【マーケット】消費者の食事サイクルは細分化、たんぱく質、砂糖削減が鍵
消費者調査によると、食事サイクルは、これまでの1日3食から離れ、食事と食事の間にスナックを取り入れることが増加しているという。
プラントベースのタンパク質が強化されたスナックが特に好まれているようだ。DSM Food & Beverage 社の Gilbert Verschelling 氏によると、食事の傾向は、より小さいサイズで手軽に楽しめる食品に方向を変えているという。世界の消費者の 60%は、1日3食という従来の食事形態をとらず、簡単で気軽につまめるスナックを食事代わりにしているという。そのような消費者に対し同氏は、「不規則な食事パターンや簡単なスナックで済ますことは栄養不足を引き起こし、長期的にみて健康を害することも彼らは認識している」と加え、「これからのスナックは、栄養価が高く、味や食感も優れたものが注目されるだろう」と予測した。
Innova Market Insights社が発表した 2022 年トレンドの2位となったのが、「Plant-Based: The Canvas for Innovation」だった。食の動向に現在影響を及ぼしているトレンドは「フレキシタリアンへの動き」で、消費者の29%は、プラントベース食品を増やしたいと考えている。ただ、プラントベース食品を選択する際、どうしても味と食感がネックになるという。25%が「味」に、17%は「食感」に不満を抱いている。
フレキシタリアンは動物性たんぱく質も摂取するが、プラントベースタンパク質を摂る機会を増やしたいと考えている。ただ、プラントベース食品はたんぱく質含有が少ないと考えている。Cargill社 事業開発部のBarnett氏によると、「商品の包装に「マメたんぱく質」を強調して表示すると、その食品がヘルシーなものとしてフレキシリアンへアピールできるだろう。」としている。
また、世界で新発売された置き換えダイエット商品の80%が、「高たんぱく質」「たんぱく質供給源」を掲げているという。「高たんぱく質」アピールは乳製品分野でも同じで、チーズ、ヨーグルト、乳飲料商品で高たんぱく質の表示が目立つ。さらに、消費者の健康志向とサステナブルに対する意識の高まりに伴い、「新しいプラントベースタンパク質源」への興味関心も増している。
一方、穀類、マメ類、オイルシードの他、昆虫や藻類などの研究開発も進んでおり、「糖分削減」へ の関心が強くなっている。英国の食品メーカー、Premier Foods社は、砂糖を30%削減し、果物を増やしたケーキやパイを提供するブランド「Mr. Kipling」を立ち上げた。Innova Market Insights社のデータによると、食品・飲料分野で甘味料の使用が世界的に前年比3%増になっている。今年初め、 原料開発企業、Sweegen社は、ブライゼンという植物から作る、高甘未度甘味料の「Ultratia」を開発した。これは従来の砂糖の 500~2,000倍の甘さを提供でき、低カロリーで新世代の甘味料と自信を示している。糖分削減の動きは、Nutri-Scoreで商品の栄養素について消費者に分かりやすく、前面にラベル表示するシステムの導入と同時期だった。また、このシステムにより食物繊維の摂取を意識する消費者も増えた。
アップサイクルのトレンドも拡大しており、フィンランドの菓子ブランド「Fazer」は、オーツの殻をアップサイクルし、キシリトールを製造している。
「GNGグローバルニュース 2022年6月24日号」より