【サイエンス】シンバイオティクスは精神・感情の健康に有益な影響を及ぼす可能性

毎日のシンバイオティクス飲料摂取は疲労感を低減し、集中力を高める可能性が、英国のパイロット研究で示唆された。

英国 Cardiff University の研究チームは、慈善団体の労働者 を対象にシンバイオティクス飲料がウェルビーイングに及ぼす影響を検証した。研究者らは「慈善団体のような機関で働く人々は、 特に燃え尽き症候群や精神的問題を抱えやすく、精神的なウェルビーイングが必要なことから今回の研究に採用した」と説明した。

シンバイオティクスは最近注目されている分野で、善玉菌を届けるプロバイオティクスと育てるプレバイオティクスを組み合わせ、より良い腸内環境を構築し、全体的な健康を提供すると考えられる。

この研究では、被験者14人（男性3人、女性11人）には、6週間の介入前後にWellbeing Process Questionnaireを受けてもらい、その後、発酵乳のケフィアとプレバイオティクスミックス（Chuckling Goatケフィア170ml、プレバイオティクスパウダー10g、バナナ）を摂取してもらった。

ケフィア粒にはラクトバチルスケフィラノファシエンス、ラクチカゼイバシルスパラカゼイ、ラクチプランチバシルスプラナタルムなどが含まれ、また、ケフィアイーストには出芽酵母、サッカロマイセスユニスポラス、カンジダケフィールなどの菌種が存在する。

今回使用した、ケフィア含有シンバイオティクス飲料には、ビート根由来フラクトオリゴサッカライド （FOS）、マイタケキノコ由来キチン、マンナン、味噌由来イソマルトオリゴ糖（IMO）、リコリス由来カンゾウ、グリチルリチン酸、キヌア由来アラビナン、スピルリナ由来キシランなど18種のプレバイオティクスが含まれる。

スコアを分析した結果、介入後の被験者は、人生の満足感が向上し、充実感が増し、仕事にさらに没頭でき、寝不足感が減ったことが示された。研究者らは、本研究のサンプルサイズの小ささ、プラセボ対照群の不在、腸内細菌の測定が無いという限界を認めながらも、「身体的健康だけではなく精神 的・感情的なウェルビーイングに対する食事の影響を理解する上で大いに役立った」と結論づけた。

本研究はWorld Journal of Pharmaceutical Researchに掲載されている。

「GNGグローバルニュース 2023年12月25日号」より