
【マーゲット】トレンドアナリストが説く2025年の食トレンド
企業家およびトレンドアナリストでもある Sonalie Figueiras氏 が、2025年に成長するとみられる食に関するカテゴリーをリストアップしている。
・プラントベース肉代替品
この業界は、資金調達の点で厳しい状態が続くと予想する。消費者は「代替肉」を超加工食品(UPF)と捉え、負のイメージが定着しつつある。これを覆すには多大な努力が必要だ。だが、高品質のプラントベース代替肉ブランドは、主にビーガンやベジタリアン、フレキシタリアンに商品を提供し続けるだろう。また、ケータリングやフードサービス分野ではプラントベース代替肉、小売りやB2Bではハイブリッド商品の需要が高まるとみる。
・培養肉
この分野への目立った資本投入、資金調達の意欲は見られない。米国では特に、規制当局の承認が遅々として進まない状況をみると、投資家の逡巡は納得がいく。だからといって、培養肉技術が不要だとは思わない。英国やシンガポール、オーストラリアなどでは規制の準備が進み、強力なスタートアップ企業が育ち、2025年は投資の流れが活発になると見込む。
・発酵たんぱく質
たんぱく質分野の中で、特に乳幼児栄養、高齢者栄養、スナック向け原料の脱炭素化という観点に置いて、最も有望なものである。2024年から続く投資の波は、2025年も途切れないだろう。また、Figueiras氏は、2025年の食の明るい兆しとして投資を勧める分野を紹介している。
・土地と水に負担の少ない作物/原料
土地や森林伐採、水、Co2排出を極力減らして安全で健康的な食糧を生産するソリューション、技術をすべて含む幅広い分野である。現実としてこれらの資源が少なくなっている今、代替手段が必要となる。
・代替商品
異常気象、土地面積の減少、倫理的コストの上昇などからカカオと油糧種子の栽培がますます複雑化し商品価格が高騰する中、代替コーヒーや代替チョコレート、代替脂肪のスタートアップ企業が急増している。大手食品企業は、菓子、スナック、コーヒーなどの商品にかかる負担を軽減する選択肢が必要となる。
・シンバイオテクノロジー
精密発酵、バイオマス発酵、分子農業、細胞農業などを安価で効率的、回復力のあるものにすることが、合成生物科学の発展に必要である。
・乳幼児栄養
健康意識の高い親は、子どもに健康的、低糖、種子油を含まない商品を求めている。乳製品不使用や植物性ミルク分野にもイノベーションの余地は十分ある。
・高齢者の栄養
世界中で高齢化が進み、年齢と共に噛みにくい、飲み込みにくい、消化しにくいといった問題が生じていくため、食生活は複雑になっていく。したがって、食物繊維飲料やプロテイン飲料分野で成長が見込まれる。そうした商品の脱炭素化も無視できない。
・環境に配慮したキッチン技術
家庭用コンポスト容器、食品廃棄物を削減する冷蔵庫、省エネ家電など、キッチン管理により食費や光熱費を抑えられる。インフレの時代、この価値は見過ごせない。
・カスタマイズされた腸の健康
日本のスナック菓子大手カルビー株式会社が世界初、パーソナライズされたマイクロバイオームシリアルである「Body Granola」を発売し、注目を浴びた。腸の健康が全身の健康につながるという認識 が高まり、腸の健康をサポートする食品や飲料の売上は引き続き好調で、カスタマイズされたソリュー ションは大幅な成長が期待できる。
・医療用低炭素ペットフード
少子化が進んでいる一方、ペットの数は増えているという状況で、ペットフード分野は熱い。だが、ペットフードの生産には、気候変動対策費用がかかり、高額商品となってしまう。子犬には高たんぱく質、低脂肪、胃腸にやさしいドッグフードが必要で、こうした商品の脱炭素化は安価な対策では対処が難しい。イノベーションの進展が望まれる分野でもある。
「GNGグローバルニュース 2025年1月29日号」より