【マーケット】欧州市場におけるプロバイオティクスの成長

欧州では、「プロバイオティクス」に関するEFSA(欧州食品安全 機関)が承認したヘルスクレームは存在していない。

しかし、EU当局が表示を制限しているにもかかわらず、スペイン、デンマーク、イタリア、ギリシャ、ポーランド、チェコ共和国、オランダ、ブルガリアなどでは「プロバイオティクス」用語の使用が許可されており、今年に入りフランスも加わった。

Nutraingredients-usaは、欧州のオンライン分野におけるプロバイオティクスサプリメントの商機に注目した。

フランスでは最近、1日摂取量あたりの生きた細胞数の最低値など一定条件を満たす製品であれば、「プロバイオティクス」という用語を「腸内細菌叢のバランスに寄与する」という文言とともにフードサプリメントの製品ラベルに使用できるようになった。この承認は、フランスのプロバイオティクスサプリメント製品のうち上位2つのヘルスベネフィット(Digestion/消化、Gut Flora/腸内細菌叢)において、消費者に対する腸内バランスが健康全般に有益だという概念の再浸透につながる。

IPA (International Probiotics Association) Europeによると、欧州のプロバイオティクス全体の市場規模は90億ユーロとされ、2018年から2021年までの成長率は9%だった。しかしプロバイオティクスサプリメントカテゴリーでは14億ユーロと、市場全体のごく一部に過ぎない。

ただし、調査会社Lumina Intelligence社がEU8ヶ国(ベルギー、ドイツ、スペイン、イタリア、ポーランド、スウェーデン、フィンランド、フランス)を対象に行った調査では、プロバイオティクスサプリメントのオンライン売上は近年急増している。2021年は前年比27%成長、2022年も前年比20%増の1億4,200万ユーロ (1億5,000万米ドル)近い売上を予測し、特にイタリアは8カ国のeコマース総売上高の38%を占める。

デリバリーフォーマットについては、2022年6月に実施されたLumina社の調査によると、フードサプリメント市場の55%をカプセルが占め、2位の分包・小袋・スティック(12%)を大きく引き離している。

欧州eコマース市場において、グミおよびチュアブルは全SKUの5%未満に過ぎない。一方、米国では市場の12%以上を占め、カプセルに次いで2位と3位にランクしている。また、チュアブル製品が 最も盛んな市場はフィンランドで、自国のオンライン販売SKUの16.9%を占める。

調査会社Innova Market Insights社によると、グミ状サプリメントは18〜25歳および26〜35歳のグループに好まれていることが報告されている。

「プロバイオティクス」用語の使用制限による消費者の知識への影響も考慮する必要がある。例えば、 IPA-Europe(国際プロバイオティクス協会欧州支部)が委託し、3Gem社が実施した欧州8カ国の消費者8,000人を対象にした調査では、7ヶ国の消費者が、製品に含まれるプロバイオティクスに関する情報を十分に得られていないと回答したことが判明した。

Lumina社はまた、eコマースにおけるポストバイオティクスサプリメントの調査を開始した。生菌を維持する必要性から芽胞形成株やカプセル化技術が採用されるプロバイオティクスに比べ、ポストバイオティクスはグミやチュアブルへの配合に適している。

しかし、オンライン上で「ポストバイオティクス」という用語はほとんど使用されておらず、加熱殺菌菌株や短鎖脂肪酸、発酵物など、様々な用語に置き換えられていることが判明した。ポストバイオティクスという、プロバイオティクスとはまた別のバイオティクス用語の出現により、業界全体に消費者の理解という更なる課題が生じている。

「GNGグローバルニュース 2023年7月25日号」より

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