04認知症コラム
アルツハイマー病とは?
原因・初期症状・診断方法・治療法も解説
2026.02.27
認知症に関する話でよく聞かれるのが「アルツハイマー病」です。今回はアルツハイマー病について、認知症との違いや診断・治療・予防などについて詳しく紹介します。初期症状のチェックリストも用意していますので、「アルツハイマー病かな?」と気になっている方や、ご家族の病気が気になるという方は参考にしてみてください。
アルツハイマー病とは
記憶・思考・判断・学習能力など
精神機能の低下が進行していく病気
アルツハイマー病とは、認知症の種類のうち最も多い疾患で、認知症患者全体の60~80%を占めています。発病すると、記憶・思考・判断・学習能力など精神機能の低下が徐々に進行します。65歳以上で発症のリスクが大幅に増加し、男性より女性に多くみられます。
認知症との違い
認知症は、あらゆる認知機能の低下をきたす病気の総称です。アルツハイマー病は認知症の状態を引き起こす原因となる疾患の一つで、原因疾患の中で最も割合の大きい疾患です。ほかにも認知症には、血管性認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などの種類があります。
参考:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」 参考:厚生労働省「アルツハイマー病とは」
認知症について詳しくはこちら
血管性認知症について詳しくはこちら
レビー小体型認知症について詳しくはこちら
前頭側頭型認知症について詳しくはこちら
アルツハイマー病の初期症状チェックリスト
| もの忘れが増え、同じ質問を繰り返すようになる | |
| 日付や時間、場所の感覚が混乱しやすくなる | |
| 慣れた作業や手順がスムーズにできなくなる | |
| 言葉が出にくくなり、会話の理解や表現が難しくなる | |
| 判断力や注意力が低下し、日常生活に小さな支障が出る | |
| 気分の変化や不安感が強まり、性格が以前と違って 見えることがある |
アルツハイマー病は、単なる加齢によるもの忘れとは異なり、初期から生活に支障が出るような記憶の抜け落ちが目立つようになります。本人が自覚しにくいケースも多く、周囲の家族や友人が「以前と違う」と感じる場面が増えるのが特徴です。
こうした症状が続く場合、早めに専門医へ相談することで進行を遅らせる可能性が高まります。そのため、気になると感じたら上左記のリストを参考に確認をしましょう。
アルツハイマー病の原因と考えられている3つの要素
アルツハイマー病の原因は、主に上記の3つが関わっていると考えられています。ここでは、それぞれの要素について詳しくみていきましょう。
脳への異常なタンパク質(アミロイドβ)の蓄積
アルツハイマー病は、「アミロイドβ(ベータ)」という異常なタンパク質が脳内に少しずつ蓄積することが原因の一つと考えられています。不要なたんぱく質が徐々にたまることで神経細胞の働きが妨げられ、情報伝達が乱れ、記憶や判断力が低下していきます。
蓄積が進むほど脳の機能は失われ、病気の進行につながっていきます。しかし、アミロイドβが脳内に蓄積する原因は、はっきりとわかっていません。
遺伝
生まれつき持っている体質や遺伝子(APOE遺伝子)の影響によって、アルツハイマー病を発症しやすい体質を持つ人がいます。
家族内での遺伝が認められる症例は5~15%にのぼります。家族に同じ病気の経験者がいる場合は、とくに注意が必要です。
ε4という種類を1つ持つとリスクが3倍、2つ持つと約12倍に跳ね上がります。遺伝子型は生涯変わらないため、次の要素(環境・生活習慣)への注目度が高まります。
生活習慣や持病
生活習慣は、アルツハイマー病の発症との関連性がわかっています。不適切な生活習慣が長期にわたると脳の健康に悪影響を与え、発症のリスクが高まります。
とくに、下記のような生活習慣や慢性的な持病があると血管や体の働きが弱まり、脳の老化が早まる原因になるといわれています。アルツハイマー病のリスクを増大させる可能性があるため、生活習慣を整え、治療を行うことが大切です。
- 生活習慣や持病の例
- 高血圧 糖尿病 コレステロール高値 喫煙
アルツハイマー病の診断の方法
問診
まず、問診によって本人や家族から生活の様子や症状の変化を聞き取ります。問診は、初期診断の入口として最も基本的なステップです。これにより日常生活への支障の程度や既往症、服用中の薬などについて確認します。
神経心理学的検査
神経心理学的検査とは、記憶力や注意力、言語能力などを数値化して認知機能を評価する検査です。この検査は、症状の程度を客観的に把握し、診断の根拠を補強する役割があります。
検査にはさまざまな種類があり、短時間で行える簡易検査から、詳細に分析する検査まで幅広いです。とくに初診では、下記のようなスクリーニング検査を実施することが多い傾向があります。
- 具体例な検査の例
- MMSE(ミニメンタルステート検査) 長谷川式認知症スケール
血液検査
血液検査によって栄養状態やホルモンバランスを確認し、他の病気である可能性を除外することも重要です。アルツハイマー病の診断を確定する前に行う補助的検査で、認知症に似た症状を示すことがある疾患(甲状腺異常など)の可能性を調べます。
脳脊髄液検査
脳脊髄液に含まれているアミロイドβという蛋白が減少しているかを検査します。この検査を行う場合は、患者さんができるだけ背中を丸めてベッドに横向きに寝てもらい、腰の部分から腰椎に長い注射針を刺して、脳脊髄液を採取します。
画像検査
CT・MRIの画像検査は、脳の構造を画像で確認できます。海馬の萎縮など、アルツハイマー病に特有の変化を見つけられ、さらに他の脳疾患(脳腫瘍や脳血管障害)との鑑別にも役立ちます。
また、SPECT検査では脳の血流の状態が、アミロイドPET検査では脳のアミロイドβ蓄積状況の確認が可能です。いずれも病気の進行度を把握し、治療方針を決める参考になります。
- 具体例な検査の例
- CT MRI SPECT アミロイドPET検査
現在できるアルツハイマー病の治療法
現在、アルツハイマー病の治療は上記の2つの方法でおこなわれています。それぞれの治療方法について具体例を紹介しながら、詳しく確認していきましょう。
進行をある程度の期間遅らせる薬を服用する
アルツハイマー病の薬物療法は、大きく分けて従来薬と最新薬の2種類があります。従来薬は症状を緩和する対症療法、最新薬は抗アミロイドβ抗体薬といい、アルツハイマー病の原因とされているアミロイドβを除去し進行を遅らせる働きをします。どちらも根治療法ではなく、進行を遅らせることが目的です。
なお、最新薬はMCI(軽度認知障害)〜軽度認知症の方のみが対象で、副作用(脳浮腫・脳出血)のリスクがあるため注意しましょう。
- 従来の治療薬
-
ドネペジル(アリセプト®)
メマンチン(メマリー®)
ガランタミン
(レミニール®) リバスチグミン(イクセロン®パッチ、
リバスタッチ®パッチ)※貼り薬 - 最新治療薬(抗アミロイドβ抗体薬)
- レカネマブ(レケンビ®)年12月承認 ドナネマブ(ケサンラ®)年11月承認
参考:厚生労働省「抗アミロイドβ抗体薬について」
MCI(軽度認知障害)について詳しくはこちら
認知症治療の貼り薬について詳しくはこちら
レカネマブについて詳しくはこちら
認知症の薬について詳しくはこちら
リハビリなどの日常的なケアで支える
アルツハイマー病の治療では、薬物療法だけでは補えない部分をリハビリや生活習慣の工夫で支えることが重要なポイントです。非薬物療法でおこなう定期的な運動や会話、生活の定型化などが安心感を生み、症状の進行を緩やかにする効果が期待できます。
また、本人への支援のみにとどまらず、家族や介護者に対するサポートも含めて環境を整えることで、家族と本人の不安を減らし、生活の安定につながるでしょう。
- 非薬物療法・ケアの具体例
- 認知リハビリテーション(回想法、脳トレーニング) 運動療法(ウォーキング、ラジオ体操) 音楽療法 芸術療法 作業療法(料理、園芸など) コミュニケーションの工夫 生活環境の調整 介護サービスの活用
アルツハイマー病の予防法3選
現在のところ、アルツハイマー病を完全に予防する方法はありません。しかし、生活習慣に気を付けることで、ある程度発症を遅らせる効果が期待できます。
食事の管理
食事面では、コレステロール値や血圧の管理が重要です。これらが乱れると脳の血管に負担がかかり、神経細胞への酸素供給が妨げられる可能性があります。食生活を整えることは、脳の健康を守るための基本的な予防策といえます。
- 具体例
- 飽和脂肪の少ない食事を心がける 塩分の摂取量を減らす
運動による認知機能の向上
運動は心肺機能を高めるだけでなく、脳の働きを活性化する効果が期待されています。認知機能に問題のない4,615名の高齢者を5年間追跡調査した研究で、ウォーキングよりも高強度の運動を週3回以上行っていた高齢者は、運動習慣のない高齢者より認知症の発症リスクが低かったという報告があります。
また、複数の種類の運動を組み合わせることで、より高い予防効果が得られると考えられています。
- 具体例
- ウォーキング サイクリング 水泳 ゴルフ
知的活動による認知機能の向上
頭を使う活動を続けることも予防につながります。知的活動は神経細胞同士の新しい接続を促し、脳の柔軟性を保つ効果が期待されます。さらに、複数人で行う活動は交流を生み、脳への刺激を増やすため、進行を遅らせる可能性があります。
- 具体例
- 新しい技術を学ぶ クロスワードパズルを解く ボードゲームをする 新聞や本を読む 複数人で行う活動を取り入れる
アルツハイマー病に関するよくある質問
アルツハイマー病に関して、よく聞かれる質問とその回答を下記にまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
Qアルツハイマー病の名称の由来は?
アルツハイマー病の名称の由来は、1906年にこの病気を発見し、発表した医師のアロイス・アルツハイマー博士の名前から由来しています。博士は、記憶障害の症状があり死亡した女性の脳組織に変化があることに気が付きました。
Q若年性アルツハイマー病とは?
認知症のうち、65歳未満で発症したものを「若年性認知症」といいます。中でも、原因疾患がアルツハイマー病のものを「若年性アルツハイマー病」と呼びます。働き盛りの世代のため、症状が出ても認知症と気づかれにくく、診断が遅れることがあります。
Qアルツハイマー病の寿命は?
発症から死亡までの平均は8~12年です。脳機能はゆっくり低下し、終末期には嚥下障害や食欲低下で食事が摂れなくなります。ただし個人差は大きく、2年未満のケースや20年以上経過する例も報告されています。
アルツハイマー病の予防は日常生活の見直しから
アルツハイマー病は、原因のひとつとして生活習慣との関連が示唆されています。予防には、生活習慣の見直しから取り組まれるのがよいでしょう。健康的な食事や運動習慣、知的活動を取り入れることがおすすめです。また、アルツハイマー病を発症しても、薬物療法やリハビリテーションなどで進行を遅らせることができます。そのためには、早期発見に努めることも大切です。
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