腸内環境層別化ビジネスがヘルスケアの新市場を創る!
第1弾商品「Body Granola」の開発背景とは

腸内環境の改善が免疫機能をはじめ、美容や健康の維持増進につながることが近年認識されつつあります。腸内環境を標的としたさまざまな商品が販売されている中で、今回お話を伺うのは、“自分自身の腸内環境に合った”ヘルスケアという新しい概念の商品について。“腸内デザイン市場”の創出を目指し、2015年の創業当初からサイエンスを基盤とした層別化ヘルスケアの社会実装に向けた研究・事業開発を推進してきた株式会社メタジェン代表取締役社長CEOの福田真嗣氏にお話を伺いました。腸内環境層別化情報を活用した商品開発の第1弾となる「Body Granola」(2023年4月25日発売)の開発背景や、層別化ヘルスケアビジネスの展望や期待についてお話しいただきました。

腸内環境に基づく層別化ビジネスの構想8年から「Body Granola」開発秘話

はじめに、「Body Granola」の商品コンセプトやサービスの概略について教えてください。

「Body Granola」はグラノーラを買う前に、まず自分の便を専用のキットで採取して郵送するところから始まります。腸内フローラ検査結果を確認後、自分が持つ腸内細菌に適した成分を含むグラノーラのトッピング素材を選択し、グラノーラを定期購入しながら自分が持つ腸内細菌を育み、腸内細菌のパフォーマンスを最大限発揮してもらうことで健康に寄与することを目指したサービスです。

価格は腸内フローラ検査キットが9,800円(税抜、送料込み)、グラノーラ定期購買が月額3,500円(税抜、送料別)と決して安価ではないものの、価格に見合った価値を提供し、このサービスを通して私たちは、「お腹の中の腸内細菌を育てていくことを楽しむ」という感覚を多くの人に届け、これを文化として根付かせたいと考えています。

<腸内フローラ検査キット>

こうしたサービスを開発しようと思われたきっかけは、どのようなことでしょうか?

まず、私たちメタジェン社の目標は100人いたらその100人すべての人が健康になることです。食をはじめ日常的に取り組めることで可能な限り病気を予防し、最終的には病気が世の中からなくなる “病気ゼロ社会”を創っていきたいと思っています。

既存の健康食品やサプリメントは、同じ商品をすべての生活者に対して販売しているものがほとんどです。一方、近年の研究で腸内環境は人によって異なり、腸内環境を介して効果を発揮する商品は皆に同じく作用するとは限らないことが、科学的に明らかになってきました。つまり、これまで個人差と言われていたものの多くが、実は腸内環境の違いである可能性が出てきたわけです。

このようなことが科学的に分かってきた今、この事実から目をそむけるわけにはいきません。自分の腸内フローラに最適な食材を摂り、効率的に短鎖脂肪酸などの良い代謝物質を腸内でつくってもらい健康に寄与する。つまり自分自身の腸内フローラのポテンシャルを開放することが、今後のヘルスケアの常識になっていくと私たちは考えています。

腸内環境層別化ビジネスの最初のパートナーがカルビー株式会社となった理由について教えていただけますか?

始まりは2020年に私たちが開催した、腸内環境に基づく層別化ヘルスケアと腸内環境からの免疫機能向上に関して取り上げたオンラインセミナーでした。そこにカルビー株式会社(以降、カルビー社)の大塚さんという新規事業部(当時)の担当者が参加され、「1%でも、こういうものが世の中に広まる可能性があるなら一緒にやりましょう」と賛同いただいたのがきっかけでした。

カルビー社は当時、新規事業展開を検討する中で、パーソナライズ商品に興味を持ち、私たちが提案する“層別化ヘルスケア”に注目してくださったと聞いています。「もっと一人ひとりの状態に寄り添った商品・サービスでお客様の健康に寄与したい」という両社共通の想いから、2021年に共同開発を開始し、今回の発売に至りました。

それまでにも、層別化ヘルスケアの概念には共感してくださる企業が多くいたものの、現状、このようなサービスは市場がまだ無いに等しく、未知のマーケットへの参入に名乗り出ようとする企業はなかなかいませんでした。今回事業化に至ったきっかけとして一番大きかったのは、他の何よりも、カルビー社の勇気であったと思っています。

また、商材となったカルビー社の既存商品「フルグラ®」が、層別化ヘルスケア商品を開発する上でうってつけのアイテムだったことで、サービスローンチの具体的なイメージも自然と湧きましたね。

「Body Granola」は、どのような層をターゲットとしているのか教えてください。

健康や美容への意識が高い30~50代の女性がメインターゲットとなると考えていますが、シニア層や健康診断結果が気になり始めた中高年層、アスリートなどにもターゲットを拡げていきたいと考えています。自分自身の便を送って腸内環境を調べるというハードルに対して対応する意欲がある健康意識が高い層であり、サプリメント等と同等の費用をかけるのを惜しまない人と言えるかもしれません。

実際のユーザーやモニターからの反応は、どのようなものでしたか?

4月に発売したばかりで、検査結果の到着まで約4週間ほどかかるため、ユーザーからの反応は今まさに収集しているところです。

モニターからは、費用に関する指摘がいくつかありましたが、重要なのは、毎日食べるもので自身の腸内細菌を育てることができる、“自分だけのオリジナル商品”ということを認識した上で価格を評価してもらうこと。既存商品と比べると割高とも思えるかもしれませんが、健康食品やサプリメントとして考えれば決して高くはないという声もいただいています。

より多くの方に価値を感じていただくためには、丁寧な情報提供や啓発活動をおこなっていく必要があります。ローンチして終わりではなく、いかにこの商品の重要性に多くの人に気づいていただくか。そのために、今後も継続して社会に腸内環境の重要性や層別化の意義を理解してもらうための発信を行っていきます。

企業や業界からの反響は、どのようなものでしたか?

食品企業の担当者からは様々な反響がありました。なかでも驚いたのは、「こういうことがやりたかったのですね、初めて分かりました」という声です。実に8年間もかけてこの構想を様々な機会を通して伝えてきたものの、やはり実物を見てみないと理解しにくい部分もあったのでしょう。

また、発売前に勝算について聞かれることもありましたが、それはこの商品が社会に与えるインパクトに比べれば取るに足りません。私たちにとってはすべての挑戦が病気をゼロにするための1歩なのです。

他にもいただいた反響としては、株式会社サイキンソー(以降、サイキンソー社)との協業についてでした。両社とも腸内細菌に関連した事業領域のため、競合と見られていたようです。しかし、お互いの強みが異なるため、腸内環境分野の市場を成長させていくためには、互いに連携していく必要があります。

私たちメタジェンは科学的根拠に基づいてカルビー社と「Body Granola」を共同開発・監修しました。カルビー社はおいしく毎日続けられるようなシリアルを作り、サイキンソー社は腸内環境検査を担当しています。それぞれの強みを存分に活かしながら事業連携することで、1社では成しえない相乗効果を生むことができるのです。

はじめから、共同開発することを前提に取り組んでいたのですか?
また、3社コラボ商品が業界に与えるインパクトについて、どのようにお考えですか?

当初、カルビー社とメタジェンにて層別化商品の構想について合意し、議論を進めていました。サービスローンチに向けて構想を具体化していく過程で腸内環境検査が必要となった時、腸内環境に基づく層別化の重要性をより早く世の中に広めることを優先させるために、既に一般向けの腸内フローラ検査サービスの実績を有するサイキンソー社と連携することに決めました。

商品開発にあたり、共同開発をすることにはまったく抵抗はありませんし、むしろ各社の強みを生かしながら商品の魅力を最大化し、サービスローンチまでの速度も早めることができるメリットが大きいと考えています。

メタジェンでは元々、新しい市場は複数企業で共創するものと考えています。創業以来、「腸内デザイン共創プロジェクト」というコミュニティを運営しており、共に腸内デザイン®のコンセプトを広め、腸内デザイン市場の共創を目指す企業26社(2023年7月時点)が参画しています。

概念の共有や情報交換、様々なイベントでの意見交換などを通じて、参画企業同士がコミュニケーションをとったり、腸内環境層別化のコンセプトを取り入れながら各企業のアイデアを社会実装するために、私たちメタジェンが研究開発や事業開発の支援・推進をしているところです。「Body Granola」に続くような商品の開発ももちろん推進しています。

今回の「Body Granola」はパーソナライズ商品ですが、今後は層別化のもう一方のコンセプトである、腸内環境タイプカバー率が8割を超える「オールバイオティクス®」商品の展開も予定されていますか?

現状のマスマーケットを考えると、オールバイオティクス®の価値を一般に伝えていくことは簡単ではないと思っています。多くの商品は、すべての人に効果があるという前提で販売されているからです。しかし、腸内環境を介して効果を発揮する商品の場合、われわれのデータからするとその効果が認められるのは平均3割程度です。そのため、私たちは残り7割の人にも効果を感じていただくための商品開発が必要と考えています。現状はパーソナライズ商品からスタートしましたが、ユーザーが求めるものや商材の特性によって今後はオールバイオティクス®が世に出る日ももちろん来ると考えています。

“腸内デザイン市場”や協業に対して興味を持たれる企業と関係者に向けて、メッセージをお願いします。

新たな市場を生み出そうとするときは、誰かが口火を切って形にしないと何も始まりません。価値を一緒に創り上げていただける勇気あるパートナー企業を求めています。各企業の商材を最大限に活かしながら、より多くの消費者の健康に資する確かな商品として可能性を拡げていくために、私たちのテクノロジーやナレッジを活用させていただければうれしい限りです。
病気ゼロ社会を実現するために新たなヘルスケア市場を切り拓き、一人ひとりの想いに寄り添う商品を共に世にだしていきましょう!

福田 真嗣 氏 プロフィール

株式会社メタジェン 代表取締役社長CEO
2006年、明治大学大学院農学研究科博士課程修了。博士(農学)。理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、2012年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授、2019年より同特任教授、2021年より(一社)腸内デザイン学会代表理事、2022年より順天堂大学大学院医学研究科特任教授を兼任。2015年、ビジネスプラン「便から生み出す健康社会」でバイオサイエンスグランプリにて最優秀賞を受賞し、株式会社メタジェンを設立。代表取締役社長CEOに就任。専門は腸内デザイン学。


ウェルネス総研レポートonline編集部

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