04認知症コラム
認知症と生活習慣病は関係がある?
予防に役立つ生活習慣病の対策法も解説
2026.03.30
認知症と生活習慣病には関連があることが多くの研究からわかっています。生活習慣病の種類や患者の年齢によって認知症の発症リスクを高めることがあるため注意が必要です。ここでは、生活習慣病と認知症の関係や、認知症予防につながる生活習慣病対策について詳しく紹介します。
認知症と生活習慣病は
どう関係している?
生活習慣病の種類や年齢によっては
認知症のリスクが高まることがある
認知症とは、脳の神経細胞の働きが変化し、記憶力や判断力といった認知機能が低下することで、社会生活に支障をきたしている状態を指します。神経細胞の働きが変化する理由としては、脳卒中のほか、アミロイドβなどの特定のタンパク質が脳に異常蓄積することなどが挙げられます。
脳卒中やタンパク質の異常蓄積の原因として、生活習慣病との関係が注目されています。ただし、年代によって認知症と生活習慣病の関係が異なるため、適切とされる対策も異なります。
参考:厚生労働省
「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」
それぞれの生活習慣病と認知症の関係
認知症と生活習慣病の関係は、年代によって異なります。生活習慣病の種類別に年代による関係を見ていきましょう。
| 中年期(45~64歳) | 高齢期(65歳以上) | |
|---|---|---|
| 糖尿病 | ○ | ○ |
| 高血圧 | ○ | △ |
| 肥満症 | ○ | △ |
| 脳卒中 | ○ | ○ |
| 脂質異常症 | ○ | △ |
○:その病気を持っていると認知症の危険性が高まる
△:その病気と認知症の関係性は判明していない
糖尿病
糖尿病の患者はアルツハイマー型や血管性など
複数の認知症のリスクが高いとされる
高血糖状態が続くと脳の炎症や代謝異常が進み、認知機能の低下を早める可能性があります。また、認知症発症後も血糖管理が不十分な場合には、認知症の進行が速くなると指摘されています。
地域住民を対象に60年以上疫学調査を継続している福岡県の久山町研究において、糖尿病の方は正常血糖の方と比べ、アルツハイマー型認知症の発症率が約2倍と報告されました。その他の研究でも、中年期から高齢期を通じて糖尿病の患者は認知症発症のリスクが高まることがわかっています。
高血圧
中年期の高血圧はアルツハイマー型認知症や
脳血管性認知症のリスク上昇と関連がある
血圧が高くなると認知症発症リスクが高まるといわれています。とくに、中年期の高血圧に認知症のリスクが潜んでいます。中年期に高血圧であった人は、高齢期に低血圧になったとしても、中年期に正常血圧であった人と比べて認知症のリスクが約1.5~1.6倍高いことが研究でわかっています。
また、高血圧は、認知症だけでなく脳梗塞などの脳血管障害の原因の一つです。認知症の中でも脳血管障害が原因となる「脳血管性認知症」は高齢期によく見られます。
肥満症
中年期の肥満は将来の
認知症リスクを高める
中年期の肥満と認知症の関係については、さまざまな研究で示されています。反対に、高齢期では肥満ではなく痩せすぎや急激な体重変化が認知症のリスクとなるため注意が必要です。
高齢者を対象とした大規模研究では、短期間でBMI(体格指数)が大幅に減少した人の認知症発症率の高さが指摘されています。
脳卒中
脳卒中の発症・再発後は中年期、高齢期を
問わず
認知症のリスクが上昇する
脳卒中の発症は中年期、高齢期を問わず認知症のリスクを上昇させます。脳卒中の発症後、約1割の方が1年以内に認知症を発症すると報告されています。また、脳卒中を再発した場合は、1年以内の認知症発症率はさらに高まり、約3割にも上ります。
再発を繰り返すと認知機能の低下も速まるため、認知症予防のためにも脳卒中が生じたときはすぐに医療機関を受診しましょう。
脂質異常症
中年期に総コレステロール値が高いと
アルツハイマー型認知症の発症リスクが上がる
脂質にはHDLコレステロール(善玉コレステロール)やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、中性脂肪などがあります。中年期に総コレステロール値が赤いと、アルツハイマー型認知症の発症リスクが上昇するとのデータがあります。ただし、HDLコレステロールや中性脂肪と認知症との関連性については確認されていません。
また、高齢期においては、脂質異常症と認知症の関係は明らかになっていません。
認知症の予防にも役立つ生活習慣病の対策法
認知症を予防するためにも、生活習慣病の予防に努めることが大切です。今から始められる生活習慣病対策を紹介します。
食生活を整える
栄養バランスのよい食事を適量採ることで、脳の状態と代謝が安定し、生活習慣病と認知症の両方を防止するのによい効果をもたらします。目でも楽しめるように盛り付けの色どりを工夫したり、よく噛み時間をかけて食べたりすることも大切です。人と一緒に食事をするのもよいでしょう。
- 具体的な方法
-
- ビタミンB群や亜鉛、カルシウムなどのビタミン・ミネラルをバランスよく摂取する
- 野菜・果物・魚などの抗酸化・抗炎症作用のある食品が含まれている食事を選ぶ
運動習慣をつくる
定期的に体を動かすことで血流や代謝が良くなり、筋力も維持しやすくなります。こうした身体の状態が整うと、神経細胞が働きやすい環境が保たれます。さらに、肥満の予防にもつながるため、生活習慣病の悪化と認知機能の低下のどちらも抑えやすくなるでしょう。
さらに、運動にはうつ症状を軽減する効果や、睡眠の質を向上する効果もあるとされています。いずれも認知機能の向上につながるため、普段の生活に運動を取り入れることをおすすめします。
- 具体的な方法
-
- ウォーキングや水泳などの有酸素運動と筋力トレーニングの両方に取り組む
- 複数の運動を実施する
- 運動課題(足踏みやウォーキングなど)と認知課題(しりとりや計算など)を同時にやる
脳を使う習慣を取り入れる
意識的に脳を使うことは、認知症と生活習慣病のリスク低下に効果があるとされています。たとえば、記憶が曖昧なことを思い出そうとしたり、少し難しい課題にチャレンジしたりすることです。このときに思考や記憶をめぐらせることで、脳の働きが活性化されます。
また、人との会話や交流も脳を使う大切な習慣です。対面が難しい状況であれば、電話やビデオ通話でもよいでしょう。
- 具体的な方法
-
- 読書やパズル、囲碁・将棋、楽器の演奏などを楽しむ
- 自分がしたいことに興味を持って能動的に取り組む
- 趣味のサークルや地域の集まりに参加し、人とコミュニケーションをとる
睡眠を整える
質・量ともに適切な睡眠は、脳の回復と代謝機能の調整に有効とされています。認知症と生活習慣病の両方を予防するためにも、睡眠を大切にしましょう。反対に睡眠不足が続くと、代謝や血圧を乱し、認知症と生活習慣病のリスクを高める可能性があります。
一晩を通して眠れない、眠っているが朝すっきりしない、長く寝すぎてしまう、という方は入眠方法や環境を見直して睡眠の質と量を守りましょう。
- 具体的な方法
-
- 寝室を暑すぎず寒すぎず適度な湿度が保てるように調整する
- 就寝直前までテレビやスマートフォンなどの光が強い画面を見ないようにする
- 寝る前は部屋を暗くし、自然に入眠できるようにする
参考:厚生労働省「生活習慣病予防」
認知症と生活習慣病に関するよくある質問
認知症と生活習慣病は密接に関係しています。認知症と生活習慣病についてよくある質問とその答えを見ていきましょう。
生活習慣病を治せば認知症リスクは下がりますか? 若い頃の生活習慣病は将来の認知症リスクに影響しますか? 忙しくても続けられる予防法はありますか?
Q生活習慣病を治せば認知症リスクは下がりますか?
定期的な運動や禁煙、健康的な食事、コレステロールや血糖値を適切に管理することなどにより生活習慣病を改善すると、認知症の発症リスクを低下させることができます。認知症予防のためにも、生活習慣病の改善に努める必要があります。
Q若い頃の生活習慣病は将来の
認知症リスクに影響しますか?
アメリカで実施された研究では、血糖値やコレステロール値に問題のある30代の方は、将来、アルツハイマー型認知症に罹患するリスクが高いことが報告されています。若いときから健康的な生活を送り、定期的に健康診断を受け、必要に応じて治療を行うことで、将来の認知症リスクを減らしましょう。
Q忙しくても続けられる予防法はありますか?
すきま時間を使って今より10分多く体を動かしてみましょう。たとえば、お手洗いにいったあと必ず腕立て伏せをする、会社にいくときに一駅分だけ歩いてみるなどです。他に時間を取らない予防法としては飲酒や喫煙、暴飲暴食を「減らす」ことから始めるなどもおすすめです。
健康的な生活を意識し認知症と
生活習慣病を予防しよう
認知症と生活習慣病には、深い関わりがあります。毎日の生活習慣を見直し、生活習慣病を予防することで、認知症の予防につなげていきましょう。
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