04認知症コラム

アミロイドβとは?溜まる原因や認知症との関係を解説

2024.05.17

アミロイドβとは?イメージ

アミロイドβはアルツハイマー型認知症の発症にかかわる物質として知られています。この記事では、アミロイドβが溜まる原因やアルツハイマー型認知症との関係、アミロイドβの蓄積を防ぐ方法などについてご紹介します。

アミロイドβとは?

アミロイドβとは、アルツハイマー型認知症の発症の原因とされているタンパク質です。健康な人の脳内でも生成されますが、通常は分解・排出されます。しかし、何らかの原因で脳内にアミロイドβが蓄積すると、毒性のある物質が脳に蓄積し、脳細胞が徐々に死滅してアルツハイマー型認知症を発症する可能性が高まるのです。

アミロイドβは、認知症の症状の出現よりも20年以上前から脳に蓄積しはじめ、大脳皮質などに老人斑を引き起こすと考えられています。

アミロイドβとは?イメージ

アミロイドβが溜まる原因

アミロイドβが溜まる原因ははっきりとは解明されていませんが、加齢や生活習慣などが影響していると考えられています。特に運動不足や、考える・記憶するなどの認知的活動が少ない生活習慣は、アミロイドβが溜まりやすいとされているのです。

また、加齢や生活習慣病などによって血管の壁を構成する血管平滑筋の働きが低下すると、アミロイドβを排出する力が弱くなり、蓄積されるという説もあります。

アミロイドβが溜まる原因イメージ

アルツハイマー型認知症とアミロイドβの関係

アルツハイマー型認知症の特徴として、「脳のシミ」である老人斑があることが挙げられます。これは、アミロイドβが脳に蓄積していることが原因です。アミロイドβ同士が結合し、通常より大きな分子になったアミロイドβは、通常のアミロイドβよりも排出されにくく、脳内に蓄積して脳細胞の働きを低下させます。

アミロイドβが蓄積することで神経細胞がダメージを受け情報の伝達ができなくなり、脳が萎縮しアルツハイマー型認知症になる可能性が高まるのです。

糖尿病とアミロイドβの分解異常

糖尿病によってアミロイドβが蓄積しやすくなることがわかっています。インスリンは血糖値を下げるためのホルモンで、糖尿病で血糖値が高くなるとインスリン量が増加します。

糖尿病では体がインスリンに反応しにくくなる「インスリン抵抗性」の症状が生じると、体がさらに多くのインスリンを必要とするようになります。インスリンを分解するにはインスリン分解酵素が必要です。これはアミロイドβの分解も担っています。

糖尿病によって体内のインスリンが増えると、インスリン分解酵素はインスリンの分解で消費されるためアミロイドβの分解がおろそかになり、アミロイドβの蓄積を進行させてしまうのです。

糖尿病とアミロイドβの分解異常イメージ

アミロイドβの検査方法

アミロイドβの検査方法は、それぞれ検査内容やわかることが異なります。以下で詳しくご紹介します。

アミロイドPET検査 MCIスクリーニング検査プラス IP-MS法

アミロイドPET検査

アミロイドPET検査は画像検査の一つで、脳内に蓄積したアミロイドβを見えるようにする検査です。専用の検査薬を使用し、画像でアミロイドβの脳内蓄積量までわかります。

アミロイドPET検査は、現在一部の医療機関でしか行っていません。また、保険適用外の検査であるため自費診療となります。

MCIスクリーニング検査プラス

MCIスクリーニング検査プラスとは、民間の検査会社が提供する認知症リスクを推定するための血液検査です。アミロイドβを直接測定するわけではなく、アミロイドβの排除や毒性を弱めるタンパク質の血中量を測ります。あくまでも将来認知症になるリスクを推測するために用いられる検査で、アルツハイマー病を診断するための検査ではないことに留意しておきましょう。

こちらも自由診療で、保険適用ではない点に注意が必要です。

IP-MS法

IP-MS法は、血中のアミロイドβを見つけ、検出・分析する血液検査です。特定のタンパク質を分離させ検出する免疫沈降(IP)と、検出したタンパク質を分析する質量分析(MS)を組み合わせています。

高い精度でアルツハイマー病のリスクがわかる方法ですが、まだ診療現場では運用されていません。

アミロイドβの蓄積を防ぐ方法

アミロイドβの蓄積を防ぐために、まずは生活習慣病を予防することが重要です。以下で詳しい方法をご紹介しますので、できることから取り組んでみましょう。

栄養バランスのとれた食事を摂るイメージ

栄養バランスのとれた食事を摂る

栄養バランスのよい食事は、脳の健康に役立ちます。特に抗酸化物質を多く含む食品やビタミン類を多く含む野菜や果物、オメガ-3脂肪酸を多く含む魚は、脳の健康に良いとされています。

また、認知症のリスクを高める生活習慣病を予防するためにも摂取カロリーを守り、塩分や糖分、トランス脂肪酸の取りすぎを控えましょう。

適度に運動する

適度な運動はインスリン抵抗性の改善が期待でき、アミロイドβの蓄積を抑制します。ぜひ取り入れてみましょう。また定期的な運動の継続は、心臓血管系の健康を維持し、血流の改善にも効果的です。血流が良くなると脳への酸素供給が増加し、脳の健康も維持されます。

例えば、電車の中では座らず過ごす、エスカレーターではなく階段を使うなど、少しの運動でもよいので、継続的に運動することを心がけましょう。

良質な睡眠をとる

アミロイドβは、起きている間に増え、寝ている間に減少することがわかってきました。良質な睡眠をとっている間にアミロイドβは脳から排出され、睡眠不足だとアミロイドβが蓄積されるリスクが高まります。

規則正しい生活をおくり、日中は日光を浴びて活動するようにすると睡眠の質が向上します。日中を活動的に過ごし、夜眠れるように過ごしましょう。

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アミロイドβが溜まりにくい生活で認知症を予防しましょう

アミロイドβはアルツハイマー型認知症の原因と考えられている物質です。アミロイドβが脳に蓄積すると脳神経細胞が死滅し、脳が萎縮してアルツハイマー型認知症を発症します。リスク因子である生活習慣病を予防し、アミロイドβが溜まりにくい生活習慣を取り入れることで認知症予防の効果が期待できるでしょう。

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