
【マーケット】ウエルネスが若者世代で最優先事項に:レポート
ウエルネスはこれまで以上に消費者の最優先課題となっている。
その年間支出額は、米国だけでも5,000億ドルを超え、年4~5%の成長を続けている。食品・飲料、サプリメント産業は、消費者のニーズに対応し、世代間の支出変化を有効に活用する戦略を検討するよう、McKinsey & Company社がこのほど発表したレポート「The $2 Trillion Global Wellness Market Gets a Millennial and Gen Z Glow-Up(ミレニアル、Z世代で躍進する世界のウエルネス市場)」の中で進言している。
このレポートは、米国、英国、ドイツ、中国の消費者9,000人以上を対象にした調査結果をまとめ、 分析したもので、ミレニアル世代、Z世代の動向に注目している。この2つの世代は米国成人人口の36%だが、年間のウエルネス関連支出は 41%以上を占めており、「健康をかなり重視している」と答えている。全体的に見ると、両世代が優先する課題は睡眠と健康だが、Z世代は「外見の美」を、ミレニアル世代は「マインドフルネス」を特に重く考えている。また、高齢の消費者と比較し、若い世代は性的な健康、スキンケア、ヘアケアへの関心が目立つ。
レポートでは、消費者を、「最大限に最適化する」「自信がある熱烈なファン」「健康伝統主義」「健康に苦労する」「怠け者」の5つに分類しているが、Z世代やミレニアル世代は「最大限に最適化する」に含まれ、科学的に裏付けされた高品質の商品を求めるという。このグループを引き付けるため、商品の効果を科学的にわかりやすく伝え、信頼できるSNSや専門家を通して訴えていくよう推奨した。さらに、同レポートによると、ウエルネスカテゴリーでは今後、以下の6つが大きく成長すると考えられ、その概要を紹介した。
・ヘルシーエイジングと長寿
「しわ予防などのスキンケア、細胞の老化を遅らせるサプリメント、エピジェネティック年齢検査キット」といった商品への関心が強くなっているが、これは世代にこだわらない。消費者の60%は「ヘルシーエイジングが最優先、あるいは非常に重要」と回答する。あらゆる年齢層での関心は高いが、若い消費者は特に、細胞の老化、認知機能、エネルギーなどに絞ったサプリメントを求めているという。
・美しさ
Z世代は見た目の美しさを優先事項に挙げ、その53%が、美容整形への支出を増やすと回答している。「体内から美しく」というコンセプトはいまだ根強く、皮膚や髪のためのコラーゲングミといった商品が人気をあげている。
・体重管理
体重管理、運動へのモチベーション維持に苦労する若い消費者は多く、Z 世代の44%は「運動モチベーション維持」に悩んでいる。この分野はGLP-1受動体作動薬の需要の急増による関心の変化が見られ、たんぱく質や栄養素強化食品、腸の健康を維持する商品や筋肉量増強プログラムなどへの需要が急増している。実際、2023年以降、ウエイトマネジメントプログラムサービスの利用者が12%、ダイエタリーサプリメント消費者は6%増加した。
・メンタルヘルス・マインドフルネス
両世代に優先度が高く挙げられているメンタルヘルスだが、ニーズは満たされていないという。レポートによると、業界の課題は規模の拡大だといい、メンタルヘルスアプリの進化で、そのソリューションはアクセスしやすくなったが、反面、競争は激化している。若者はメンタルヘルス管理にフィットネスやスキンケア、睡眠を組み込むが、フィットネスアプリなどに瞑想などのコンテンツを組み込むと、メンタルヘルス特化企業と競合してしまう。それを避けるため、レポートでは、特定のユーザーやニーズに 絞ったコンテンツ制作を行い、明確な価値を提供するよう推奨している。この他、優秀なメンタルヘル ス企業と戦略的パートナーシップを結び、認知度とブランドの向上を図ることを勧めた。
・機能性食品
スーパーグリーン、キノコ、アダプトゲン、プレバイオティクス、プロバイオティクス飲料など、機能性 食品・飲料への消費者の関心はますます高まり、特に、ミレニアル、Z世代で急増している。ただ、ホルモンサポート分野への需要は低い(購入希望者は7%)ことが報告されているが、成長の余地があることも示す。例えば、昨年の調査で、排卵トラック(排卵周期をモニタリングするもの)を使っているZ世代のフィットネスアプリユーザーは増えていることが報告されており、リプロダクティブ(生殖)ウエルネスにも関心が高い。
・参加型ウエルネス体験
温熱療法や点滴治療といったサービスへの需要も増えている。このサービス加入者の56%は、2時間以上かけて施術者のもとに通っていると回答した。
「GNGグローバルニュース 2025年6月26日号」より