【サイエンス】米国と日本におけるコロナ感染の差、食生活の違いが原因である可能性

Covid19の感染について、米国人に比べ日本人の死亡率が低いのは、オメガ3脂肪酸摂取が高いことが要因の1つである可能性が発表された。これは、女子栄養大学栄養学部の香川靖雄教授による研究である。
2021年8月28日の時点で、米国の100万人あたりの感染者数は119,026、死亡者数は1,965で、日本はそれぞれ11,381、126と、桁違いに少ない。ワクチン接種を受けた場合でも、それぞれ米国が167,302、2,537、日本が13,776、146と、やはり違いは大きい。
同教授は、PubMed、CiNiiなどのデータベースから論文 1,209件を選出し、摂取栄養分、肥満、免疫など食生活の主な要因10種について評価を行った。これによると、日本人の飽和脂肪摂取は男女とも約20gだが、米国は男性が34g、女性でも26gだった。米国の食生活で大きな割合を占めるの がジャンクフードで、食事が炎症反応に影響を及ぼす評価指標であるDIIスコアが高く、食物繊維や多価不飽和脂肪、抗酸化物質の低さが目立っている。
日本人の摂取を100%とすると、米国の牛肉摂取は396%、砂糖や甘味料が235%、魚は44.3%、コメ11.5%、大豆0.5%、お茶54.7%となり、感染リスクを下げる栄養素が含まれる、魚以降の 4種で米国人の摂取量が低い。年間の砂糖、甘味料摂取量は、1人当たり米国が 66.8kg、日本は27.1kgと、数倍の開きが出ている。日本人の食生活に多く見られる魚にはビタミンDが、また、納豆にはビタミンKが含まれ、これらの成分が持つ免疫強化の働きは、最近多くの研究で示唆されている。
日本と米国の Covid19感染率、死亡率に差異が生じたことについて香川教授は、両国の食生活や肥満率の違いが原因の一旦をなしている可能性があるとした。本研究はNutrientsに掲載されている。

「GNGグローバルニュース 2022年5月26日号」より

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