【マーケット】NZの自然健康食品・機能性食品市場に関するレポート

ニュージーランドの自然健康食品・機能性食品部門を洞察したレポート「VitamINSIGHTS 2023」がニュージーランド商務部(NZTE)から発表された。

業界団体のNatural Health Products New Zealand(NHPNZ)の統計によると、人口512万人のニュージーランドは地産製品の輸出に力を入れており、自然健康食品業界だけで年間6.4 億NZドル(3.92億米ドル)が輸出された。

同レポートによると、同国は乳製品輸出大国として、約32万トンのホエイ(乳清)およびその他関連乳製品を輸出し、主な乳製品カテゴリーには乳児向けおよびスポーツニュートリションが含まれる。

また、市場調査会社Circana社によると、2022年のニュージーランドの自然健康製品の総売上高は3億NZドル(1.85 億米ドル)で、金額では前年比6.5%増、量では1.5%増を示した。

販売カテゴリーでトップを占めたのが、風邪・インフルエンザ対策商品で、前年比7.7%増の6,000万NZドル、次に消化器系、エネルギー、マルチビタミンと続く。その他の売上トップ10カテゴリーには、痙攣対策、女性の健康、関節炎、栄養オイル、皮膚、睡眠に関する製品が含まれる。

同社によると、成長が期待されている分野として、更年期症状、水分補給、眼の健康、腸の健康などが挙げられ、特に、機能性食品・飲料での成長が目立つという。消費財メーカーのRed Shoots社は、COVID-19パンデミック以降、スーパーマーケットで機能性食品を探す消費者が増加していると指摘した。

政府機関のNZTEは、エンドウ豆たんぱく質分野に大きな成長の可能性があると考えている。主に乳幼児用粉ミルク、スポーツニュートリション、高級ペットフード、プラントミルク・プラントミートの4つの分野で注目度が増しているという。

例えば、Danone社が乳幼児用プラントベース粉ミルクを発売したのはアジア太平洋地域の2カ国のみで、その1ヶ国がニュージーランドである(もう1ヶ国はオーストラリア)。

スポーツニュートリション分野でも、エンドウ豆たんぱく質由来のプロテインパウダー、栄養バー、クッキーなどの新商品が登場している。主にスーパーマーケットで販売されており、購買全体の20~30%を占める。ニュージーランドの消費者はエンドウ豆たんぱく質製品に平均7.23NZドル支払っていると推測され、スーパーマーケットでの需要は、今後10年で10倍になると考えられている。

また、ニュージーランドでは、鹿のミルクや果実のフェイジョア、マヌカハニーといった地産食品の健康効果に関する研究が盛んに行われている。

例えば、フェイジョアのウエイトロス、血糖値低下効果を検証する研究や、マヌカハニー特有の成分、レプテリジンなどに関する研究は、ヘルスクレームを行うための科学的エビデンスを構築する。マヌカハニーメーカーのComvita社は、消化器系障害のある人の症状やQOLの改善、炎症バイオマーカー、免疫細胞機能、腸内細菌叢に対するレプテリジンの影響を検証する臨床研究を行っており、消費者の信頼確保には科学的エビデンスの構築が重要だと考えている。

ニュージーランドの自然健康食品業界は、新たな法案である「Therapeutic Products Act 2023」の制定を期待していた。しかし、新しく発足した連立政権により同法案が撤回され、暗礁に乗り上げようとしている。これまでの規制では自然健康食品の治癒的クレームを認めておらず、時代遅れだとして長年批判されてきた。業界団体のNHPNZなど多くの関係者は今回の決定に対し失望を表し、「業界はイノベーションと輸出を促進し、安全性と品質について消費者を安心させる体制や規制の枠組みを早急に必要としている。政府機関には再検討を呼び掛けていく」と力説した。

「GNGグローバルニュース 2024年1月25日号」より

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