科学的に証明された「100年脳トレ」で脳に良いライフスタイルがわかる

“人生120歳時代”を迎えると言われる中、長生きが幸せなものになるかどうかを分けるのは、いつまで心身ともに健康でいられるかどうかでしょう。どうすれば「よぼよぼ」ではなく「はつらつ」と老いることができるのか。衰えは浦島太郎の玉手箱のように突然訪れるのではなく、無数の細流が集まりやがて巨大な流れになるアマゾン川のように、小さな流れが集まって脳に作用した結果であること。そして、どんな「小さな流れ」が脳に作用するかを一つひとつ、査読済みの科学論文をもとに解説したのが『ブレイン・ルール』(ジョン・メディナ博士著 野中香方子訳/東洋経済新報社)です。

著者は分子発生生物学者であり、人間の脳の発達や精神障害の遺伝学的研究を専門とするワシントン大学医学部生体工学科教授のジョン・メディナ博士。加齢による脳の衰えを減らす「ジェロサイエンス」(老化の科学)研究の成果に基づいた「100年脳トレ」ともいえる科学的に証明された脳の衰えを減らすライフスタイル=10のブレイン・ルールを紹介しています。

社交による驚きのプラス効果。
友達をつくり、そして引退してはいけない

本書に紹介されているブレイン・ルールは下記の通りです。

1.友だちを作ろう。友だちになってもらおう
2.感謝する習慣を身につけよう
3.マインドフルネスは脳を静めるだけでなく改善する
4.学ぶのに、あるいは教えるのに、遅すぎるということはない
5.脳をテレビゲームで鍛えよう
6.「わたしはアルツハイマー病になったのか」と疑う前に、探すべき10の兆候
7.食事に気をつけて、運動しよう
8.思考を明晰にするために、十分な(しかし、長すぎない)睡眠をとろう
9.永遠に生きることはできない、少なくとも今のところは
10.引退は絶対にやめよう、そして、郷愁(ノスタルジア)を大切にしよう

すでになじみのある項目もあれば、初めて目にする項目もあることでしょう。中でも多くの人にとって新鮮なのは、第1章で語られる、社交が脳に与える影響ではないでしょうか。
「社交家の認知機能の衰えは、そうでない人の半分」「週に1時間・半年間のダンス教室通いで認知機能が13%改善」「子どもと触れ合うとストレスが減り、うつ病にかかりにくくなる」といった研究結果の背景を突き止めていった結果、「過度の孤独は脳の損傷を招く」ということが明らかになったと博士は解説します。
孤独は全身性炎症を招き、全身性炎症になると脳の白質が損なわれ、脳の白質が損なわれると処理速度の衰えや認知機能の低下を招き、外出や社交を避けるようになってさらに孤独になるという悪循環に陥るのです。だからこそブレイン・ルールは「決して引退してはいけない」と締めくくられているのです。

一方、本書では、加齢による脳の変化は情緒の安定や幸福感をもたらすといったポジティブな面にも注目。また、本書で紹介された項目を取り入れた、理想的な1日のスケジュールについても紹介しています。

重要なのは、いずれも査読済み論文で報告され、多くは複数回にわたり効果が証明された項目であること。それが、時には反論も紹介しながらの作用機序の解説と、有名な映画やテレビドラマのシーン、時には博士自身の失敗談などのエピソードを織り交ぜながら立体的に語られていきます。エビデンスとストーリーの巧みな融合に思わず引き込まれ、納得し、いつの間にかライフスタイルを変容させたくなっている自分に気づくことでしょう。

【書籍情報】
『ブレイン・ルール』(ジョン・メディナ博士著 野中香方子訳/東洋経済新報社)


ウェルネス総研レポートonline編集部

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