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04認知症コラム

アミロイドpet検査の費用や流れを解説
-アルツハイマー型認知症の早期発見

2025.10.31

アミロイドpet検査の費用や流れを解説-アルツハイマー型認知症の早期発見イメージ

アミロイドpet検査とは、脳内のアミロイドβの有無や蓄積の程度を調べる検査です。アルツハイマー型認知症の早期発見や早期治療につながる検査として注目されています。この記事では、アミロイドpet検査とは何か、また、検査費用や検査時の注意点についてまとめました。「もしかしたら認知症かも……」と思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

アミロイドpet検査とは?

アルツハイマー型認知症かどうかを
正確に判断するための検査

アミロイドpet検査とは、脳内のアミロイドβの有無や蓄積程度を調べる検査です。アミロイドβが蓄積すると「アミロイドβプラーク(老人斑)」と呼ばれる塊を形成します。アミロイドβプラークは神経細胞の周りに溜まって認知機能に影響を及ぼすため、アルツハイマー型認知症を引き起こす原因の一つであることがわかってきています。

問診や血液検査、画像検査などでは、認知症を正確に診断することは困難です。しかし、アミロイドβプラークの蓄積量を可視化するアミロイドpet検査なら、より正確にアルツハイマー型認知症を診断できます。

アミロイドpet検査とは?イメージ

アルツハイマー型認知症の早期発見が可能

アミロイドβプラークは、認知症が発症する10年以上も前から蓄積し始めるといわれています。アミロイドpet検査では、早期からアミロイドβの異常を検出できるため、アルツハイマー型認知症の早期発見・早期治療につなげられます。

従来の認知症検査では、既に脳機能が低下しているタイミングでの診断となり、認知症を発症する前にアプローチすることが困難でした。しかし、発症前の診断が可能なアミロイドpet検査を活用すれば、認知症の罹患リスクを低減し、薬などによる早期治療を始めるきっかけになります。

そもそもアルツハイマー型認知症とは?

記憶・思考・判断・学習能力など精神機能の低下が進行していく病気のこと

そもそもアルツハイマー型認知症とは?イメージ

アルツハイマー型認知症とは、認知症のなかでも最も患者数が多く、全体の60~80%を占めているといわれています。長い年月をかけて脳内に蓄積したアミロイドβなどの物質が神経細胞を破壊し、脳を萎縮させて発症する認知症です。

アルツハイマー型認知症を発症すると、昔のことは明確に覚えているものの最近のことは忘れてしまうといった症状が見られます。その後、徐々に進行し、時間・場所の感覚や判断力が失われていきます。

出典:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本

アルツハイマー型認知症について詳しくはこちら

アミロイドβプラークとは?

アミロイドβプラークとは、アミロイドβが蓄積して形成された塊のことです。脳に斑点状の塊をつくることから、「老人斑」と呼ばれることもあります。

アミロイドβプラークはアルツハイマー型認知症を引き起こす原因物質ですが、健康な人の脳内でも生成されます。通常は分解・排出されるため、神経細胞を破壊したり、認知機能に影響を及ぼしたりすることはありません。しかし、なんらかの原因で分解・排出されずに脳内に蓄積されると、認知機能に影響を及ぼすようになります。

アミロイドβについて詳しくはこちら

アミロイドpet検査の費用-保険適用は?

アミロイドpet検査の費用の目安…25万円程度

アミロイドpet検査は、基本的には保険適用外のため、全額自己負担となります。医療機関によって異なりますが、検査費用は25万円程度が目安です。また、アミロイドpet検査を実施している医療機関も限られるため、受検を希望する方は事前に確認しておきましょう。

アミロイドpet検査の費用-保険適用は?イメージ

保険が適用されるケースも一部ある

アミロイドβプラークを取り除く治療薬「レカネマブ」の投与を判断する目的で実施される場合は、アミロイドpet検査は保険が適用されます。ただし、厚生労働省の定める「最適使用推進ガイドラインレカネマブ(遺伝子組換え)」に準拠した医療機関で検査を行うことが必要です。

その他の保険適用条件については、医療機関により異なります。詳しくは以下のホームページを確認してください。

参考:厚生労働省「最適使用推進ガイドラインレカネマブ(遺伝子組換え)

レカネマブについて詳しくはこちら

アミロイドpet検査の流れ

アミロイドpet検査は、特定医療機関で実施する画像検査です。
一般的な検査の流れを紹介します。

STEP1pet薬剤を注射する

まず、アミロイドβと結合する性質の放射性医薬品を静脈注射します。絶食などの準備は不要です。

STEP2薬が脳内に行き渡るまで安静にする

静脈注射後は50分~90分程度、安静に過ごします。薬剤が脳内に行き渡るまで、静かに待ちましょう。

STEP3頭部を撮影する

PET装置のベッドに横になって撮影します。撮影は30分程度で終了です。1回あたりの被ばく線量は0.5~20mSv程度で、CT検査やX線検査の被ばく線量と同程度とされています。

STEP4医師が画像から判定する

検査終了後、専門医による画像の判定・説明があります。アミロイドβプラークが蓄積していると判断されたときは陽性、蓄積されていないときは陰性と診断されます。

アミロイドpet検査の2つの注意点

アミロイドpet検査について、知っておきたい注意点をまとめました。検査を受けることを考えている方は、ぜひ一度ご確認ください。

アミロイドpet検査だけでアルツハイマー型
認知症であると断定できない

アミロイドβプラークが蓄積している場合でも、必ずしもアルツハイマー型認知症と判断されるわけではありません。被検者に見られる症状や、その他の検査結果と合わせて、総合的にアルツハイマー型認知症かどうかが診断されます。

認知症検査の種類や内容について詳しくはこちら

認知症の無症候者には推奨されていない

現在、認知症の発症を予測する方法としては、アミロイドpet検査は推奨されていません。医療機関によっては、アルツハイマー型認知症の症状が現れていない方にはアミロイドpet検査を実施していないこともあります。

認知症が疑われるときは
早めに医療機関に相談しよう

アルツハイマー型認知症は認知症の中でも多数を占める疾病です。気になる症状が見られたときなどは、早めに医療機関に相談することで、認知症のリスクを低減させていきましょう。レカネマブによる治療が検討される場合には、アミロイドpet検査が保険適用になることもあります。

また、認知症についての最新情報を入手することも大切です。認知機能ケアプロジェクトでは、ガンマ波の最新研究も発信しています。ぜひチェックしてみてください。

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