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04認知症コラム

パーキンソン病認知症とは?
-原因や症状から生活における
工夫まで解説

2025.08.29

パーキンソン病認知症とは?-原因や症状から生活における工夫まで解説イメージ

パーキンソン病認知症とは、精神機能が失われていくパーキンソン病を指します。パーキンソン病の患者の約4割はパーキンソン病認知症を発症するとの報告もあり、原因や予防法について知っておくことは大切です。パーキンソン病認知症の原因や症状、パーキンソン病と認知症の違いや関連性を解説します。

パーキンソン病認知症とは?

パーキンソン病認知症とは精神機能が失われていくパーキンソン病のことで、神経細胞の中にタンパク質でできた沈着物(レビー小体)が生じることを特徴とします。パーキンソン病を発症してから10~15年後に発症することが一般的で、パーキンソン病認知症の患者の多くは70歳以上です。

パーキンソン病認知症に罹患すると、日常生活を自力で送ることが困難になり、精神的にも不安定になる傾向にあります。

パーキンソン病認知症とは?イメージ

パーキンソン病とは?

パーキンソン病とは、ふるえや動作緩慢、姿勢保持障害などを主な症状とする病気です。50歳以上で発症することが多いといわれています。発症率は平均で1,000人あたり1~1.8人、65歳以上に限ると100人あたり約1人です。

中脳のドパミン神経細胞の減少が原因であることはわかっていますが、なぜドパミン神経細胞が減少するのかは解明されていません。ただし、アルファ-シヌクレインというタンパク質が蓄積するとドパミン神経細胞が減少することは判明しているため、アルファ-シヌクレインの増加を抑制する治療薬の開発が期待されています。

特徴 原因
  • ふるえ、動作の緩慢、転びやすさの
    症状が見られる
  • 50歳以上で発症することが多い
  • 1,000人あたり1~1.8人の発症率(65歳以上に限ると100人に約1人)
  • ドパミン神経細胞の
    減少
  • 加齢
  • 遺伝
  • 環境

認知症とは?

認知症とは、脳細胞の大幅な減少や変性、脳萎縮などにより記憶や判断力といった認知機能が低下し、社会生活に支障が生じた状態のことです。65歳以上で発症することが多く、65歳未満で発症したときは「若年性認知症」と呼び分けられます。

認知症の主な原因疾患はアルツハイマー型認知症です。認知症の約2/3はアルツハイマー型認知症を原因疾患とし、以下、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症と続きます。なお、アルツハイマー型認知症と血管性認知症、レビー小体型認知症を「3大認知症」、前頭側頭型認知症を含めて「4大認知症」と呼ぶこともあります。

特徴 原因
  • 記憶や判断力などの認知機能が
    低下し、社会生活に支障のある状態
  • 65歳以上で発症することが多い(65歳以上の約12%は認知症と推計)
  • 脳細胞の減少や変性
  • 脳萎縮

認知症の種類や症状について詳しく知りたい方はこちら

パーキンソン病と認知症の違い

パーキンソン病と認知症は、いずれも脳に関わる疾患ですが、影響を及ぼす機能が異なります。パーキンソン病は主に運動機能に影響を与える疾病です。手足のふるえが見られたり、動作が緩慢になったり、転倒しやすくなったりすることがあります。

一方、認知症は記憶力や判断力、理解力に影響を与える疾病です。もの忘れが増えたり、時間・場所がわからなくなったり、意欲低下が見られたりすることがあります。

影響箇所 症状
パーキンソン病 運動機能
  • ふるえ
  • 動作緩慢
  • 姿勢保持障害 など
認知症 認知機能
  • 記憶力や判断力の低下
  • 時間・場所がわからない
  • 人柄がかわる
  • 意欲低下 など

パーキンソン病と認知症の関係性

パーキンソン病の方は、パーキンソン病でない方に比べて認知症になるリスクが高いことがわかっています。また、引きこもりがちになり、人との関わりや運動量が減ると、さらに認知症発症リスクが高まる点にも注意が必要です。

なお、パーキンソン病の方のうち、約40%は何らかの認知症を併発するといわれています。比較的早期に発症するのはレビー小体型認知症ですが、ケースごとに異なるため、認知症が疑われるときは医療機関で診断してもらうことが必要です。

パーキンソン病発症から認知症発症までの時間
  • 1年以内…レビー小体型認知症
  • 1年以上…パーキンソン病認知症

パーキンソン病は50歳以降で発症することが多い疾病です。また、パーキンソン病認知症はパーキンソン病と診断されてから10~15年後に発症することが多いといわれています。したがって、パーキンソン病認知症の患者は70歳以降の方が多い傾向にあります。

レビー小体型認知症の原因や余命は?

パーキンソン病認知症の原因

パーキンソン病認知症の原因としては、レビー小体の蓄積やドパミン神経系の障害などが挙げられます。他の認知症と同様、脳に生じた何らかの異常が引き金となり、発症することが一般的です。

また、アルツハイマー型認知症を併発している場合は、運動障害によって活動量が減少し、脳への刺激減少による認知機能の低下が見られることも少なくありません。なお、パーキンソン病認知症とアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症には類似する病態が多く、それぞれ密接に関わっていることが推測されます。

  • レビー小体(異常なたんぱく質)の蓄積
  • ドパミン神経系の障害
  • コリン神経系の機能低下
  • 大脳皮質の萎縮
  • アルツハイマー病の進行による活動性の低下

パーキンソン病認知症の症状

記憶障害
  • 新しい情報を覚えにくくなる
  • 物の置き場所を忘れる、同じ話を繰り返す
注意力・集中力の低下
  • 会話や作業中に気が散りやすくなる
  • 複数のことを同時に行うのが難しくなる
実行機能障害
  • 計画を立てて行動する力が低下する
  • 料理や買い物など、段取りが必要な行動が難しくなる
視空間認知の障害
  • 空間の把握が苦手になり、物にぶつかる、迷子になる
  • 文字の読み間違いや、地図が理解しづらくなる
社会的認知の低下
  • 相手の表情や気持ちを読み取る力が弱くなり、対人関係に影響が出る
幻覚・妄想
  • 実際には存在しない人や物が見える
  • 被害妄想(例:「財布を盗まれた」)が現れることもある

パーキンソン病認知症は、パーキンソン病に見られる運動症状と、認知症に見られる認知症場の両方が複合的に現れるのが特徴です。いずれの症状もゆっくりと進行するため、初期には「加齢による変化かな?」と見過ごされることも少なくありません。

幻視や注意力の低下が見られるときは、レビー小体型認知症も疑われます。適切な治療やサポートを受けるためにも、医療機関を受診し、医師に相談することが必要です。

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パーキンソン病認知症の予防法5選

パーキンソン病認知症を完全に予防することは不可能ですが、普段の生活から罹患リスクを低下させることは可能です。ここでは、パーキンソン病認知症予防のために実施したい事柄を紹介します。いわゆる認知症の予防法については、こちらも参照してください。

認知症の予防法について詳しくはこちら

継続的に運動を行う バランスの取れた食事を摂る 定期的に医療チェックを行う 人との関わりを維持する 脳に刺激を与える習慣をつける

継続的に運動を行う

ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの運動は、脳の血流を促進し、認知機能と密接な関係のある前頭葉や記憶力をつかさどる海馬の機能維持に役立ちます。まずは30分程度の運動を週に1回、慣れてきたら週に3回は実施しましょう。ただし、足腰や体調などに問題を抱えている場合は、医師に相談の上、無理のない範囲で身体を動かしてください。

バランスの取れた食事を摂る

バランスの取れた食事を摂ることも大切です。品数を増やすと、さまざまな食べ物からバランスよく栄養を摂取しやすくなります。

また、オメガ3脂肪酸が含まれる青魚や、抗酸化物質が豊富な野菜や果物、ビタミンB群を効率よく摂取できる全粒穀物などを意識的に食べることもおすすめです。加工食品や糖分・塩分が過剰に含まれた食事は避け、食生活から認知症予防を進めていきましょう。

認知症予防のために効果的な食べ物や食事のポイントについて詳しくはこちら

定期的に医療チェックを行う

認知機能の低下に早く気づくことで、ドネペジルなどの薬物による治療やリハビリを早期に開始できます。早期に治療を開始すれば、認知症の進行を遅らせることも可能です。特に嗅覚や注意力の低下は認知症の初期に起こりやすいとされているため、気になる症状が見られるときは早めに医療機関を受診しましょう。

人との関わりを維持する

人との関わりを持つことは、孤立を防ぎ、脳を刺激するためにも必要です。家族や友人との会話、地域活動やボランティアへの参加なども積極的に取り組みましょう。また、社会的交流は、うつや無気力の予防にもつながります。生き生きとした生活を実現するために、人や社会との関わりを意識することも大切です。

脳に刺激を与える習慣をつける

パズルやクロスワード、計算などの知的活動は、脳を刺激し、神経ネットワークの維持に貢献します。特に「新しいことに挑戦する」ことは、認知機能の維持に効果的な活動です。弾いたことがない楽器に挑戦する、新しいゲームで遊んでみる、趣味やボランティアの新しいサークルに入るなど、さまざまな新しいことにチャレンジしてみましょう。

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パーキンソン病認知症の方のための生活の工夫

パーキンソン病認知症と診断されたときは、身体機能や認知機能に応じた環境を構築する必要があります。生活の質を向上させるために実施したい工夫について見ていきましょう。

「見える化」で混乱を防ぐ環境づくり

どこに何を置いたか忘れたり、いつも繰り返ししている動作の手順がわからなくなったりすることがあります。認知的な負担を軽減するためにも、物の場所や手順を視覚的にわかりやすくする工夫を実施しましょう。

具体例
  • よく使う物にはラベルを貼る(例:「歯ブラシ」「薬」など)
  • 1日の予定をホワイトボードに書いて見える場所に置く
  • トイレや浴室のドアにイラスト付きの案内を貼る

「動線の安全化」で転倒リスクを減らす

パーキンソン病認知症の特徴として、手足のふるえや転倒しやすさなどが挙げられます。転倒リスクを軽減するためにも、室内外の移動のしやすさにこだわりましょう。また、万が一、転倒したときに備え、床に尖ったものや固いものを置かないようにしてください。

具体例
  • 廊下やトイレに手すりを設置する
  • カーペットの端を固定し、滑り止めマットを活用する
  • 夜間の移動に備えて足元灯や人感センサー付きライトを設置する

「感情の安定」を支える日課の導入

認知機能は一直線に低下するのではありません。客観的に病状を理解できるときもあるため、かえって戸惑う可能性もあります。生活をルーティン化することで、認知症に伴う不安や混乱を和らげられるかもしれません。

具体例
  • 毎朝同じ音楽を流す、同じ時間に散歩するなど、
    1日のリズムを整える
  • 家族や介護者が「できたこと」を一緒に喜ぶ声かけを意識する
  • 写真や思い出の品を飾って、安心感を与える空間をつくる

最新研究から見るパーキンソン病認知症の治療法

パーキンソン病認知症の原因はまだ完全に解明されてはいません。しかし、パーキンソン病認知症はパーキンソン病と認知症、類似する病態が散見されるアルツハイマー型認知症などのそれぞれの面から治療が必要なこともわかってきました。

たとえば、アルツハイマー型認知症の治療に用いられる「リバスチグミン」がパーキンソン病認知症の治療薬としても効果を発揮するといわれています。その他にも、iPS細胞や遺伝子療法、幹細胞療法なども注目されてきており、今後も治療法の確立を巡りさまざまなアプローチによる研究が実施されていくでしょう。

認知症の治療方法はある?詳しくはこちら
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最新研究から見るパーキンソン病認知症の治療法イメージ

認知症や関連疾患の研究動向に注目しよう

65歳以上の3人に1人は、認知機能に何らかの症状を抱えているといわれています。高齢化が進む中、今後さらに認知機能に問題を抱える方は増えていくでしょう。

認知症や、パーキンソン病などの関連疾患については、世界中でさまざまな研究が実施されています。研究結果に注目することは、疾病予防につながる知見を得るためにも必要なことです。ぜひ今後も認知症関連の研究動向に注目していきましょう。

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