04認知症コラム
認知症予防に効果的な食べ物は?
食事をするときのポイントについても解説
2026.06.17
認知症は予防することが重要と言われていますが、その方法のひとつに食事があります。今回は、どのような食事が認知症予防に効果があるのか、また、効果的な食べ物について紹介します。注意が必要な食べ物や、食事をするときのポイントについても解説するので認知症を食事で予防したいとお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
認知症を予防できる食べ物はある?
認知症は単なる物忘れではなく、さまざまな原因により脳の働きが低下する病気です。記憶力や判断力の低下といった症状があり、日常生活に支障をきたします。認知症には確立された根本的な治療法はまだありませんが、食事の見直しによって結果的に認知症のリスクを減らすことは可能だといわれています。
| 主な原因 | |
|---|---|
| アルツハイマー型 認知症 |
アミロイドβの蓄積による |
| 脳血管性認知症 | 脳卒中、脳梗塞などによる |
| レビー小体型認知症 | 「レビー小体」というタンパク質の蓄積による |
| 前頭側頭型認知症 | 脳の前頭葉や側頭葉で神経細胞が 減少して脳が萎縮する |
認知症のタイプはアルツハイマー型と脳血管性が全体の8割以上を占めており、この2つは生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)との関連があるとされています。
生活習慣病は主に食習慣や運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣の積み重ねが発症や進行に関わる疾患です。
そのため食べ物や食事のとり方でもリスクを減らすことができると考えられます。
食習慣で生活習慣病を予防することにより、前述した2タイプの認知症の発症リスクを減らすことが期待できるといわれています。
認知症予防に効果的な食べ物
認知症予防のために効果的とされている食べ物はいくつかあります。ここでは、具体的な8つの食品について詳しくみていきましょう。
青魚
青魚は、脳によいとして広く知られている食べ物の一つです。
サバやサンマ、アジといった青魚は不飽和脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)を多く含みます。DHA・EPAは血液中の悪玉コレステロールを減らし、血液の流れを良くする効果が期待できるでしょう。
さらに、DHAには脳神経細胞の情報伝達をスムーズにする働きがあり、認知機能によい影響を与えるといわれています。
青魚に豊富に含まれるDHAやEPAが血液循環を
良好にし、認知機能維持の助けにもなる
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「HDLコレステロール」
緑黄色野菜、果物
緑黄色野菜や果物に含まれる栄養素をしっかりと摂取することで、認知症のリスクとなる生活習慣病の予防につながるでしょう。
たとえば、ほうれん草やニンジンなど、緑黄色野菜や果物は、ビタミンB群の一種である葉酸を豊富に含んでいます。葉酸は血液中の有害なアミノ酸を無害化する働きがあり、動脈硬化のリスク軽減が期待できる栄養素です。
また、野菜や果物は葉酸だけでなく、抗酸化作用のあるビタミンCやEも多く含んでいます。これらのビタミンは血中のコレステロール値を下げるため、生活習慣病のリスクを減らせるでしょう。
緑黄色野菜や果物に含まれるビタミンB群の葉酸は
血液中の有害なアミノ酸を無害化し、
動脈硬化リスクを減らす
コーヒー
コーヒーを日常的に摂取している人はそうでない人と比べて、認知症リスクが減少することを示した研究結果もあります。
コーヒーに含まれるカフェインには、記憶や認知機能を改善する効果がみられることが動物実験でわかっています。さらに、コーヒーに含まれるポリフェノールも、認知症予防に何かしらよい影響を与えていると考えられているのです。
実験では1日3杯以上を摂取すると認知症リスクが半分程度になると示されていますが、カフェインを過剰摂取すると、吐き気やめまいといった症状が出る場合があります。カフェインへの反応性には個人差がありますが、コーヒーは1日多くても3杯程度にとどめ、適量の摂取を心がけましょう。
コーヒーのクロロゲン酸による抗酸化作用で
アミロイドβの蓄積を減らし
カフェインの
利尿作用で不要なタンパク質を体外に排出する
出典:新潟大学医学部医学科
「日本人高齢者におけるコーヒー、緑茶、カフェインと認知症リスクの関連」
緑茶
緑茶も認知症予防によいとされているものの一つです。
緑茶に多く含まれているポリフェノールの一種であるカテキンは、生活習慣病の予防に役立ちます。不規則な生活習慣やストレスを感じると活性酸素が体内で生じ、コレステロールを酸化させ、生活習慣病を引き起こす原因になりかねません。カテキンがもつ強い抗酸化作用は活性酸素を抑制するため、生活習慣病の予防が期待できます。
緑茶もコーヒーと同様カフェインを含む飲み物です。過剰に摂取することは避け、適量を飲むようにしましょう。
緑茶のカテキンも抗酸化作用があり、
生活習慣病リスクの原因となる活性酸素を取り除く
効果がある
カレー
カレーに含まれるスパイスの成分が、認知症予防に役立つことがわかっています。
カレーにはターメリック(ウコン)というスパイスがよく使われます。このターメリックに含まれるクルクミンはポリフェノールの一種で、脳の機能を活性化させる効果があるとされています。さらに、クルクミンはアルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβの蓄積を防げる可能性があるため、今後の認知症対策として注目される成分です。
カレーのスパイスであるターメリック(ウコン)に
含まれるクルクミンが免疫細胞を活性化し、
アミロイドβの蓄積を抑える
大豆製品
大豆製品は脳の健康によい影響をもたらします。
これは大豆に含まれるレシチンが、脳の記憶や認識機能をサポートするアセチルコリンの材料となるためです。レシチンが不足すると、記憶力の低下や不眠などの問題が起こる可能性が高まるでしょう。とくに納豆に含まれるナットウキナーゼ(酵素)は、血流を良くして血栓を防ぐとされており、脳梗塞のリスクを下げる効果が期待できます。
レシチンを含む大豆製品を積極的に摂取することが、脳の健康を維持する上で大切です。納豆をはじめとした大豆製品を普段の食生活に取り入れてみましょう。
大豆に含まれるレシチンは神経伝達物質
「アセチルコリン」を作る材料となり
とくに納豆のナットウキナーゼは、
血流を良くして脳梗塞のリスクを下げる
オリーブオイル
オリーブオイルも、認知症予防によい影響をもたらす食品として知られています。
その理由の一つは、オリーブオイルに含まれるオレイン酸という不飽和脂肪酸です。オレイン酸は、血中のコレステロールや中性脂肪をコントロールする働きがあります。そのため、脳梗塞や動脈硬化の予防によい影響を与えるでしょう。
オリーブオイルを適度に摂取することで、血管の健康の維持につながります。料理に使う油をオリーブオイルに変えたり、味噌汁に少し入れたりと、普段の食生活に取り入れてみましょう。
オリーブオイルのオレイン酸は、
血中コレステロールや中性脂肪をコントロールする
働きがあり、脳梗塞の予防効果がある
出典:Aeschbach D, Sher L, et al.
「A longer biological night in long sleepers than in short sleepers.」
( Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Vol. 88, No. 1, 2003)
赤ワイン
赤ワインには強力な抗酸化作用を持つポリフェノールが含まれ、老化や動脈硬化、高血圧の予防効果が期待できます。1日250mlから500mlのワイン飲用はアルツハイマー病、認知症の発症を抑えるという報告があります。
ただし、アルコールの大量摂取はかえって認知症の危険性を高めます。くれぐれも摂取量の目安を超えて飲みすぎることのないよう注意しましょう。
認知症予防のために要注意の食べ物
認知症の予防効果が期待できる食べ物がある一方で、悪影響を及ぼすと考えらえているものもあります。とくに注意が必要な3種類を、以下に紹介します。
マーガリン、ショートニング
マーガリンやショートニングにはトランス脂肪酸が多く含まれています。トランス脂肪酸は血液中の悪玉コレステロールを増やして動脈硬化の引き金となることが分かっており、過剰に摂取すると脳梗塞や脳血管性認知症につながります。ファストフードやお菓子に多く含まれることが多いので注意しましょう。
菓子パン
菓子パンは、前述したマーガリンやショートニングがとくに多く含まれる食品です。それだけでなく、砂糖や小麦も多く含まれるため、食べ過ぎると糖値の急上昇や、悪玉コレステロールの増加を招きます。糖尿病や脳梗塞といった生活習慣病の原因となるため、脳の健康にとって好ましくありません。過度な摂取は避けるよう気を付けましょう。
肉の脂身
脂身や背脂、ラードなどの動物性の脂肪には、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸が含まれています。飽和脂肪酸もトランス脂肪酸と同様に悪玉コレステロールを増加させ、過剰摂取は脳梗塞が原因となる脳血管性認知症のリスクを高めることにつながります。
認知症予防のための食事のポイント
認知症を予防するためには食べるものだけでなく食事の仕方も大切です。
認知症予防のために心がけたい食事のポイント5つをご紹介します。
バランスのよい食事を心がける
栄養バランスのよい食事を摂ることは、認知症予防につながるポイントの一つです。
栄養バランスのよい食事とは、私たちが生命維持するために必要な炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素が必要量そろっている食事を指します。栄養バランスのよい食事を食べることで、脳にとって重要なDHA・EPAや葉酸、ビタミンA,C,E、ミネラルを摂取できるでしょう。
一日の摂取カロリーを守る
カロリーの過剰摂取による肥満は、アルツハイマー型認知症の原因の一つと考えられています。さらに、内臓脂肪が蓄積すると高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こしかねません。結果として脳への血流を悪化させ、脳血管性認知症のリスクを高めるため注意が必要です。
適切な摂取カロリーは性別・年齢・身体活動レベルによって異なります。下記
右記は、身体活動レベル「ふつう」*の人の一日の適切な摂取カロリーです。
参考にしてみてください。
* 身体活動レベル「ふつう」とは座位中心の仕事を行い、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む程度の活動
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 50〜64歳 | 2650kcal | 1950kcal |
| 65〜74歳 | 2350kcal | 1850kcal |
| 75歳以上 | 2250kcal | 1750kcal |
塩分の摂りすぎに注意する
塩分を摂りすぎないことも、認知症予防のために心がけたいポイントの一つです。
高血圧は塩分を摂りすぎることによって引き起こされ、脳卒中や脳梗塞のリスクを高めると考えられています。脳血管の疾患は、脳血管性認知症を発症する一因となるでしょう。高血圧が原因となる血管障害を防ぐためにも、塩分を摂りすぎないよう心がけた食事を行うことが大切です。
またカリウムを摂取するのもよいでしょう。カリウムは、血液中の余分なナトリウム(塩分)を体外に排出するのに役立ち、高血圧の予防にも効果があるとされています。野菜や海藻類に多く含まれているので、意識的に摂取しましょう。
※カリウムが豊富な食材は昆布、わかめ、ひじき、パセリ、切り干し大根、アボカド、バナナなど
糖分の摂りすぎに注意する
普段の食生活で糖分を摂り過ぎないことも、認知症予防のためには大切なポイントの一つです。
糖分の過剰摂取は糖尿病のリスクを高めます。糖尿病が発症すると、脳内のアミロイドβが分解されにくくなり、蓄積しやすくなる可能性があります。これは、アルツハイマー型認知症の一因となりかねません。
しかし、糖分はエネルギー源として必要な栄養素です。糖分の多い菓子類や炭水化物中心の食事を見直し、適切な量を意識しましょう。
自分で調理することを心がける
自分で調理し、食事を用意することも認知症予防のためにも必要なポイントです。
自炊することで、食事内容に気を遣えることが理由の一つとして挙げられます。さらに、「調理をする」ことで脳を活性化させ、認知機能へのアプローチもできるしょう。食事に至るまでの過程は、「栄養バランスを考えて献立を考える」「調理に必要な食材を購入する」「手順を考えて調理する」など、認知機能の刺激に効果的といえます。
高齢の方の場合、すべてを実行するのは難しいかもしれません。しかし、周囲の助けを得ながらでも、考えながら料理をする行為は認知機能の維持につながります。
認知症予防の食べ物・食事に関するよくある質問
認知症で意識したい食べ方のポイントはありますか? 認知症予防のために今日からできる食生活の工夫はありますか? 認知症予防のためにサプリで栄養を補ってもいいですか? 認知症予防にいいメニューはありますか?
Q認知症で意識したい食べ方のポイントはありますか?
食べ方の工夫としては、「ベジファースト」を心がけるのがおすすめです。そうすることで血糖値の急上昇を抑えることができます。ただし、加齢で食が細くなってきている方は、タンパク質を優先して食べるようにするのもおすすめです。
Q認知症予防のために今日からできる食生活の工夫はありますか?
なるべく自分で料理するようにすることで、調理の段取りを考えることや作業が脳の活性化につながります。また、よく噛むことも脳への刺激になるため、歯ごたえのある食材選び、よく噛めるよう歯を健康に保つことも重要です。
Q認知症予防のためにサプリで栄養を補ってもいいですか?
サプリメントを長期的に摂取した場合の効果は十分にわかっていません。ただし、認知症予防や健康の維持にはバランスの取れた栄養摂取が必要です。不足する栄養素はサプリメントなどで補うのがよいでしょう。
Q認知症予防にいいメニューはありますか?
認知症予防には、地中海食がよいと言われています。中でも魚とオリーブオイルを使用した白身魚のソテーやサーモンマリネ、鯛のカルパッチョなどは日本人の好みに合いやすいでしょう。また、バランスの良い食生活という観点では具沢山の味噌汁もよいと考えられます。
認知症を予防するには、
まず食生活の改善から
認知症予防によいとされる食べ物は、認知症へ直接的に効果があるのではなく、認知症発症のリスクとなる生活習慣病を予防するものです。生活習慣病の予防には、適度な運動や睡眠など、生活習慣を改善することも欠かせません。まずは現在の食事から見直して、自立した健康的な生活を送りましょう。
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