【サイエンス】プラントベース食は生物学的な若返りを図る可能性:他の専門家「結論を出すには早すぎる」

プラントベース食は生物学的年齢を下げる可能性が米国の研究 で示唆されたが、「結論付けるには早すぎる」と慎重さを求める声 が、科学的専門家や栄養士の間から上がっている。

Stanford Prevention Research Centerとエピジェネティクス検査研究所のTruDiagnosticの研究チームは、一卵性双生児 21 組を対象に、ヴィーガンまたはプラントベース食と、植物性および動物性のどちらも摂取するオムニボラス食とを比較して、生物学的年齢に及ぼす影響を検証した。生物学的年齢は、DNA のメチル化レベル、DNA に変更を加えず遺伝子発現に影響するエピジェネティック化合物の変化を測定することで評価した。

この結果、ヴィーガン食摂取群だけが、エピジェネティック年齢の有意な低下を示したことがわかった。実際、ヴィーガン食群は、心臓、ホルモン、肝臓など5つの臓器で生物学的年齢が下がったという。研究者は「今後の研究で、プラントベース食のどの要素が違いを示したかを理解する必要がある」と示しながらも、果物、野菜、全粒穀物、マメ類、ナッツなどを平均以上に摂取することが主要な要因である可能性を示唆した。研究者は「ヴィーガン食は、カロリー、飽和脂肪、加工食品摂取の低減、食物繊維、抗酸化剤、ファイトケミカルの増加を導くため、BMI や全体的体脂肪の減少、健康的な腸内環境、 炎症低下を促進するため、有益な影響を与えることは明らかである」と説明した。

だが、他の専門家らは「今回の研究は、サンプルサイズが小さく、介入期間が 2か月と短い」ことを示唆し、「テロメア長などの加齢に関する複数の生物学的マーカーの測定が求められる。ここでは、微量栄養素不足の長期的有害作用が起こることについて検討されていない」と述べ、早急に結論付けることに危惧を表した。

ヴィーガン食では、ビタミン B12を補給しない場合、神経システムに慢性、潜行性損傷を与える恐れがある。長期的観察研究では、ヴィーガン食はカルシウム摂取が低いため、骨密度に負の影響を及ぼすことも報告されている。プラントベース食を実践する中年成人では心臓病や2型糖尿病のリス クを下げることは指摘されているが、ヴィーガンの高齢者は筋肉減少、骨密度の低下などを示し、生活の質を下げる結果となっている。本研究はBMC Medicineに掲載された。

「GNGグローバルニュース 2024年8月27日号」より

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