メディア選択の優先度まで 見えてきた「7つの健康セグメント」を活用したマーケティング戦略

一般社団法人ウェルネス総合研究所は、20代~70代、約4600名の生活者の健康・ウェルネスに関する意識と行動分析に基づき、今後予測されるヘルス・トレンドシナリオを洞察した調査レポート『ウェルネストレンド白書 Vol.2』を2022年5月31日に刊行します。Vol.2ではVol.1に続き生活者を「7つの健康セグメント」に分け、Vol.1からさらに細分化した「健康情報源」の解析と、新しいテーマとして「トレンドワード」と「三大栄養素」を追加しています。本調査の設計、調査、分析を行ったウェルネス総合研究所の主席アナリストである青木健氏と白井俊行氏に、調査を重ねることで分かった新たな発見や活用法についてうかがいました。

「健康セグメント」の確かな汎用性と進化したVol.2の概要

「ウェルネストレンド白書Vol.2」では、Vol.1と同様に生活者を「健康ストイック層」「健康コンシャス層」「コツコツ健康層」「ラクして健康層」「まだ大丈夫層」「トレーニング大好き層」「健康無関心層」の「7つの健康セグメント」に分類し調査を重ねていますが、Vol.1とVol.2との違いは何でしょうか?

基本的にVol.2はVol.1を踏襲し、ユーザーのフィードバックを踏まえて興味を持っていただけそうな部分について、より細かく丁寧に補完してアップデートをおこなった形です。調査結果に対して汎用性を確かめるため、Vol.1とは完全に異なる方々を対象に調査しました。この結果、母集団の条件を同一に聴取したVol.2でも健康セグメントを主とした指標で再現性が確認できております。これは健康セグメントが中長期的に定点観測可能な分類方法であることがある程度評価できたのではと考えております。
また、Vol.2では新しいテーマとして「トレンドワード」と「三大栄養素」を追加しました。この三大栄養素について、生活者が積極的に摂りたいものや控えているものを健康セグメントごとに分析し摂取意向などの特徴を色分けしています。

Vol.2で細分化した項目は、どのような部分ですか?

Vol.2で細分化したのは、大きな部分で2つあります。ひとつ目は、どこから健康情報を取得しているのかという健康情報源です。実はVol.1でも調査していたのですが、部分的に簡略化したり集約したりしている部分がありました。これについて白書のユーザーの方やメディア関連の方々からご質問やご要望があったため、Vol.2ではページ数を大幅に増やして細かくすべてを掲載することにしたのです。
2つ目は幸福度に関するもの。その基準や健康セグメントごとの捉え方など、同様にVol.1で集約していた項目をすべて開示しました。

Vol.2では完全版を掲載!細分化された「健康情報源」と「幸福度」

アップデートされた「健康情報源」で、新たに見えてきたことはありますか?

健康情報源としては、テレビ番組やCMの影響力が大きいということがあらためて分かりました。さらに、デジタル領域のYouTube(ユーチューブ)やInstagram(インスタグラム)も健康情報を得るために視聴されています。面白いことに、これらは健康セグメントによって異なる傾向を示す結果となりました。
こうしたSNSから情報を得るというと若い世代を思い浮かべるかもしれませんが、実は若い世代ではこれらを健康情報源としては見ていません。いちばん、SNSを活用して健康情報を得ているのが、どの世代にも一定数で存在する“健康コンシャス層”。そして、この健康コンシャス層がもっとも活用しているのはYouTubeで、企業が配信するものより個人で配信している動画チャネルのようです。続いてSNSで健康情報を取ることに関心が高かったのは、“トレーニング大好き層”でした。
また、Instagramについては、どの健康セグメントも網羅する形で高めの値を示しています。

情報源詳細-SNS・EC・ニュースサイト

ウェルネストレンド白書vol.2より

「幸福度」については如何でしょうか?Vol.1で明らかにしたものから、さらに深掘りした所やトピックスなどを教えてください。

「幸福度」はすでにVol.1で健康生活度との相関を示しましたが、全く異なる対象者においても同等の調査結果が出たことで再現性の高さを実感したところです。その判断材料はVol.2でも変わらず、幸福度の高い健康ストイック層では夫婦関係や健康状態が主で、反対に幸福度の低い健康無関心層では経済や家計状況が主に寄与していました。
ここにVol.2で深掘りしたのは、Vol.1では載せていなかった“世界平和”や“ボランティア”に関する要因。日本人におけるこのふたつの要因は、幸福度の判断材料としては意外と低いということに加え、健康セグメント間であまり差もないということが分かりました。また、地域コミュニティとの関係性においても相関していません。このふたつの要因は、全体数との比較では少ないものの今後も深掘りしていきたい部分です。

健康セグメントとメディア活用の掛け合わせで見えてくる訴求法

素材メーカーや食品関連企業などメディアを通じてアプローチしていくために、この白書Vol.2をどのように活用できますか?

今回のVol.2で、各セグメントにおける健康情報源の取り方が明らかになりました。ここで、どのセグメントをコアターゲットにするかにより、選択すべきメディアの役割や優先順位が変わってきます。例えばデジタルの活用では、キーワードや素材をピンポイントに刷り込んだり、繰り返して情報に対する接触頻度を高めたりしていくといった手法も有用でしょう。さらにこれをキュレーションメディアのような、じっくりと記事を読み込んでもらう形でタッチポイントを増やす手法も近年では増えてきたように思います。
一方で、きちんとした情報を出していくことが必要なもの、例えば研究内容や効果効能に関しては、企業側の持つ情報を生活者にわかりやすく翻訳して発信することを考えることが重要です。

健康セグメントごとに見ると、具体的にどのような媒体を使って訴求するとよいでしょうか?

キュレーションメディアのような情報源は、健康ストイック層やトレーニング大好き層がかなり参考にしています。同じデジタル媒体でもYouTubeやInstagram、そして通販サイトは健康コンシャス層のニーズが高いですね。反対に新聞の記事広告や折り込みチラシなどの紙媒体はコツコツ健康層が、ほぼすべての項目で上位に位置している健康ストイック層に次いで多数を占めています。
このようにひと言でデジタル媒体といっても、SNSやニュースサイト、ウェブサイト、広告、アプリといった多くの手法がひしめく現代では、ターゲット層が好んで視聴する媒体を選ぶことが訴求する上で重要です。

健康産業にとって有望なターゲットになり得るセグメントやトレンド

若年男性を中心にした近年の整える系、いわゆる“サウナー”はどのセグメントに入りますか?また、彼らの健康意識やターゲットの在り方としてはどのように見たらよいでしょうか?

健康意識について、この白書ではVol.1に続きVol.2でも個々の価値観に基づき、どのような行動をとって今後どう変わる意向があるのかというような視点で見ています。そこでいうと近年、流行の“サウナー”はトレーニング大好き層に入るかもしれません。この層の人たちは個別に抱える健康課題を持たず、プラスアルファのより良い自分になるために自ら行動に移しています。つまり、サウナに入って心身ともに整えれば自身のパフォーマンスを最大限に発揮できるというイメージがあるから行動するのです。これは、ヘルス(健康、Health)というよりウェルネス(Wellness)やウェルビーイングの概念に近いものでしょう。

一昔前には、ストレスは溜まってから発散するという考え方が一般的でした。しかし今では、ストレスは溜めないように自ら環境を変え、より自分らしく演出してくれる場所やツールを選択できる時代に。スポーツジムやサウナ、ムードフードなどのサプリメントといった、自分に適したものを選びたいという意識のあるトレーニング大好き層は、新しい健康の流れを求めるニュージェネレーションと言えるかもしれません。

トレンドワードの認知度と健康セグメントにおける関連性について教えてください。

今回のVol.2では改めて、トレンドワードの認知度や理解について全てのセグメントに対して分析しました。近年、広まってきたフェムテックや認知機能といったワードも見ています。流行り始めて間もないトレンドは、全体からすると認知者数はまだそこまで多くありません。しかし、そのワードを既知かどうかにとどまらず、その先の関心度や摂取意向の有無まで聞き出しているため認知と理解のギャップに着目し、他の素材・成分と比較することで何かしらの参考になると思います。
ここ最近で目覚ましい勢いを見せているトレンドは、タンパク質です。Vol.2では、このタンパク質を含めた「PFCバランス」に注目した三大栄養素についても詳しく分析しました。タンパク質については動物性と植物性に加えて昆虫食も組み込み、各セグメントに異なる関心度を抽出。すると、植物性で多かったのは健康ストイック層で、昆虫食は全体的に少ない中で多かったのはトレーニング大好き層と、各セグメントごとに興味深い関心度の違いが分かったのです。

三大栄養素の摂取意向

ウェルネストレンド白書vol.2より

タンパク質の各食成分の摂取意向

ウェルネストレンド白書vol.2より

今後の白書で取り上げたいテーマや、もっと深く分析していきたいものはどのような部分ですか?

今回のVol.2で初めて分析した三大栄養素については、脂質が良い脂なのか悪い脂なのか、糖質の細かい種類といった所まで深く項目分けして調査する所まで至っていません。今後はもっと細分化し、全体的にナチュラルを求める現代において三大栄養素のうち不足する部分をサプリメントで補うための提案なども白書の中で示していきたいと思います。

⻘⽊ 健 氏 プロフィール

株式会社インテグレート 戦略コンサルティング事業本部 コンサルティング部 プロジェクトマネージャー 兼 ウェルネス総合研究所 主席アナリスト。マーケティングリサーチ領域における定量・定性調査設計/および分析の経験と、生活者インサイトをベースとした戦略プランナーの両方の経験をもつ。担当領域は主にFMCGの商品開発支援、ブランド戦略⽴案、新規事業開発支援など多岐にわたる。

白井 俊行 氏 プロフィール

株式会社インテグレート 戦略コンサルティング事業本部 アナリティクス&データ部 部長 兼 ウェルネス総合研究所 主席アナリスト。CRM/デジタル領域におけるアナリスト経験と、クライアントのビジネス課題をコミュニケーションで解決する戦略プランナーの両方の経験を持つ。担当領域は、KPI策定、調査設計、⾏動ログ分析、予測モデル構築など多岐にわたる。


ウェルネス総研レポートonline編集部

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