微生物等関連原材料指針を追加改正

小林製薬の紅麹事案の影響で消費者庁などの規制が通知から格上げされて法令化され、機能性表示食品制度が厳しい方向に進んでおり、岐路に立たされている。このような状況の中で、消費者庁は11月18日、第1回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会を開催し、「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理および品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」(令和6年3月11日付け健生食基発第0311第2号)に、微生物等関連原材料指針を追加することについて検討し、その内容を承認した。小林製薬事案の再発防止のため、微生物等(藻類も含む)を用いた培養 ▶ 発酵等関連原材料に成分規格などを設定し、同等性の分析など(クロマトパターン分析などを要望)を求めるもので、原材料メーカーにとって、難儀な通知となる。同庁は現在、パブリックコメントを12月23日まで実施しており、年内の通知改正(指針の追加)を目指している。

「311通知」は2024年3月11日、厚労省食品基準審査課(現:消費者庁食品衛生基準審査課)から発出した通知「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検および製品設計に関する指針(ガイドライン)」および「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理および品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」のこと。後者のGMP指針は、いわゆる「健康食品」の製造管理・品質管理について、前回(平成14年)の通知が「考え方」だったのに対して、新たにガイドライン(指針)に格上げして作成。これに沿って、製造管理・品質管理(GMP)を行うもので、この通知に、今回の微生物等関連原材料指針を追加する。このGMP指針の機能性表示食品の部分が義務化(GMP)して告示化(法令化)したものが9月1日から一部施行されている。

同調査会では国立医薬品食品衛生研究所の研究班が作成した検討結果を承認し、通知改正に至るもので、同研究班の検討については、微生物等関連原材料を用いた食品は通常の食品と比べて微生物の増殖過程や製造工程に起因する想定外の事象が生じる可能性があり、錠剤・カプセル剤の食品は色調、香味などの異常を感知できないものも多いため、安全性確保のために、311通知の別添2に示す「錠剤カプセル剤等食品の製造管理および品質管理(GMP指針)」の第6の2の(1)製品標準書を改正する。具体的には「微生物等関連原材料を用いる錠剤、カプセル剤等食品の製品標準書の作成に関する指針(微生物等関連原材料指針)」をGMP指針の別紙として示し、より一層の実効性を確保するために、Q&Aも作成する。

また、適用範囲となる食品については、指針適用判定フローチャートを作成しており、それを利用して確認することができる。明らか食品(ヨーグルトなど)やきのこの子実体(培養でなく栽培)などは除外され、「当該原料が従来から食用原材料として用いられてきた製品であるか?」などの設問が用意されている。適用範囲となる食品は、「GMP指針で定める製品標準書の作成において、製造管理の一環として製造に使用する前の原材料が適切な製造工程で製造された原材料であり、同等性/同質性を確認するために原材料の規格等を設定する」となっており、味や色などの官能的な指標や微生物等関連原材料の全体のプロファイル(クロマトパターン)分析、物性的な指標などを設定する。消費者庁は、今回の微生物等関連原材料指針を2024年以内に通知改正しているものと思われる。

第29回日本フードファクター学会学術集会のシンポで、新開発食品調査部会委員である穐山浩星薬科大学教授が講演し、「機能性関与成分以外の成分も見ることが重要」と言及している。

「FOOD STYLE 21」2025年1月号 F’s eyeより

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