04認知症コラム
認知症の初期症状は?チェックリストで早期発見
2024.02.22
年齢を重ねるともの忘れが増えることがあります。認知症が心配という方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、認知症の初期症状とその対処法について紹介します。チェックリストもありますので、自身のもの忘れが気になるという方や、ご家族に気になる症状が現れたという方はぜひ参考にしてみてください。
認知症とは?
認知症とは、さまざまな原因で脳がダメージを受け、記憶力や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態をいいます。
認知症の中で最も多いのは「アルツハイマー型認知症」で、認知症全体の半数以上を占めます。そのほかにも、「脳血管性認知症」や「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」があり、それぞれに異なった特徴があります。
一度認知症を発症すると、多くの場合完治させるのは困難です。現在では、認知症の初期段階であっても「軽度認知障害(MCI)」として診断されます。
認知症について詳しくはこちら軽度認知障害(MCI)とは?
軽度認知障害(MCI)は、認知症になる一歩手前の段階、つまり健康な状態と認知症の中間の状態です。多くの場合で、もの忘れが増えるなど軽い記憶力の低下がみられます。しかし、本人にもの忘れの自覚はあるものの日常生活には影響がない場合が多く、本人や周囲の人は軽度認知障害だと気が付かない可能性があります。
そのまま症状を放置していると、認知症に移行してしまうおそれがあるため注意が必要です。軽度認知障害の段階で正しく予防することで、健常な状態へ戻る可能性があります。
認知症の中核症状
記憶障害 見当識障害 理解・判断力の障害 実行力障害 感情表現の変化
認知症を早期発見するためには、認知症の中核症状を理解しておくとよいでしょう。中核症状とは、脳の神経細胞が障害されることで起こる認知症の代表的な症状で、記憶障害や理解力・判断力の低下などが主な症状です。中核症状の出現により、物の置き場所がわからなくなったり、約束の日時を忘れたりと日常生活を営む上で支障が生じます。
認知症の症状チェックリスト
記憶に関するチェック
□ もの忘れが増えた
□ 物の置き忘れが多い・不適切な場所に物を置く
□ よく探し物をする
□ 財布や服などを盗まれたと思い込む
□ 同じ物を何度も買う
□ 同じことを何度も聞く・話す
見当識に関するチェック
□ 今の日時がわからない
□ 季節にあった服を選べない
□ 自宅内や近所で迷う
□ 自分の年齢がわからない
□ 家族を間違える
□ 亡くなった人が存在するように思う
理解・判断力に関するチェック
□ 考えるのに時間がかかる
□ 2つ以上のことを言われると理解できない
□ ATMや改札などで戸惑ってしまう
□ 不測の事態に不自然な行動をとる
□ 集中できず投げ出してしまう
実行機能に関するチェック
□ 衝動的に出かけてしまう
□ 料理の味付けが変わった・ミスが増えた
□ お金や薬の管理ができない
□ 2つ以上のことを並行して行えない
□ 優先順位をつけられない
性格の変化に関するチェック
□ 些細なことで怒るようになった
□ 頑固になった
□ 人付き合いが悪くなった
□ ミスを人のせいにするようになった
意欲の低下に関するチェック
□ 趣味に対する興味を失った
□ 身の回りのことに興味・関心がなくなった
□ 食欲がなくなった
□ 身だしなみに気をつかわなくなった
上記のチェックリストを活用し、日常生活の中で気になる言動の変化がないか確認し、早期発見を心がけましょう。当てはまる項目が多く、日常生活に支障がある場合は認知症である可能性があります。
ただし、チェックリストはあくまで目安であり、認知症を診断するものではありません。心配な場合は医師に相談してください。
日常生活でみられる
認知症の初期症状
認知症の初期症状は、日常生活の至るところで現れます。以下で、どのような症状があるか詳しく解説します。
記憶力の低下
記憶力の低下は、認知症において初期の段階からみられる代表的な症状です。特に、最近の出来事を忘れやすいのが特徴で、過去の記憶は比較的保持されています。そのため、同じ質問を何度も繰り返したり、同じ話を何度もしたりするなどの行動が目立つようになるのです。
また、物を頻繁になくし、盗まれたと思い込むケースもあります。これは、物事そのものを丸ごと忘れるために起こり、老化による記憶力の低下とは異なる現象です。同じもの忘れでも、老化と認知症では主に次の点で異なります。
老化による 記憶力の低下 | 認知症による 記憶力の低下 |
|
---|---|---|
原因 | 脳細胞の減少や 機能の低下 | 記憶を司る 海馬の委縮 |
特徴 | 物事の一部を 忘れる | 物事そのものを 忘れる |
自覚 | ある | ない |
見当識の低下
見当識の低下も、記憶障害と並んで初期の段階から現れる症状です。見当識とは、現在の日時や場所、人を把握し、自分の状況を理解する能力を指します。具体的には、時間の感覚がわからなくなり待ち合わせができなくなる、自宅の中でも迷う、家族を見ても誰かわからなくなるなどです。
最初に時間の感覚が薄れ、次に場所、最後に人間関係が理解できなくなるとされています。重度になると日常生活に大きな支障をきたし、適切なケアとサポートが必要です。
理解・判断力の低下
理解・判断力の低下は、記憶力・見当識の低下に続いて気が付きやすい症状です。理解・判断力が低下すると、抽象的なものの理解が難しくなったり、考えるスピードが遅くなったりします。例えば「和食と洋食どちらがいいか」と聞かれても理解できなかったり、暑くても冷房をつけることを思いつかなかったりなどの症状がみられます。
実行機能の低下
実行機能が低下すると、計画を立てて物事を実行することが難しくなります。特に料理は計画に沿って、順序よく行う必要があるため、顕著に機能低下の影響を受けやすいです。 ほかにも、仕事の段取りや身だしなみ、入浴、着替えなどは手順が多いため、実行機能の低下により、難しくなります。
性格の変化や意欲の低下
性格の変化や意欲の低下も認知症の周辺症状の一つです。見当識の低下によって自分の状況がわからなくなり、不安や怒り、意欲の低下につながる可能性があります。 また、記憶力の低下により、物の場所がわからなくなるなど、できないことや思い通りにいかないことが増えます。そのため、ストレスを感じ、怒りっぽくなることもあるでしょう。同様の症状はうつ病などの精神疾患で現れることもあります。
認知症の初期症状が
みられたときの対策
認知症の初期症状がみられた場合にどのような対策方法があるのか紹介します。取り組みやすいことから始めていきましょう。
生活習慣を見直す
認知症の初期症状がみられた際の対策として、生活習慣の見直しが重要です。糖尿病や高血圧、肥満などの生活習慣病は、認知症と密接に関連しており、これらを予防することで認知症の進行を遅らせられることが示唆されています。
栄養バランスの取れた食事は、脳の機能を維持し、認知症のリスクを低減するのに役立ちます。また、質の良い睡眠は、「アルツハイマー型認知症」の原因物質である「アミロイドβ」を脳から血液中に排出し、肝臓で分解するため、認知症予防には欠かせません。生活習慣の改善は、認知症の予防だけでなく、健康維持にも寄与します。
適度に運動する
適度な運動は、生活習慣病の予防のほか、脳の血流量を増やし、神経細胞の増加を促すことで、認知機能の向上にも寄与します。実際に、運動不足は認知症のリスクを高める要因の一つであり、認知症になった人の約13%が運動不足に関連しているとの報告があります。
定期的な運動習慣は、認知症の進行を抑える可能性があるため、日常生活に運動を取り入れることが推奨されています。週3回・週2時間以上の運動を目安にするとよいでしょう。
社会活動に参加する
社会活動に能動的に参加することは認知症の進行を抑えるのに有効とされています。知的刺激が少ない生活や、外出の機会の減少により、認知機能が低下する可能性があります。
ただし、無理をして参加するとかえって生活機能が低下するおそれがあるため、興味がある内容の活動に参加することが好ましいです。また、社会活動への参加により人との交流が生まれることも、認知症のリスク低減につながります。
認知症の予防について詳しくはこちら初期の認知症は早期発見が大切
初期の認知症であれば生活習慣の改善で回復または進行を抑えることが期待できます。些細な行動や言動の変化に気が付き、生活習慣を改善することは、同時に生活習慣病の予防にも役立ちます。積極的に社会活動に取り組むことは生きがいにもつながることでしょう。快適なシニアライフのため、認知症の早期発見に取り組みましょう。
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