【サイエンス】世界人口の多くが何らかの栄養素の摂取不足に陥っている可能性
世界の人口の半数以上が、カルシウムやビタミンCなど、健康を保つために必要な栄養素の摂取不足に陥っていることが米国の 研究で示唆された。
T.H. Chan School 研究チームは、Global Dietary Database、 World Bank、また31か国で行った食事想起調査のデータを基に、世界の栄養摂取分布を調べた。Global Dietary Databaseデータは、185か国から栄養素15種の平均摂取状況を、年齢層別、性別、都市別などに定量化したもので、これらを用いて世界99.3%の人の栄養摂取不足発生を推計した。栄養素は、カルシウム、ヨウ素、鉄、リボフラビン、葉酸、亜鉛、マグネシウム、セレン、チアミン、ナイアシン、ビタミンA、B6、B12、C、E などが含まれる。
分析の結果、50億人以上(世界人口の68%)が十分なヨウ素を摂取できておらず、ビタミンE (67%)、カルシウム(66%)も同様で、鉄(65%)、リボフラビン(55%)、葉酸(54%)、ビタミンC(53%)と続く。ナイアシンやチアミン、セレンはそれぞれ、22%、30%、37%と、不足度は低いほうだった。
研究者は「想像以上に、あらゆる地域や国、すべての所得層で、複数の必須栄養素の摂取が足りていないことがわかった。これは、疾患率を高め、医療費の高騰など有害な影響をもたらす」と警告した。 研究者は「栄養素摂取不足のパターンを理解することは、食事介入や生物学的栄養強化、栄養補給 が必要である状況を確認しやすくなる。また、どの栄養素摂取不足が相互に関係しているかを探ることは、協調して食事介入の効率を改善する栄養素の特定に役立つ」と説明した。本研究はThe Lancet Global Healthに掲載されている。
「GNGグローバルニュース 2024年10月25日号」より