
栄養機能食品の見直しで検討会開催
消費者庁は10月8日に第1回栄養機能食品に関する検討会を開催し、栄養機能食品の栄養成分の上限値および下限値の改正案と、栄養成分の機能表示文言の変更の2議題を審議した結果、事務局案をそのまま了承した。同検討会は令和7年度に今回含めて3回行われ、「上限値・下限値」のほか、「栄養成分の機能」などが議論される。来年度は厚生科学研究で行われている調査事業「食事摂取状況等を考慮した『健康食品』の安全性確保に資する研究」の結果を踏まえて、同検討会の中で「摂取をする上での注意事項」について検討する。すべての検討終了後に食品表示基準改正を実施する予定だ。
栄養機能食品の「下限値・上限値」(別表第11)の現行と改正案(表を参照)の審議から始まった。設定根拠として下限値は栄養素等表示基準値の30%で設定した。検討会で使用する日本人の栄養素等摂取量は平成30年および令和元年の国民健康・栄養調査のデータ(18歳以上)を用いて算出したもの。これまでの算出方法と同じでこれを確認した。上限値は平成17年以降、見直しが行われておらず、これまでの算出方法と同じ方法で該当する栄養成分がある一方で、マグネシウム、亜鉛、銅は算出方法を整理した。上限値の設定根拠は①健康被害非発現量(NOAEL)から日本人の平均的な摂取量を差し引いたもの②耐用上限量(UL)から日本人の平均的な摂取量を差し引いたものとし、①または②と、医薬部外品1日最大分量を比較して低い方の値を採用している。NOAEL、UL、医薬部外品1日最大分量が設定されてない成分のうち、n-3系脂肪酸、カリウム、ビタミンKについては栄養素等表示基準値を上限とした。マグネシウムも栄養素等表示基準値を採用し、320mgとした(20mg高くなる)。医薬部外品最大分量は設定されてないが、ULが設定されている栄養成分(亜鉛、銅)の上限値は、UL−日本人の摂取量の上位1パーセンタイル値から算出。国が定める上限値である以上、安全性確保が特に重要として、亜鉛が現行15mgから改正案17mg、銅が現行6.0mgから4.6mgとなった。
また、機能成分の機能表示の文末表現について、栄養成分ごとに複数の文末表現が存在することから、次のように整理した。①当該栄養成分が補酵素などの役割を果たすことで、代謝経路などに影響する場合は「~を助ける栄養素のひとつです」とする。なお具体的な機能などが消費者および食品関連事業者の双方にとって理解しにくい表現である場合は「~の健康維持を助ける栄養素のひとつです」とする ②当該栄養成分が組織や器官の主な構成要素である場合(代謝経路等に主な構成要素である場合を除く)は「~を作るのに必要な栄養素のひとつです」とした。例えばビタミンAでは「暗所での視力を正常に保つのを助ける栄養素」、葉酸では「胎児の正常な発育を助ける栄養素」となった。併せて、令和5年度に実施した消費者の認識などに関する調査で見直し原案について「分かりやすい」と回答した旨の割合が60%以上を採用の基準としている。
栄養機能食品は平成13年4月に制度化(2ミネラル、12ビタミン)され、食品衛生法施行規則の中で保健機能食品に位置付けられ、運用が始まった。平成16年4月には、栄養機能食品の対象となる栄養成分に、亜鉛、銅、マグネシウムの3成分を追加した。平成21年9月には消費者庁および消費者委員会が発足と同時に保健機能食品制度を含む食品表示制度が消費者庁に一元化。平成27年4月に食品表示法および食品表示基準が施行され、その際にn-3系脂肪酸、ビタミンK、カリウムの3成分を追加した。同検討会は後2回行われる。
「FOOD STYLE 21」2025年11月号 F’s eyeより















