文字サイズ

04認知症コラム

認知症の初期症状は?
チェックリストで早期発見につなげよう

2025.12.25

認知症の原因・症状イメージ

年齢を重ねるともの忘れが増えることがあります。認知症が心配という方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、認知症の初期症状とその対処法について紹介します。チェックリストもありますので、自身のもの忘れが気になるという方や、ご家族に気になる症状が現れたという方はぜひ参考にしてみてください。

認知症とは?

認知症とは、さまざまな原因で脳がダメージを受け、記憶力や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態をいいます。

認知症の中で最も多いのは「アルツハイマー型認知症」で、認知症全体の半数以上を占めます。そのほかにも、「脳血管性認知症」や「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」があり、それぞれに異なった特徴があります。

一度認知症を発症すると、多くの場合完治させるのは困難です。現在では、認知症の初期段階であっても「軽度認知障害(MCI)」として診断されます。

認知症について詳しくはこちら

認知症の種類ごとに見られる初期症状の違いについて詳しくはこちら

認知症の中核症状イメージ

軽度認知障害(MCI)とは?

軽度認知障害(MCI)は、認知症になる一歩手前の段階、つまり健康な状態と認知症の中間の状態です。多くの場合で、もの忘れが増えるなど軽い記憶力の低下がみられます。しかし、本人にもの忘れの自覚はあるものの日常生活には影響がない場合が多く、本人や周囲の人は軽度認知障害だと気が付かない可能性があります。

そのまま症状を放置していると、認知症に移行してしまうおそれがあるため注意が必要です。軽度認知障害の段階で正しく予防することで、健常な状態へ戻る可能性があります。

出典:厚生労働省「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」  厚生労働省「軽度認知障害

MCIについて詳しくはこちら

認知症の初期症状チェックリスト

記憶に関するチェック

もの忘れが増えた
物の置き忘れが多い・不適切な場所に物を置く
よく探し物をする
財布や服などを盗まれたと思い込む
同じ物を何度も買う
同じことを何度も聞く・話す

見当識に関するチェック

今の日時がわからない
季節にあった服を選べない
自宅内や近所で迷う
自分の年齢がわからない
家族を間違える
亡くなった人が存在するように思う

理解・判断力に関するチェック

考えるのに時間がかかる
2つ以上のことを言われると理解できない
ATMや改札などで戸惑ってしまう
不測の事態に不自然な行動をとる
集中できず投げ出してしまう

実行機能に関するチェック

衝動的に出かけてしまう
料理の味付けが変わった・ミスが増えた
お金や薬の管理ができない
2つ以上のことを並行して行えない
優先順位をつけられない

性格の変化に関するチェック

些細なことで怒るようになった
頑固になった
人付き合いが悪くなった
ミスを人のせいにするようになった

意欲の低下に関するチェック

趣味に対する興味を失った
身の回りのことに興味・関心がなくなった
食欲がなくなった
身だしなみに気をつかわなくなった

上記のチェックリストを活用し、日常生活の中で気になる言動の変化がないか確認し、早期発見を心がけましょう。当てはまる項目が多く、日常生活に支障がある場合は認知症である可能性があります。

ただし、チェックリストはあくまで目安であり、認知症を診断するものではありません。心配な場合は医師に相談してください。

認知症になりやすい人の傾向について詳しくはこちら

認知症が疑われたら何科を受診すべきかについて詳しくはこちら

日常生活でみられる認知症の初期症状

認知症の初期症状は、日常生活の至るところで現れます。以下で、どのような症状があるか詳しく解説します。

記憶力の低下

記憶力の低下は、認知症において初期の段階からみられる代表的な症状です。とくに、最近の出来事を忘れやすいのが特徴で、過去の記憶は比較的保持されています。そのため、同じ質問を何度も繰り返したり、同じ話を何度もしたりするなどの行動が目立つようになります。

また、物を頻繁になくし、盗まれたと思い込むケースもあります。これは、物事そのものを丸ごと忘れるために起こり、老化による記憶力の低下とは異なる現象です。同じもの忘れでも、老化と認知症では主に下記の点で異なります。

老化による記憶力の低下認知症による記憶力の低下
原因脳細胞の減少や
機能の低下
記憶を司る
海馬の委縮
特徴物事の一部を
忘れる
物事そのものを
忘れる
自覚あるない

もの忘れと認知症の違いについて詳しくはこちら
記憶力の低下について詳しくはこちら

見当識の低下

見当識の低下も、記憶障害と並んで初期の段階から現れる症状です。見当識とは、現在の日時や場所、人を把握し、自分の状況を理解する能力を指します。具体的には、時間の感覚がわからなくなり待ち合わせができなくなる、自宅の中でも迷う、家族を見ても誰かわからなくなるなどです。

最初に時間の感覚が薄れ、次に場所、最後に人間関係が理解できなくなるとされています。重度になると日常生活に大きな支障をきたし、適切なケアとサポートが必要です。

理解・判断力の低下

理解・判断力の低下は、記憶力・見当識の低下に続いて気が付きやすい症状です。理解・判断力が低下すると、抽象的なものの理解が難しくなったり、考えるスピードが遅くなったりします。たとえば、「和食と洋食どちらがいいか」と聞かれても理解できなかったり、暑くても冷房をつけることを思いつかなかったりなどの症状がみられます。

実行機能の低下

実行機能が低下すると、計画を立てて物事を実行することが難しくなります。とくに、料理は計画に沿って順序よく行う必要があるため、顕著に機能低下の影響を受けやすいです。
ほかにも、仕事の段取りや身だしなみ、入浴、着替えなどは手順が多いため、実行機能の低下により、難しくなります。

意欲の低下

意欲が低下すると、日常の行動や習慣への関心が薄れていき、人との関わりを避けやすくなります。精神的な活力も落ち、自発的な行動は次第に減っていくでしょう。たとえば、社交的だった人が交流の場に足を運ばなくなったり、趣味に積極的だった人が活動を控えるようになったりする様子が見受けられます。

性格の変化

認知症による性格の変化では、以前とは異なる反応や態度が見られるようになります。
とくに、感情の起伏が激しくなる、判断や対応に柔軟性がなくなり、こだわりが強くなる、対人関係において距離感や配慮が欠ける場面が増える、といったケースが多いです。そのため、周囲との関係に影響が出ることもあります。

日常生活でみられる認知症の初期症状イメージ

認知症の種類ごとに見られる初期症状の違い

認知症の種類によって症状の現れ方はさまざまです。アルツハイマー型認知症では体験そのものを忘れるような物忘れや、時間・場所・人物の認識が困難といった症状から始まることが多いです。

一方で、脳血管性認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症では、単なる物忘れではなく、感情の起伏が激しくなるなど人格の変化や意欲の低下、うつ症状、幻視・妄想、手足の麻痺など、一見認知症とは気づきにくい症状から始まることがあります。

アルツハイマー型認知症について詳しくはこちら
脳血管性認知症について詳しくはこちら
レビー小体型認知症について詳しくはこちら
前頭側頭型認知症について詳しくはこちら

種類 症状
アルツハイマー型認知症
  • 物忘れ(体験そのものを忘れる)
  • 見当識障害(時間・場所・人物の認識が困難)
脳血管性認知症
  • 感情の起伏が激しい
  • 手足のしびれや麻痺
  • 意欲の低下
レビー小体型認知症
  • 幻視(実際にいない人が見える)
  • 妄想やうつ症状
  • 認知機能の変動
前頭側頭型認知症
  • 反社会的行動(万引きなど)
  • 常同行動(同じ行動の繰り返し)
  • 人格変化

認知症の初期症状がみられたときの対策

認知症の初期症状がみられた場合にどのような対策方法があるのか紹介します。取り組みやすいことから始めていきましょう。

生活習慣を見直す 適度に運動する 社会活動に参加する 認知トレーニングを実践する

認知症の初期症状がみられたときの対策イメージ

生活習慣を見直す

認知症の初期症状がみられた際の対策として、生活習慣の見直しが重要です。生活習慣病は、認知症と密接に関連しており、これらを予防することで認知症の進行を遅らせられることが示唆されています。

栄養バランスの取れた食事は、脳の機能を維持し、認知症のリスクを低減するのに役立ちます。また、質の良い睡眠は、「アルツハイマー型認知症」の原因物質である「アミロイドβ」を脳から血液中に排出し、肝臓で分解するため、認知症予防には欠かせません。生活習慣の改善は、認知症の予防だけでなく、健康維持にも寄与します。

生活習慣病の例
高血圧 糖尿病 肥満

適度に運動する

適度な運動は、生活習慣病の予防のほか、脳の血流量を増やし、神経細胞の増加を促すことで、認知機能の向上にも寄与します。実際に、運動不足は認知症のリスクを高める要因の一つであり、認知症になった人の約13%が運動不足に関連しているとの報告があります。

定期的な運動習慣は、認知症の進行を抑える可能性があるため、日常生活に運動を取り入れることが推奨されています。週3回・週2時間以上の運動を目安にするとよいでしょう。

運動の例
  • ストレッチをしてリラックスする
  • 日常生活で階段を使用する
  • 毎日30分程度のウォーキングをする
  • 定期的に筋トレを実施する

社会活動に参加する

社会活動に能動的に参加することは認知症の進行を抑えるのに有効とされています。知的刺激が少ない生活や、外出の機会の減少により、認知機能が低下する可能性があります。

ただし、無理をして参加するとかえって生活機能が低下するおそれがあるため、興味がある内容の活動に参加することが好ましいです。また、社会活動への参加により人との交流が生まれることも、認知症のリスク低減につながります。

認知トレーニングを実践する

脳を刺激することは認知症予防に有効です。とくに、前頭前野が活性化することで老化スピードが抑制されることが分かっています。
前頭前野は新しいことに挑戦し、普段とは違う刺激を与えることで活性化します。色々な種類の認知トレーニングを実践することが認知症の予防につながります。

トレーニングの例
クロスワードパズル 計算クイズ 語学学習 楽器演奏

認知症の予防について詳しくはこちら

認知症の進行過程で生じる症状

認知症が進行すると、どのような症状がみられるのでしょうか。ここでは、「中核症状」と「周辺症状」に分けて解説していきます。

中核症状

認知症の中核症状とは、脳の神経細胞が損傷を受けることで直接起こる、認知症の代表的な症状のことです。記憶障害や理解力・判断力の低下、実行機能の低下などがこれにあたります。

中核症状の出現により、物の置き場所がわからなくなったり、約束の日時を忘れたりと日常生活を営む上で支障が生じます。程度の差はありますが、認知症の方すべてにみられる症状で、進行とともに悪化するといわれています。

記憶障害 見当識障害 理解・判断力の障害 実行力障害 感情表現の変化

参考:厚生労働省「認知症の中核症状とBPSD

中核症状について詳しくはこちら
見当識障害について詳しくはこちら
実行機能障害について詳しくはこちら

周辺症状(BPSD)

周辺症状は、中核症状に付随して二次的に発生する症状のことを指します。本人の性格や人間関係、環境などのさまざまな要因が絡み合い、精神症状や行動障害となって現れるものです。

症状の現れ方は個人差が大きく、日常生活に大きく支障をきたす人から、ほとんど症状がみられない人もいます。そのため、周辺症状の重さは疾患の重症度(進行)とは比例しないといわれています。

抑うつ、不安 妄想、幻覚 睡眠障害 徘徊 暴言、暴力

参考:厚生労働省「認知症ケア法-認知症の理解

周辺症状(BPSD)について詳しくはこちら

認知症の進行を防ぎ早期発見に
つなげるための3つのポイント

認知症を早期発見するには、これからご紹介する3つのポイントを心がけるようにしましょう。普段から注意しておくことで早期発見・悪化予防に役立ちます。

定期的に会話をすることで心の変化に気づく 生活環境を整えて悪化のきっかけを減らす 専門医に相談して早期診断・適切なケアにつなげる

定期的に会話をすることで心の変化に気づく

認知症の初期症状は、本人との会話で家族や身近な人が気づく場合が多いです。何度も同じ事を聞いてきたり、状況が認識できなかったりする様子から「普段とは様子が違う」と認知症を疑われ、発見につながるケースがほとんどだといわれています。

普段からなるべく会話をするよう心がけておき、会話を通していち早く症状に気づけるようにしておくにするとよいでしょう。

生活環境を整えて悪化のきっかけを減らす

認知症はさまざまなきっかけで発症・悪化することがあり、難聴や視力障害もその一つです。認知症により症状をうまく訴えられない場合もあるため、眼科や耳鼻科で定期的に検査を受けるとよいでしょう。

認知症とうつ病は合併することもあるので、うつ症状がある場合は早期に受診し薬物治療を行うことが望ましいです。他にも、認知症を悪化させる要因となる不眠症や痛み、身体的な不快感は早期に見つけて治療することが重要です。

専門医に相談して早期診断・適切なケアにつなげる

認知症の疑いがある場合は、かかりつけ医をはじめ、精神科、心療内科など適切な診療科を受診することが重要です。とくに、「もの忘れ外来」では認知症の専門知識を持つ医師に相談ができます。ご本人が不在でも相談は可能ですが、その場合の相談費用は保険適用外となるため、事前に確認しておきましょう。

また、本人が認知症専門病院への受診を拒否する場合は、まずかかりつけ医に相談すると良いでしょう。かかりつけ医からの助言には耳を傾けるという方も少なくないので、連携して受診を促すことが大切です。

認知症の初期症状に関するよくある質問

認知症の初期症状について、よく聞かれることがある質問と、その回答を以下にまとめました。認知症が気になっている方や、ご家族の方はぜひ参考にしてみてください。

認知症の初期症状が見られたらどうしたらよいですか? 認知症の初期症状の口癖はありますか? 認知症の初期症状の歩き方はどんなものですか?

Q認知症の初期症状が見られたらどうしたらよいですか?

まずはかかりつけ医に相談しましょう。必要に応じて専門医への紹介を受けられます。 もし、かかりつけ医がない場合は専門医へ直接相談しましょう。精神科や心療内科、脳神経外科、もの忘れ外来などで相談できます。

Q認知症の初期症状の口癖はありますか?

認知症の初期症状では、適切な言葉が思い出せず「あれ」「それ」が増える、同じ話や質問を何度もして「さっきも言ったでしょう」と家族から言われるようになる、物の置き忘れが増えて「○○どこに置いたっけ」などの言動が増えることがあります。

Q認知症の初期症状の歩き方はどんなものですか?

認知症では歩き方に変化がみられることがあります。よく見られる歩行変化には、歩幅が狭くなる、歩行が安定しなくなる、すり足があります。ただし、歩行の変化は股関節や膝など、足自体に問題がある場合もあります。

初期の認知症は早期発見が大切

認知症には特徴的な初期症状があり、初期の段階であれば生活習慣の改善で回復または進行を抑えることが期待できます。早い段階で些細な行動や言動の変化に気が付き、生活習慣を改善することは、生活習慣病の予防や、同時に生きがいを作ることにも役立つでしょう。

認知症の早期発見に取り組むためには、認知機能の維持・向上につながる情報を日頃から得ておくことが大切です。「認知機能ケアプロジェクト」では、認知機能に関わる最新の研究情報、とくにガンマ波に関する知見を中心に発信しています。

日常生活に取り入れられるヒントも紹介されているため、認知機能の低下が気になる方や予防に取り組みたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

関連コラム

Close 認知機能改善についてのガンマ波最新研究はこちら