【マーケット】代替たんぱく質は本当に持続可能な食糧供給への最善の道なのか

専門家によると、需要に見合った持続可能な食糧供給を実現するには、代替たんぱく質分野の成長に焦点を当てるだけでは不十分であるという。

代替たんぱく質は、ここ数年、食品・飲料部門の最大トレンドの一つであり、2050年までに世界人口を養うための持続可能な食糧供給を実現する解決策であると多くの人が信じている。しかし、専門家は、この分野に注力しすぎて他の潜在的な解決策の開発を犠牲にすることの真実性と実用性を疑問視している。

食品システムの専門家、Phil Howard教授は「たんぱく質は、栄養価の低い食事に欠けている多くの栄養素の一つに過ぎず、その場合、貧困や栄養へのアクセスが主な問題であるのに、議論は常にたんぱく質が中心となる。このたんぱく質への執着が政治課題、科学研究、メディア報道、農業評価などを形成している」とし、「作物の栽培や加工の仕方によって、影響に大きな違いがあるにもかかわらず、多くの農村で動物が経済的、文化的に重要な役割を担っていることを無視している」と述べている。

この意見に賛同したインドの食糧政策アナリストDevinder Sharma氏は培養肉を作っている代替たんぱく質企業の多くが、伝統的な畜産業から生じるGHG(Green House Gas)への懸念から利益を得ていることを強調した。

Howard教授は「もう1つの大きな問題は、力の不均衡である。誤解を招く主張や解決策を押し付け、それを使って議題を設定するような環境を作り出している。それに対処するためには、技術を評価し、イノベーションの道筋を公共の利益と一致させるための明確なパラメータが必要である」と述べている。

「GNGグローバルニュース 2023年3月10日号」より

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