04認知症コラム
ドナネマブの効果と副作用は?
レカネマブとの違いや治療の流れを解説
2026.07.17
ドナネマブは、アルツハイマー型認知症の新薬として期待されている治療薬です。今回は、ドナネマブについて効果や副作用、類似薬レカネマブとの違い、治療の流れなどを詳しく紹介します。また、治療を受けられる条件や気になる費用についても解説しますので、新薬の治療に興味をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。
アルツハイマー病の新薬
「ドナネマブ」とは?
ドナネマブ(商品名ケサンラ®)は脳内に蓄積するアミロイドβを除去することで、軽度認知障害や軽度アルツハイマー型認知症の進行抑制が期待される点滴治療薬です。イーライリリー社が開発した認知症治療薬で、2024年9月に承認、同年11月に保険適用・発売されました。
従来の治療薬とは異なる作用機序を持つことから、画期的な薬剤として注目を集めています。
参考:東京都「抗アミロイドβ抗体(レカネマブ・ドナネマブ)』について」
仕組み
アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβというたんぱく質が蓄積することが発症の原因の一つとされています。ドナネマブはこのアミロイドβの除去を促すことで、認知症の症状の進行を緩やかにすることが期待される薬剤です。
臨床試験では、早期に投与を開始することで進行を最大35%抑制する結果が示されました。とくに、症状が軽い段階で使用を始めるほど、よりドナネマブを使った治療が有効であるとされています。
従来の認知症薬との違い
これまでのアルツハイマー病治療薬は、主に認知機能低下の抑制や症状の緩和を目的とした対症療法が中心でした。
一方で、ドナネマブは病気の進行そのものに働きかける新しいアプローチの薬剤です。アミロイドβの沈着を直接減少させることで病気の進行を遅らせ、自立した生活が送れる期間を延ばすことを目指しています。
そのため、症状がまだ軽い段階から治療を開始することが重要とされています。
副作用や注意点
ドナネマブの主な副作用として、投与時の紅斑や頭痛、悪寒などが報告されています。また、ARIA(アリア)と呼ばれる脳浮腫や小さな脳出血にも注意が必要です。ARIAは多くの場合、自覚症状がないため、治療中は定期的なMRI検査を受けて脳の状態を確認する必要があります。
ドナネマブ治療を受けられる対象者と条件
ドナネマブは、アルツハイマー型認知症の初期段階で進行を抑えることを目的とした治療薬です。治療を受けられる対象者は、診断や検査結果に基づいて判断されます。
対象者
ドナネマブによる治療の対象となるのは、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症と診断された方です。MCIとは、若い頃と比べて認知機能が低下していても、日常生活に大きな支障がない状態を指します。
検査の結果、「アルツハイマー型以外の認知症」「アルツハイマー型認知症の中等度以上」であることが判明した場合や、「脳MRIで副作用のリスクが高い」と判断された方などは、治療の対象外となります。
ドナネマブ治療を受けられる条件
- アミロイドPET検査、または脳脊髄液検査で、アミロイドβの蓄積が確認されている
- MRI検査を受けることができる
- MRI検査で適応基準を満たしている
- 心理検査で適応基準を満たしている
- 本人と家族・介護者がドナネマブによる治療を希望している
- 本人と家族・介護者がドナネマブの副作用を理解している
- ドナネマブに重篤な過敏症がない
ドナネマブによる治療を受けるための条件は左上記のとおりです。前述の対象者であることに加え、アミロイドβの蓄積確認やMRI・心理検査での適応基準を満たしている必要があります。本人と家族が治療内容と副作用を理解し、希望していることも条件です。早期の画像診断と専門医による正確な評価が治療開始の鍵といえるでしょう。
ドナネマブ投与開始までの流れ
ドナネマブによる治療は、専門医による診断と右下記のような検査を経て開始されます。ここでは、投与開始までの主な流れを紹介します。
かかりつけ医の紹介から専門医療機関へ受診
ドナネマブ治療を始めるための最初のステップは、かかりつけ医に相談することです。健康状態を詳しく伝え、専門医療機関への紹介状を受け取りましょう。
紹介状を持参することで、MRIやPET設備を備えた専門機関(大学病院や拠点病院、脳神経外科など)での受診がスムーズになり、診察も迅速に進みます。さらに、大病院では選定療養費がかからなくなるメリットもあります。
問診や認知機能テストの実施
専門医療機関では、まず生活習慣や症状について詳細な問診が行われ、日常で感じている困りごとなども丁寧に確認されます。
続いて長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やミニメンタルステート検査(MMSE)などの認知機能テストを実施し、記憶力や思考力を多角的に評価します。これらの結果をもとに、今後の検査とあわせて治療方針が検討されます。
MRIやアミロイドpet検査による画像診断
続いて、MRIやアミロイドpet検査などによる高度な画像診断が行われます。ここでは脳の内部構造やアミロイドβの蓄積具合を詳しく確認します。これらの結果は治療の必要性を正確に判断するための重要な情報です。
また、ドナネマブはアミロイドβの蓄積が原因のひとつであるアルツハイマー型認知症に効果を発揮します。治療適応基準に合致しているかどうかも、この段階で確認されます。
検査結果とスケジュールの相談
検査結果をもとに、医師と具体的な治療計画を立てます。たとえば、定期的(4週間に1回)な点滴日時を相談し、患者様の生活に無理なく治療を組み込む方法を模索します。
この段階では、ドナネマブを使った治療で期待できる効果や、合併症に関する説明が行われ、患者様とご家族の理解が深まるよう支援が提供されます。安心して治療を進められるよう、細やかな配慮がなされます。
ドナネマブ治療の
一般的なスケジュール
ドナネマブによる治療は、4週間に1度の点滴注射で行われ、1回の点滴にかかる時間は30〜45分ほどです。基本的には通院でおこなわれますが、初回から3回目までは入院となる場合もあります。
投薬量
投薬量は初回から4回目まで段階的に増量していきます。初回は350mgから始まり、2回目は700mg、3回目は1050mg、4回目以降は1回あたり1400mgを投与します。
期間
治療期間は12〜18か月で、12か月目以降はアミロイドβの除去が確認できた時点で終了します。18か月時点を目安に継続の是非が判断され、原則、最長18か月で完了します。なお、治療の途中には適宜MRI検査が組み込まれます。
ドナネマブと
レカネマブの違い
ドナネマブとレカネマブ(商品名:レケンビ®)はどちらもアルツハイマー病治療において注目されている抗体医薬です。いずれもアミロイドβを除去し、アルツハイマー病の進行を遅らせる目的で使用される薬ですが、この2つには以下右記のような違いがあります。
| ドナネマブ | レカネマブ | |
|---|---|---|
| アプローチする原因物質 | 既に蓄積されたアミロイドβプラーク | アミロイドβの初期の凝集体 |
| 投与間隔と投与時間 | 4週間に1回、30〜45分程度 | 2週間に1回、約1時間程度 |
| 治療完了(投与終了)の有無 | 12か月後のアミロイドpet検査でアミロイドβ除去が確認されれば治療を終了(原則最長18か月) | 原則18か月投与が基本ではあるが、延長も可能 |
| 投与初期の対応 | アレルギー反応の発症や管理のため初回~3回目まで入院の場合有 | 初回から外来可 |
| 薬価(1瓶あたり) 令和6年11月時点 |
66,948円/20mL 350mg | 114,443円/5mL 500mg |
アプローチする原因物質や投与間隔、薬価、副作用の出やすさなどに違いがありますが、それぞれの状態やライフスタイルに合った最適な薬剤を医師と相談し、選択することが大切です。
ドナネマブの費用と保険適用の最新状況
ドナネマブ(販売名ケサンラ®)は2024年11月20日から公的医療保険の適用対象となりました。ここでは費用と保険適用の最新状況を確認していきましょう。
治療期間全体の費用の目安(高額療養費制度は適用していない金額)
| 総額 | 医療保険の自己負担割合 | ||
|---|---|---|---|
| 3割 | 2割 | 1割 | |
| 12か月で完了した場合(投与目安13回) | 約94万円 | 約62万円 | 約31万円 |
| 18か月で完了した場合 | 約141万円 | 約94万円 | 約47万円 |
参考:厚生労働省「我が国の医療保険について 」(2025年8月現在)
治療1回ごとの費用の目安(高額療養費制度は適用していない金額)
| 医療保険の自己負担割合 | |||
|---|---|---|---|
| 3割 | 2割 | 1割 | |
| 初回(350mg) | 約2万円 | 約1.3万円 | 約7千円 |
| 2回目(700mg) | 約4万円 | 約2.7万円 | 約1.3万円 |
| 3回目(1050mg) | 約6万円 | 約4万円 | 約2万円 |
| 4回目以降(1400mg) | 約8万円 | 約5.4万円 | 約2.7万円 |
参考:厚生労働省「我が国の医療保険について 」(2025年8月現在)
ドナネマブによる治療にかかる費用の目安は、上記のとおりです。総費用には治療1回ごとの費用に加え、アミロイドpet検査や血液検査などの初期評価や診察料、投与前後のフォロー費用が加わることも理解しておきましょう。毎月の費用は検査内容や通院回数で増減するため、高額療養費制度を上手に活用するとよいでしょう。
ドナネマブに関するよくある質問
ドナネマブに関して寄せられる質問の中から、とくに多いものを以下にまとめました。効果の違いや適応範囲、費用負担など、治療を検討する際に知っておきたいポイントを簡潔に解説します。
ドナネマブとレカネマブはどちらのほうが効果は高いですか? 認知症が進行した状態(中等度以上)でドナネマブを投与しても効果はありますか? ドナネマブの費用負担を軽くする高額療養費制度とは何ですか?
Qドナネマブとレカネマブはどちらのほうが
効果は高いですか?
ドナネマブとレカネマブには、アルツハイマー型認知症の進行抑制効果に大きな差はないとされています。同じアミロイドβを標的とした薬剤ですが、その人の状態により、どちらの薬剤が治療に適しているかは異なります。
Q認知症が進行した状態(中等度以上)で
ドナネマブを投与しても効果はありますか?
ドナネマブの適応は「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症」のみです。中等度以降に進行した段階では脳の変性が進み、アミロイドβの除去だけでは改善が期待できないことから、有効性は確立していません。
Qドナネマブの費用負担を軽くする
高額療養費制度とは何ですか?
高額療養費制度は、医療費の自己負担額が一定上限を超えた分を払い戻す制度です。上限額は年齢や所得により異なりますが、ドナネマブのように費用が高額になりやすい治療でも、経済的負担を大きく軽減できます。
ドナネマブ治療は早めの受診が鍵
ドナネマブによる治療は、アルツハイマー型認知症の早期における新たな選択肢として期待されています。効果や適応、費用負担の仕組みを正しく理解することで、より納得した治療の選択につながります。初期段階で治療を開始することがポイントなので、認知症を疑うときは早めに医療機関へ相談することが大切です。
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