04認知症コラム
認知症の方の日常生活を助ける便利グッズを
ご紹介―使う際のポイントも解説
2025.12.25
認知症の方の日常生活を支える便利グッズは、本人の自立を助けるだけでなく、介護の負担軽減にもつながります。この記事では、スマートリモコンや自動薬箱、転倒センサーなどのアイテムから、脳トレや運動器具など認知機能に働きかけるグッズまで幅広く紹介します。選び方や使い方のポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
認知症に関する便利グッズを
用意しておくのがおすすめの理由
認知症に関する便利グッズは、本人の安全確保と家族や介護者の負担軽減の両面で大きなメリットがあり、早めに準備しておくのがおすすめです。必要になってから慌てて選ぶよりも、余裕をもって使い方に慣れておくことが安心につながります。症状の進行に応じて最適なグッズを選びましょう。
- 日常生活の安全性を高めることができる
- 本人の自立支援と生活の質向上に役立つ
- 介護者の精神的・身体的負担を軽減できる
認知症の方の日常生活を助ける便利グッズ5選
認知症の方の日常生活をサポートする便利グッズにはさまざまなものがあり、毎日の暮らしを安全かつ快適にすることが可能です。ここでは特におすすめの5つのグッズをご紹介します。
スマートスイッチ/スマートリモコン
認知症の症状が進行すると、電気の付け方や消し方を忘れてしまうことがあります。そのようなときも、人の動きを検知して照明を自動でON/OFFできるセンサーシステムを導入すれば、夜中のトイレでの転倒リスクを軽減することが可能です。
また、さまざまな家電を赤外線で操作できるスマートリモコンも便利です。エアコンと連動させれば、介護者が外出先や別室から操作でき、熱中症予防にもなります。スマートスピーカーと連動すれば音声操作もできてより快適です。
自動薬箱
自動薬箱は、設定した時間になると光や音で服薬を知らせてくれたり、薬を自動で出してくれたりするため、使用すれば薬の飲み忘れの防止が期待できます。認知症の方は薬を飲み忘れやすく、放置すると意識障害や低血糖によるふらつき、転倒のリスクが高まります。
また、スマートフォンやパソコンで確認できるため介護者も安心です。さらにお薬カレンダーと併用すれば服薬管理がより確実になり、日常生活の安全性を高められるでしょう。
呼び出し用のベル
声を出すのが難しい認知症の方でも、呼び出し用のベルを使えば介護者に助けを求められます。ベッドサイドやテーブルに設置すれば、必要なときに手軽に呼び出し可能です。
操作がシンプルで混乱を招くことなく本人も安心して使用できるため、日常生活での安全と介護の負担軽減に役立ちます。
日時が分かるデジタル時計
認知症の方は日付や時間を何度も確認したがる傾向があるため、日時がすぐにわかるデジタル時計を設置しておくのがおすすめです。大きな数字のデジタル時計を使うと読みやすく、よく見える場所に置いておけば安心感が得られます。
また、食事や薬の時間に合わせてアラームを設定しておけば、服薬や生活の管理に役立ちます。
転倒センサー
転倒センサーがあれば、転倒や不自然な動きが起きた瞬間に通知が届きます。すぐに様子を確認できるため、けがの重症化や長時間の放置を防ぐ手助けになります。
認知症の方は注意力や空間認識力の低下によって小さな段差や障害物でつまずきやすくなります。とくに、夜間や目の届きにくい時間帯でも異変にすばやく気づけるため、見守りの負担軽減にもつながるでしょう。
認知症の方の認知機能に働きかける便利グッズ3選
脳トレ本やパズル
脳トレ本やパズルは、ひとり時間を認知機能の改善や維持に役立てられる便利グッズです。ジグソーパズルは毎日少しずつ取り組む楽しさがあり、完成したときの達成感も得られます。
脳トレ本は、通院や入院中の方へのプレゼントにも最適です。さまざまな種類があるため、使いやすいアイテムを選んで活用しましょう。
ゲーム
ゲームは遊びながら脳を活性化でき、記憶力や判断力の維持につながります。とくに2人以上で楽しめるゲームは、コミュニケーションの手段としても有効です。
家族や介護者、仲間と一緒にゲームを楽しむことで日常生活に笑顔や交流の場が増えれば、心身の健康にもつながるでしょう。
- 仲間と交流しやすいゲームの例
- ボードゲーム 麻雀 オセロ 将棋
運動器具
ハンドグリップやバランスボール、足踏み運動機器などの運動器具も、認知症の方の日常生活に取り入れやすい便利グッズです。ハンドグリップによる握る動作は脳を刺激し、認知機能の維持にもつながります。また、バランスボールは体幹を鍛えながら脳の活性化が可能です。
こういった便利グッズの活用も含め、定期的な運動自体が認知症予防につながります。ストレスの軽減も期待できるため、心身の健康維持にも効果的です。
認知症の方の介護に役立つ便利グッズ4選
認知症の介護では、日常生活の安全確保や介護者の負担軽減が欠かせません。ここでは、介護の現場で特に役立つ4つのアイテムをご紹介します。
徘徊感知機器
徘徊感知機器は、認知症の方が屋外に出てしまうことを防ぐために、センサーで異常を感知して家族や介護者に知らせるアイテムです。
ドアや玄関に設置して通過した際に通知がくるものや、センサーに反応する装着型、重量センサーでベッドからの離床を知らせてくれるタイプなどさまざまな種類があります。
ストロー付きのコップ
認知症の方の水分補給には、ストロー付きのコップが便利です。こぼれにくい設計で傾けずに飲むことができ、首の動きが制限されている方や、嚥下機能が低下している方にはとくに適したアイテムでしょう。
ストローの太さや長さを調整できるタイプもあり、個々の状態に合わせて無理なく使用できるため、安全で快適な水分補給が可能になります。
うがい受け
うがい受けは、うがいや食事の際など、吐き出したり戻したりする可能性がある場面で利用します。万が一の際に、うがい受けで受け止めることができれば、周囲を汚さず衛生的なケアが可能です。持ちやすく軽量な設計になっており、介護者の負担も軽減できます。
洗いやすい素材を選べば日々のメンテナンスも簡単で、清潔さを保ちながら安心して使用することが可能です。
ホワイトボード
ホワイトボードは、今日の予定や献立などを書いて認知症の方に理解してもらう際に便利で、何度も同じことを聞かれるストレスの軽減が期待できます。取り出しやすく、見やすい場所に置くとさらに効果的です。
聴覚に障害がある方ともコミュニケーションが取りやすく、日常生活での情報共有や安心感の向上に役立ちます。
認知症の便利グッズを使う際のポイント
便利グッズを取り入れる際は、ただ機能的なだけでなく、「その人にとって使いやすいか」「生活の中で自然に取り入れられるか」が重要です。無理に新しい道具を導入しても混乱を招くことがあるため、目的や使う場面を明確にしておきましょう。
本人の認知レベルや感覚に合ったグッズを選ぶ 介護者も製品の機能や注意点を理解しておく 導入前に使い方を丁寧に説明し慣れるまでサポートする
本人の認知レベルや感覚に合ったグッズを選ぶ
認知症の方に便利グッズを選ぶ際は、認知症の進行度や個人の理解力に応じた製品選びが必要です。操作が複雑な機器などは混乱を招く恐れがあり、できる限りシンプルで直感的に使えるものを選びましょう。
また、色や形、手触りなどの感覚面も重要で、慣れ親しんだデザインや素材を選ぶと受け入れやすくなります。本人が「使いやすい」と感じるものを選ぶことが、継続的に使用するためのポイントです。
介護者も製品の機能や注意点を理解しておく
認知症の方が便利グッズを安全に使うためには、介護者自身が製品の操作方法や注意点を十分に理解しておく必要があります。使い方を誤ると逆効果になる場合もあるため、導入後も継続的に見守りながら調整する姿勢が重要です。
また、誤作動や電池切れ、設定ミスなどのトラブルを防ぐために、定期的な点検やメンテナンスも欠かせません。介護者の理解と管理が、安心で効果的な使用につながります。
導入前に使い方を丁寧に説明し慣れるまでサポートする
便利グッズを初めて使う際は、いきなり本人に使わせるのではなく、事前に説明やデモンストレーションを行いましょう。認知症の方にとって、突然の変化は不安や抵抗感につながることがあります。
家族や介護者が一緒に使用しながら、繰り返し説明や実演を行うことで安心感が生まれ、理解も深まります。ただし、説明はできるだけ簡潔にわかりやすく行いましょう。イラストや動画、実演など視覚的なサポートを活用するとスムーズに使い始められます。
認知症の便利グッズに関するよくある質問
認知症の便利グッズを導入する際には、購入方法や費用、使い方に関する疑問がよく寄せられます。ここでは、利用者や介護者が抱きやすい認知症の便利グッズに関するよくある質問とその回答をまとめました。
認知症の便利グッズは保険を適用して購入できますか? 認知症の便利グッズはどこで購入できますか? 認知症の便利グッズを借りられる場所はありますか?
Q認知症の便利グッズは保険を適用して購入できますか?
医療保険や介護保険の適用有無は、利用者の介護度や製品の種類によって異なります。また、介護保険の福祉用具貸与制度で、徘徊感知機器や介護用の補助具など一部の機器をレンタルできる場合があります。購入前に市区町村の窓口で確認してみましょう。
Q認知症の便利グッズはどこで購入できますか?
介護用品専門店やホームセンター、オンラインショップなどで購入できます。実店舗であれば、専門的なアドバイスを受けながら、本人の状態に合ったグッズを選べるため安心でしょう。オンラインショップでは、実際に使っている人のクチコミやレビューを参考に選べます。
Q認知症の便利グッズを借りられる場所はありますか?
徘徊感知機器などは、介護保険の福祉用具貸与制度や自治体の貸出サービスを利用して借りられる場合があります。要介護認定が必要なものもあるため、ケアマネジャーや福祉課に相談して必要に応じた機器を試用しながら選ぶのがよいでしょう。
認知症の便利グッズは本人に合った
使い方とサポートが重要
認知症の方の自立支援や介護負担の軽減に役立つ便利グッズには、さまざまなものがあります。本人の認知レベルや感覚に合ったものを選び、介護者が使い方や注意点を理解したうえで使用を始めましょう。便利グッズの活用は、認知症の方の自立支援や介護負担の軽減に役立ちます。
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