04認知症コラム

認知症予防の方法を紹介!よくあるトレーニングは効果ある?

2024.02.22

認知症の予防イメージ

年齢を重ねると、誰でももの忘れを経験するでしょう。しかし、認知症と加齢によるもの忘れは違います。この記事では、認知症の種類や症状、予防方法、対処法について詳しく解説します。ご自身やご家族のもの忘れが気になる方は参考にしてみてください。

認知症を予防する方法はある?

現代の医学では、認知症を完全に予防する方法はありません。ただし、日本において「認知症予防」という考え方は存在しており、「認知症になるのを遅らせる」あるいは、「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味で用いられています。WHO(世界保健機関)でも2019年に「認知機能低下および認知症のリスク低減 WHOガイドライン」が発表されています。

認知症の発症を遅らせつつ、たとえ発症しても希望を持って日常生活を送ることが重要です。そして本人だけでなく、周囲の人や家族も小さな変化も見逃さないようにしましょう。

認知症を予防する方法はある?イメージ

そもそも認知症の定義って?

認知症は、脳の病気や障害によって記憶力や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。高齢者に発症することが多いですが、65歳未満で発症した場合は「若年性認知症」と呼ばれます。主な認知症の種類は「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「血管性認知症」「前頭側頭型認知症」の4つです。

2020年6月には、介護保険法第5条の2に記された「認知症の定義」が見直され、原因疾患と状態を区別し、「認知機能が低下した状態として政令で定める状態」をいうと変更されました。定義が変更された理由は、医学の進歩に伴い、古い定義が時代に合わなくなったためです。新しい定義では、認知症の原因となる疾患の定義を改め、「アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患、その他の疾患」とされています。また、認知機能の低下を示す表現が改められ、「認知症=記憶機能の低下」という考え方から、より広範な認知機能の低下を含むものに変化しています。

このように、認知症の定義は、医学的な知見の進歩に応じて変化しており、今後も診断基準が変わる可能性があります。認知症の理解を深めるためには、これらの定義の変更を把握し、現在の医学的な知見に基づいた情報を得ることが重要です。

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「認知症予防」の3段階

一次予防 活動的な状態にある高齢者を対象に、認知機能を含む生活機能の維持・向上に向けた取組を行うものであるが、とりわけ、高齢者の精神・身体・社会の各相における活動性を維持・向上させることが重要
二次予防 軽度認知障害・初期の認知症の高齢者を早期発見し、早期に対応することにより状態を改善し、要支援・要介護状態となることを遅らせる
三次予防 認知症の診断を受けている高齢者を対象に、要介護状態の改善や重度化を予防する

出典:厚生労働省「自治体における認知症の「予防」に資する取組事例集」

予防には一次予防、二次予防、三次予防の3段階があり、上記の表は、厚生労働省の「介護予防マニュアル改訂版」に記載されている介護予防の考えを認知症予防に置き換えたものです。

「要介護」とは日常生活動作において常時介護を必要とする状態のことで、「要支援」とは現在介護の必要がないものの、将来要介護状態に移行するおそれがあり、支援が必要な状態のこと、と介護保険法で定義されています。

つまり、上記の表を分かりやすく整理すると、一次予防は「発症遅延、発症リスク低減」、二次予防は「早期発見・早期対応」、三次予防は「重度化予防、機能維持、行動・心理症状の予防・対応」といえます。

「認知症予防」の方法イメージ

基本的な認知症予防の方法を紹介します。ただし、前述したように進行段階に合わせた予防が重要なため、医師に相談しつつ進めましょう。

また、よくある認知トレーニングは「認知機能低下および認知症のリスク低減 WHOガイドライン」によると、エビデンス(裏付け)が弱く、軽度認知障害の成人に対してわずかに効果があったのみです。認知症予防はメディアでいろいろな方法が取り上げられていますが、医学的に効果が証明されていないものもあるため慎重に検討しましょう。

運動不足の改善

運動不足の改善は、成人において認知機能の低下リスクを低減するのに効果的です。また、軽度認知障害の場合にも効果が期待できます。軽度認知障害とは、認知症のハイリスクグループのことを指し、認知症の一歩手前の段階をいいます。

無理なく効果的に運動を取り入れるには、週2・3回、30分程度のウォーキングがおすすめです。さらに効果を大きくするために少しずつ運動強度を上げるのがよいでしょう。

生活習慣病の予防

糖尿病や高血圧症、高脂血症などのメタボリックシンドローム、およびそれらが関与して発症する生活習慣病を予防することは、認知症の予防につながります。生活習慣病のリスクを低減するため甘いもの(糖質)の取り過ぎや食べすぎを控えましょう。また、タバコやお酒も控えることが望ましいです。

社会参加

フィットネスクラブや習い事教室、支援センターなどで高齢者を対象にしたプログラムに参加するなどの社会参加は、特に脳を活性化する効果が期待できます。興味がある内容のもので、通いやすい身近な場所にあるものに参加するのがよいでしょう。高齢になると退職することが多いため、自主的に外に出なければ他者と触れ合う機会が減りがちです。積極的な社会参加は、社会的孤立の解消や役割の保持にも役立つでしょう。

医師や栄養管理士などへの健康相談・検診・健診

かかりつけ医や保健師、管理栄養士など、専門職への健康相談も認知症の予防には大切なことです。専門職に相談することで、認知症が発症するのを遅らせたり、発症した場合でも早期発見や早期対応につながったりします。また、定期的な健診・検診も重要です。「健診」とは健康診断のことで、体の健康状態を確認する検査のこと、「検診」は特定の病気にかかっているかどうか調べる検査のことを指しています。

認知症予防には健康的な生活習慣と社会参加を取り入れましょう

上述のポイントを踏まえ、生活習慣の改善で認知症になるリスクを低減したり、進行を遅らせたりすることが期待できます。特に高齢になっても社会参加の機会を持ち続けることは脳の活性化につながり、認知症予防の目的だけにとどまらず、生きがいづくりにもなります。いきいきとしたシニアライフを送るためにも、まずは一歩、外に出かけてみてはいかがでしょうか。

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