【サイエンス】肥満児を対象とした研究でシンバイオティクスのウェイトマネジメント効果示唆
シンバイオティクスに肥満児のウェイトマネジメント効果がある可能性が新たな研究で示された。
肥満と腸内環境の関連は、2006年にJeffrey Gordon教授とWashington大学の研究チームによって初めて報告された。2013年、同教授が新たに発表した研究によると、肥満者から採取した腸内細菌を移植された無菌マウスは、痩身者から採取した腸内細菌を移植された無菌マウスより体重と体脂肪の増加が著しかった。
今回Frontiers in Nutrition誌に掲載された研究では、61名の肥満児を対象としたプラセボ対照ランダム化二重盲検比較試験が行われた。シンバイオティクス摂取群とプラセボ摂取群に無作為に割り当てられ、被験者は両群ともに毎日のエクササイズと標準的な食事を12週間続けた。シンバイオティクスの構成と1摂取分のCFUsは、ラクトバチルスアシドフィルス、ラクトバシラス・ラムノサス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウムロンガムがそれぞれ4.3億CFUs、エンテロコッカス・フェシウムが8.2億CFUs、オリゴ糖が625mg、ラクチュロースが400mgとなっている。
同研究の結果、人体測定パラメータに有意な改善が見られた一方、グルコース代謝と脂質パラメータに有意差はなく、非アルコール性脂肪肝炎にも影響は見られなかった。研究者らは「これまでの研究ではこれらに有意差が見られたため、今回は調査期間の短さにより有意差が出なかった可能性もある」とした。
研究者らは、「腸内細菌と肥満との関連性は複雑であり、炎症の軽減や腸上皮障壁の強化、バクテリアルトランスロケーション、免疫機能への働き、コレステロールの吸収率低下、大腸炎の軽減など、多くの効果が検証されている」とした。
「GNGグローバルニュース 2022年7月26日号」より