【サイエンス】NY紙掲載記事をめぐって「たんぱく質」論争が勃発

「プロテインパウダーは詐欺か」と題された記事が最近、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたが、この記事をめぐって論争が起こっている。

ジャーナリスト、Alice Callahan氏の執筆による記事の内容は、「たんぱく質を十分に摂取するためにサプリメントは必要か」と問うもので、これに対し専門家は一斉に反応、賛否両論入り混じった状態になっている。

例えば、Callahan氏が記事に引用した専門家であるUniversity of PennsylvaniaのCollen Tewksbury助教授は、米国の人は食事からたんぱく質を十分摂取しているため、サプリメントは必要ではないと述べている。同氏のこの意見には賛成するものも多く、ウェブメディア、Voxによると、たんぱく 質の推奨栄養所要量(RDA)は体重キログラム当たり0.8gでこれ以上は必要ないが、米成人の60% はさらに余分に摂取しようとしているという。

一方、マルチビタミン会社、RitualのNima Alamdari博士は、全米医学アカデミーのRDAは十分ではないという意見を配信している。「研究では、多くの成人は0.54~0.73g/ポンドで効果を得られるが、妊娠中、出産後、高齢者などは特に多く摂取するほど効果は高い」と加えた。骨格の専門家、Gabrielle Lyon博士も自身のインスタグラムで、食事からのたんぱく質摂取では、18~22歳の女性の20%がRDAを満たさず、65歳以上ではその割合が40%に増加すると反論した。

NutraIngredients-USAは、ニューヨーク・タイムズ紙の記事について研究者や業界関係者から意見を集める際、なぜたんぱく質がもっと必要なのか、そしてプロテインパウダーが効果的なのはなぜなのかという二つの疑問を投げかけてみた。Nova Southeastern UniversityのDouglas Kalman博士は「タイムズ紙の記事は、プロテインパウダーを不当に評価している」と反論する。同博士は「この記事は問いかけ方を間違っている。プロテインパウダーは必要か、ではなく、役に立つかと問うべき。その答えはイエスである」と加え、たんぱく質の供給源が何であれ、体は一度に 1回か2回分以上のプロテイン パウダーを吸収できないというのは誤解だという。

昨年、Cell Report Medicineに掲載された研究によると、筋力トレーニング後に吸収できるたんぱく質に上限はないという。Kalman博士が属する国際スポーツ栄養学会では、たんぱく質摂取量を増やした場合、健康上のリスクをもたらすという科学的証拠はないとしている。バイオテクノロジー企業、SpecnovaのSesbastian Balcombe氏は「座りっぱなしの生活をする人と持久力のあるアスリートの吸収力は同じ必要があるのか」と反論する。

さらに、がん患者やGLP-1ユーザーのように十分な食事を摂取できない場合、たんぱく質は必要となる。プロテインパウダーには、ホエイや植物性たんぱく質など、さまざまな形態がある。人体に必要な必須アミノ酸が含まれており、素早く吸収される、便利であるなどの理由で人気が高い。食事からの肉 摂取は、ビタミンやミネラルが供給されるといった利点はあるが、消化器官を通過するまで48時間かかる場合もあり、植物性たんぱく質でも4 時間以上かかる。その点、プロテインパウダーはバイオアベイラビリティが高く、10~20gを処理するのにかかる時間は1~2 時間程度である。吸収力の高さは筋 肉回復や体重管理が迅速に行われることを意味する。

「GNGグローバルニュース 2025年2月27日号」より

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