイエットだけでなく、MCTを活用してケトン体の増加・活性化をねらう商品の開発や情報発信も、近年盛んに行われるようになっています。このような動きは、「抑制系・燃焼系ダイエット」市場を一層活性化させるきっかけとなるのではないでしょうか。


ウェルネス総研レポートonline編集部

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