
【マーケット】乳代替品の売上は下降、従来の乳製品は上昇傾向を見せる
乳代替品の消費は落ち込み、その一方で全乳など従来の乳製品の売上は上昇している。
英国では、1月の乳製品売上が6%増加、プラントベース乳代 替品の伸びは1%にとどまった。NielsenIQのデータによると、 ビーガンチーズの業績は不調で、小売支出が26%、販売量は31%、それぞれ減少した。欧州全体の消費者で動物性食品を避けている割合は18%ほどで、肉や乳製品を段階的に減らそうとして いるのは 4 分の1、反対に増やそうと考えている人は12%いるという。米国でも2024年の乳製品売上は2%上昇、全乳の消費量も3%増加しており、一方のプラントミルクは6%減少した。
このような現象の理由として、英国の農業園芸振興委員会(AHDB)は、1月の1か月間をビーガン月間とする「ビーガニュアリー」への参加が少なかったことを挙げている。これに参加した消費者は6%のみで、そのうち 3分の1は途中離脱しており、完了した人でも5人に2人は「この先参加するつもりはない」と回答した。さらに別の理由として「乳代替品は超加工食品(UPF)である」という考えが大きいという。プラントミルクの大半には乳化剤、脂、甘味料、安定剤などが添加されていることから加工品と見られており、多くの消費者は「高度に加工されている」と考えている。米国でもUPFへの反発から同じような傾向が見られ、FDAやUSDAなどが、鳥インフルエンザやサルモネラ菌による生乳汚染リスクを警告しているにも関わらず生乳の売上は増加している。
さらにもう一つの理由が価格である。物価高騰のこの時期、生産コストがかかる乳代替品はどうしても避けられる。牛乳の価格でさえ、2022年に記録した最高値に近づいているのだが、プラントミルクはその2倍の値段がつく。だが、そうした逆風にさらされる状態でもプラントベース乳代替品は生活に(2025年4月9日号)2浸透しており、英国ではセミスキムミルクが2.4%、スキムミルクが0.7%とそれぞれ減少している中、 全乳の売上増加よりペースは遅いが、0.9%増を示した。米国でもココナッツミルクが28%、豆乳が 0.7%、プラントベースブレンドミルクが10%とそれぞれ増加を計上している。欧州主要市場における プラントミルクはビーガン向け商品の売上の41%を占めた。ドイツ、スペイン、英国では世帯の35% 以上が代替乳製品を購入している。
ただ、消費者の嗜好は変化を続けることから、メーカーは常にイノベーションを念頭に、新しい商品の研究開発に取り組む。例えば、SproudやRipple Foodsは、エンドウ豆ミルクをたんぱく質豊富な代替品と位置づけ、Minor Figuresは、筋肉のサポートとしてHyper Oatを発売、PKNは、クリーンラベルを求める消費者に応えるため、ピーカンミルクを販売している。
「GNGグローバルニュース 2025年4月9日号」より