04認知症コラム
認知症予防のための脳トレ8選
―より効果を引き出すポイントも解説
2025.03.27

脳トレ(脳トレーニング)は認知症予防の効果を期待できるだけではありません。周囲とのコミュニケーションを活発にしたり、気持ちを明るくしたりする効果も期待できます。この記事では、具体的な脳トレの方法や実施時の注意点について解説します。また、脳トレとあわせて実施したい認知症予防につながる方法も紹介するので、ぜひご覧ください。
脳トレを行うことで得られる3つの効果
脳トレを実施することで、さまざまな効果が期待できます。主な効果についてみていきましょう。

脳機能の改善
脳トレは脳を刺激し、脳内血流の活性化につながる活動といわれています。加齢とともに脳内血流量は徐々に低下します。血流量の低下は認知機能障害や認知症の発症リスクを高めるため、脳内血流の活性化を図ることが必要です。
脳トレを適度に実施することで、脳機能の改善に役立てていきましょう。
コミュニケーションが生まれる
クロスワードや計算といった一人で実施できる脳トレもありますが、対戦型のゲームやクイズのように複数人で実施できる脳トレもあります。参加者同士の会話を促進し、コミュニケーションが生まれるきっかけにもなるでしょう。
また、デイサービスや公民館などで脳トレを行うなら、社会的なつながりの強化や孤立感軽減といった効果も期待できます。他者との関わりが生まれるだけでなく、新しい視点や考え方を学ぶことで、さらに脳に刺激を与えられるかもしれません。
楽しい気持ちになり意欲が高まる
脳トレは楽しみながら実践できることもメリットです。楽しい気持ちが生まれ、気分をリフレッシュさせる効果もあります
また、新しい課題に挑戦して成功体験を積むことで、自信が生まれ、気持ちも前向きになるでしょう。日常生活におけるモチベーションや積極性の向上にもつながる可能性があります。
脳トレを始める前に知っておきたい主な認知機能8つ
認知機能は、下記の8つの機能に大別できます。いずれの機能も、低下すると日常生活や社会生活に支障が生じるため注意が必要です。各機能を理解し、より効果的な脳トレを実践していきましょう。
認知機能 | 機能の詳細 |
---|---|
記憶力 | 物事を覚える能力。記憶を取り込む「記銘」と取り込んだ記憶を維持する「保持」、必要に応じて思い出す「想起」に細分できる。 |
注意力 | 一つの事柄に気持ちを集中させる能力や、複数の事柄に同時に注意を向ける能力。 |
計算力 | 数字を理解して計算する能力。予算内で購入する、時間配分を考えて行動することも含まれる。 |
判断力 | 状況に応じた行動を判断する能力。物の形や状態を理解したり、季節や状況に応じた服装を選んだりすることも含まれる。 |
言語能力 | 自分の気持ちや意思を言語化し、相手の言葉を理解し、記載されている文字を理解する能力。 |
遂行能力 | 目的を達成するために適切な行動を選択・実行する能力。順序を立てて行動する能力も含まれる。 |
見当識 | 現在の時間や場所、状況を総合的に判断・理解する能力。 |
社会的行動能力 | 感情や欲求を適度に抑制し、社会的に行動する能力。能力が低下すると問題行動が増えるだけでなく、怒りが生じやすくなったり、やる気がなくなったりすることもある。 |
認知症予防の脳トレーニング8選
認知症予防の効果を期待できる脳トレを紹介します。脳のさまざまな機能を刺激するためにも、バラエティに富んだトレーニングが必要です。脳トレの種類を増やして、認知機能へアプローチしましょう。
じゃんけんなどの手遊び
じゃんけんなどの手遊びなら、ルールを理解しやすく誰もが楽しめるでしょう。また、場所を選ばず準備も不要なため、継続しやすいのもメリットです。童謡や唱歌などを歌いながら取り組むと、より楽しく脳トレができます。
- 拮抗運動のやり方
-
- 両手をグーに握り、手のひらが前になるように構える
- 左手の親指と右手の小指を同時に立てる
- 次に左手の人差し指と右手の薬指、左手の中指と右手の中指というように左から順に立てていく
- 左手の小指と右手の親指を立てたら、次は右から順に立てていく
- 一人じゃんけんのやり方
-
- 両手をグーに握り、手のひらが前になるように構える
- 左右同時にグー→チョキ→パーの順に指を動かす
- 慣れてきたら、左手はチョキ→グー→パー、右手はパー→グー→チョキのように左右の動きを変える
漢字の穴埋めクイズ
漢字の熟語でクロスワードをしたり、イラストを漢字に変換して熟語を完成させたりする脳トレもおすすめです。漢字を思い出すだけでなく実際に書くことで、記憶力や思考力の低下を防げるだけでなく、識字能力の維持にも役立ちます。
- 漢字の穴埋めクイズの具体例
-
- 熟語を使ったクロスワード
- イラストを漢字に変換して熟語を完成させる
- 漢字を組み合わせて四字熟語を完成させる
- 難読漢字・難読熟語に挑戦する
計算問題
計算問題を解くことで、ワーキングメモリや計算力のトレーニング効果が期待できます。小学校低学年レベルの問題からスタートし、徐々に難易度を上げていきましょう。また、単に計算するだけでなく、虫食い算や文章題などに挑戦するのもおすすめです。
- 計算問題の具体例
-
- 簡単な四則演算をする
- 四則演算を組み合わせた問題(例:2×10-8÷0.5)に挑戦する
- 小銭の計算など、日常的な場面を想定した文章題を解く
間違い探し
間違い探しは、注意力や記憶力を鍛える脳トレです。複数枚の同じ絵の中から異なる1枚の絵を探したり、2枚の絵にある複数の違いを見つけたりします。難易度を高めたいときは、間違いの数を増やしたり、わかりにくさを高めたりするのもおすすめです。
なぞなぞ
なぞなぞは思考力の柔軟性を強化する脳トレです。集中力や記憶力だけでなく、多様な視点を養えます。インターネットでも問題を入手しやすいので、季節や興味のあるスポーツなどに関したものを選んでみてはいかがでしょうか。
また、複数人やチーム戦で遊べるのもなぞなぞの特長です。人が集まったときに、コミュニケーションの活性化の手法として取り入れてみてください。
塗り絵
塗り絵は、一人でできる脳トレです。難しい思考や動作を必要としないため、取り組みやすいのも特長といえるでしょう。
線からはみ出さないように塗ることで注意力を鍛え、バランスを考えて色を選ぶことで判断力も養えます。色や塗り方を指定せず、楽しみながら取り組むことが大切です。
しりとり
しりとりには、記憶力や語彙力を鍛える効果があります。2人~大勢で楽しめて、コミュニケーションの活性化にも役立つ脳トレです。
「果物の名前」や「3文字以上の単語」のようにテーマを決めて行うと、より思考力が養えます。言葉に詰まる人がいても、急かさず、楽しめるように声がけをしましょう。
ボードゲームなどの脳トレゲーム
一人で楽しむ脳トレとしては、クロスワードパズルや数独、ジグソーパズルなども挙げられます。また、スマートフォンやタブレット端末で楽しめる脳トレゲームも増えてきました。
2人なら将棋や囲碁、2人以上ならボードゲームもおすすめです。複数人で楽しめるゲームなら、コミュニケーションを通じてより脳を効果的に刺激できます。
脳トレをするうえで注意したいポイント
脳トレは簡単な手法が多いため、気軽に取り組めるでしょう。ここでは、より効果的に実施するためのポイントを紹介します。
簡単な頻度と時間から始める
無理のない頻度と時間からスタートするようにしましょう。週に2~3回、1回あたり10~15分程度から始めるのがおすすめです。
脳トレの習慣を身につけると、徐々に長時間のトレーニングにも耐えられるようになります。最初からいきなり長時間取り組むと、疲労やストレスにつながるため注意が必要です。
難易度は易しいものを選ぶ
まずは難易度が低いものを選びましょう。難しすぎる課題に挑戦すると、挫折感を味わうだけでなく、脳トレに対するモチベーションが低下することがあります。徐々にレベルを上げ、達成感を得ながら続けるようにしてください。
ただし、あまりにも自分に合わない低いレベルのトレーニングをすると、かえって苦痛を感じることがあります。複数人で実施するときは、認知機能のレベルが合う人同士で実施するようにしましょう。
自信を失わないように配慮する
脳トレは自信を持って取り組むことが大切です。自信を喪失すると継続が難しくなります。失敗を恐れずにチャレンジすること、できたことを積極的に評価する、自分を褒めるなどを心がけ、脳トレを続けていきましょう。
スタッフや家族も楽しめるものを選ぶ
複数人でできる脳トレを実施するとコミュニケーションが取れて、より脳への刺激を期待できます。施設のスタッフや家族と一緒に楽しめるものを選ぶようにしましょう。
一人で脳トレをする場合も、ほかの人と成果を共有したり、励まし合ったりできる環境にすることが大切です。コミュニケーションが生まれるきっかけになります。
できるだけ早いうちに始める
認知機能は60歳を過ぎたころから徐々に衰え始めるといわれています。「まだ脳トレをするには早い」と思わず、できるだけ早めに取り組むようにしてください。早期に始めることで、脳の健康を維持し、認知機能の低下を予防する効果を期待できます。

脳トレとあわせて取り入れたい認知症予防法
認知症予防の方法は脳トレだけではありません。あわせて実施したい方法をいくつか紹介します。
運動トレーニングをする
適度な運動は血流を促進し、脳への酸素供給を改善します。ウォーキングやジョギング、ヨガなどの軽い有酸素運動を日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
有酸素運動は、脳の萎縮の進行を防ぐ効果も期待できます。また、軽い運動を続けることでストレスを軽減し、心の健康を保つことにもつながるでしょう。
必要量の栄養をとる
栄養バランスのよい食事をすることも認知症予防に必要な要素です。魚やナッツ、管元、野菜などのオメガ3脂肪酸や抗酸化物質を含む食品も意識的に摂取し、脳の健康を維持するようにしましょう。また、ビタミンCやビタミンEなどは、脳の老化を遅らせる効果があるといわれています。
生活習慣を整える
規則正しい生活も、認知症予防の重要なポイントです。朝は決まった時間に起床し、同じ時間に食事することで、夜にしっかりと寝られるように心身をバランスよく疲れさせます。
また、脳の回復と記憶の定着には、十分な睡眠時間を確保することが欠かせません。リラックスや趣味の時間も持ち、心身のバランスを保つようにしましょう。
認知症予防を始めよう
60歳を超えると認知機能は徐々に低下するといわれています。いつまでも脳の健康を維持するためにも、脳トレを始めてみてはいかがでしょうか。クロスワードパズルや数独などの一人でできる脳トレや、ゲーム型・対戦型の複数人で楽しめる脳トレもあります。
脳トレだけでなく、生活習慣を整えることや栄養バランスに注意すること、運動習慣を身につけることも大切です。また、認知症予防に関する最新知識を入手し、生活の中で実践していくこともおすすめします。ぜひ以下から最新研究をチェックしてみてください。