【セミナーレポート】『抗疲労∞抗老化™』トータルリペア®プロジェクト 発足セミナー&記者発表会

「疲労」と「老化」が持つ共通のメカニズムに注目、比較的短期間で変化が現れる「疲労」を計測し、それをトータルにリペア(修復)することでアンチエイジングを実現する。この世界初となる取り組みが始まります。
インテグレーテッドヘルスサイエンス株式会社が2026年5月12日に開催した『抗疲労∞抗老化™』トータルリペア®プロジェクト発足セミナーおよび記者発表会について、その内容をレポートします。

発足セミナー&記者発表会の概要について

本セミナーでは、疲労と老化の予防や抑制のために、「修復力(リペア力)」を新指標として、多様なソリューションによって創造的な健康長寿社会を実現するための新しいプロジェクトが発表されました。

講演では、インテグレーテッドヘルスサイエンス株式会社 代表取締役CEOで日本疲労学会理事長の渡辺恭良氏から本プロジェクトの全容を、インテグレーテッドヘルスサイエンス株式会社 取締役CTO/CFOで神⼾大学大学院 科学技術イノベーション研究科, 特命教授の水野敬氏から「総合的健康度」を可視化する“健康関数”とそのソリューション開発について、株式会社日本トリム代表取締役社長の田原周夫氏より、水の観点からさまざまなソリューションとの相乗効果などお話しいただきました。

各氏登壇後には、矢澤一良氏(早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構規範科学総合研究所 ヘルスフード科学部門 部門⻑)と、國澤純氏(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所 副所⻑)を交え、⻄沢邦浩氏(株式会社日経BP 総合研究所 社会課題研究所 客員研究員)の司会によるパネルディスカッションが行われました。

『抗疲労∞抗老化™』トータルリペア®プロジェクトの概況

まずは、『抗疲労∞抗老化™』トータルリペア®プロジェクト(以降、本プロジェクト)の発起人であるインテグレーテッドヘルスサイエンス株式会社 代表取締役CEOの渡辺恭良氏が登壇。市場動向を踏まえながら、本プロジェクトの全体像や現状の課題、進捗について解説しました。

渡辺氏は30年以上にわたり疲労研究を続ける中で、「リペア(修復)」に焦点を当てた本プロジェクトのような取り組みは、世界でもまだ前例がないと語ります。日本では、日本疲労学会や日本リカバリー協会を中心に、疲労に関する大規模な実態調査を2017年から継続してきました。その調査結果を踏まえると、抗疲労・リカバリー市場は今後さらに拡大すると予測されており、2035年では21兆円規模に達し、日本の国家予算の6分の1に相当する市場へ成長すると推定されています。

「疲労」と「老化」は、非常によく似たメカニズムで進行する一方、大きく異なるのが時間経過です。比較的短期間で変化が現れる「疲労」を計測し、その変化を抑えていくことがアンチエイジングにもつながると渡辺氏は説明しました。

「トータルリペア®」には、3つのコンセプトがあります。1つ目は、多様な機能低下をトータルにリペアすること。2つ目は、複雑な経路やメカニズムによって生じる複数因子をトータルに計測し、それらを修復すること。3つ目は、幅広い専門領域との連携によって実現する、複数ソリューション成分によるトータルソリューションメニューです。

本プロジェクトの中心とも言える「リペアする力(修復力)」とは、具体的に何なのか。私たちの体内では、生体酸化(さび付き)などによって傷んだ細胞や不要物質を絶えず処理しています。そこには多くのエネルギー(ATP:アデノシン三リン酸)が必要で、日々の活動や生命維持、発育などに使われた後、残ったエネルギーが修復に回されます。加齢によってエネルギー産生量が減少することは、修復に使えるエネルギーも減ることを意味するのです。

この「リペアする力」は、単純に糖や脂質といったエネルギー源を摂取すれば補えるものではありません。そこにはオートファジーやミトコンドリアなど、機能低下が起こる源流に着目した対処が必要になります。主な源流としては、生体酸化から糖化、老化のコアメカニズムについても解説を交えながら、「抗疲労∞抗老化™」に資するものを示しました。

一人ひとりの健康度を測るには、全身のバイオマーカーだけでなく、身体の局所で今まさに起こっている変化を把握する必要があります。そのためには、最新技術を用いた各臓器・各組織における因子との情報融合が欠かせません。加えて、「疲労を測った上で、何をすべきか」。測定して終わりではなく、日常的かつ継続的に介入できるソリューションメニューの重要性についても語られました。
さらに、これまで医療業界の中で行われてきた精緻なオミクス解析や生体分子イメージングなどを、より多くの人が「総合的健康度」を把握するための手段として活用できるよう、その“入り口”となるロジック構築を進めていることも紹介されました。

すでに、食品素材や電解水素水、香り成分などの具体的な物質については、修復力を計測する仕組みや評価系の実装が進み、その実効性も検証されています。しかし、体内における各修復点へのソリューションを最大化するには、さらなる包括的共同研究やマッチング、コンビネーションを含めた新製品開発などの展開が必要です。

これらを踏まえ、共同事業に関する年単位での計画や参画メリットも提示しながら、幅広い企業に向けて参画を呼びかけました。

個々人の総合的健康度を表す健康関数と様々なソリューション開発経過

続いて登壇した、インテグレーテッドヘルスサイエンス株式会社 取締役CTO/CFOの水野敬氏は、「総合的健康度」を可視化する“健康関数”と、そのソリューション開発について講演しました。抗疲労・抗老化ソリューションの評価・検証プラットフォームを構築し、健康状態の測定とソリューションを組み合わせることで、個々人における健康改善の可能な循環型モデルの実現を目指していると語ります。

近年、企業の健康関連コストの中でも特に問題視されているのが、出勤していても十分なパフォーマンスを発揮できない「プレゼンティーイズム」です。その背景には、慢性疲労や未病、不定愁訴が大きく関わっています。しかし現状の健康診断では、疲労に関わる多くの項目が測定されていません。
そこで、疲労研究で蓄積された知見や、それが可視化できる「もの差し」を健康診断へ組み込むことで、未病やプレゼンティーイズム、さらにはその前段階まで可視化できる可能性があると説明しました。

この「もの差し」として開発されたのが、総合的健康度を表す「健康関数」です。その開発基盤となったのは、約1000名分に及ぶ、自律神経や認知機能、酸化修復エネルギー、炎症マーカーなど、従来の健康診断では測定されてこなかった242項目のデータでした。

これらのデータをAIによって解析し、「フィジカルウェルネス」を示すx軸と、「メンタルウェルネス」を示すy軸の二次元に落とし込むことで、「ポジショニングマップ」を構築。さらに、異なる集団2000名に対しても同様のマップが得られたことで、高い再現性が確認されており、健康関数の技術については特許も取得しています。
加えて、ディープラーニングや機械学習を活用することで、242項目すべてを測定しなくても健康関数を推定できる技術開発も進行中です。これにより、時間の短縮や低コスト化が期待できると説明しました。

同マップでは、左下へ行くほど「健康増進群」、反対にy軸が低くx軸が高い右下は「生活習慣病リスク群」といったように、フィジカルとメンタル双方の状態から、自分の総合的健康度の現在地を可視化できます。
言い換えれば、自分が目指すべきポジションが明確になるということです。さらに、そのポジション改善に向けた介入についても、労働環境や睡眠、運動習慣、食事など、課題要因をピンポイントで捉えながらアプローチできるようになると説明しました。

昨今の健康経営では、単なる身体的健康だけではなく、多角的な視点から個々人における総合的な健康度を高めていくことが求められています。現在は、健康診断のオプション検診という位置づけで、最長12枚に及ぶレポートを活用しながら、実際の社会実装も進行していることを紹介しました。

この技術を実際の健康改善につなげるには、F1レースのピットインのように、住環境やオフィス環境の中で、気軽に立ち寄って短時間で測定できるシステム構築も重要になります。さらに、定点観測による健康度評価に加え、日常計測として、血液採取を伴わない非侵襲的な手段による測定も求められます。今後は、ウェアラブルデバイスやセンシング技術の進化によって、新たなモデル開発も進めていくと語りました。

最後には、企業や幅広い専門家に向けて、「さまざまなソリューションを、この健康関数やポジショニングマップを活用しながら、一緒に評価・検証していきましょう」と呼びかけました。計測項目の絞り込みによる短時間化・低コスト化も進んでいることを示しながら、抗疲労・抗老化領域における新たな産業創出への期待を語り、講演を締めくくりました。

ウェルネス総研レポートonline編集部

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