食品表示基準改正と意見書の中身

消費者委員会は6月20日に第72回食品表示部会、7月1日に第73回、7月12日に第74回と継続して開催し、食品表示基準の一部改正(内閣府令:機能性表示食品)の意見交換を進め、答申書案および意見書案(サプリメント食品に係る消費者問題に関する意見)を取りまとめ、7月16日の消費者委員会本会議を経て岸田総理に答申した。

一方、消費者庁は6月27日に同内閣府令について消費者委員会に正式に諮問すると同時に、同府令の意見募集を開始した。条文には機能性表示食品のサプリ形状等製造のGMP義務化や健康被害情報の届出後の遵守事項が明記され、9月1日施行となっているが、健康被害情報の収集体制および医師の診断による健康被害情報の保健所等への提供等は即日施行、GMP義務化関連は令和8年9月1日施行と2年間の経過措置を取った。新規成分関連の手続き(提出期限を販売日の120営業日前とする)は来年4月1日施行と、PRISMA2020の導入に合わせた。

振り返ると、第72回食品表示部会では、食品表示基準改正の方向性について審議した。消費者庁の “巡る検討会” に対する各委員の事前質問一覧と、事前意見一覧に対する消費者庁の回答を明らかにし、それに沿って意見交換となった。今年3月11日の厚労省の「311通知改正」を法令化する方向で進むこととなり、消費者庁が法令化に関連する説明を行った。新規の機能性関与成分は、食薬区分の判断を得たものを前提条件とすることについて、「新規の機能性関与成分について提出期限の特例制度は指摘の点も含め、表示の根拠に関する資料の確認に時間を要することも想定されることを踏まえて導入するもの」とした。また、食経験については多くの委員から指摘されていたが、「現時点で一律の基準を設けることは困難と考えており、機能性表示の裏付けとなる安全性の科学的根拠の課題として引き続き検討」と長期的な課題とした。

第73回食品表示部会は、内閣府令の条文説明後に各委員が意見を述べた。条文には届出後の遵守事項として、届出後に新たな科学的知見が得られた際の消費者庁長官への報告が位置付けられたほか、錠剤・カプセル剤等食品の製造管理および品質管理における適正製造規範(GMP)基準の適合については、311通知から発出している「GMP指針」を踏まえた基準を内閣府告示で規定する。

第74回食品表示部会では、答申書と意見書について意見交換した。答申書には委員らの附帯意見が付いており、食品表示基準の改正に関する事項では、健康被害情報の収集等として、医師の確定診断がなくても「薬剤師等の医療従事者、消費者から寄せられた健康被害の疑いがある事案について、保健所や消費者庁は積極的に情報収集をすることを検討すべき」等々と述べ、サプリメント形状のGMP義務化では、「米国の基準なども踏まえつつ、さらなる厳格化を検討すべき」等を盛り込んだ。そのほか、遵守事項に関する届出者の自己チェック等、義務的表示事項の表示方法および表示方式等の見直し等々の項目で意見が明記された。

また、意見書「サプリメント食品に係る消費者問題に関する意見」には、食品部会を進めてきた中で、委員から200~300以上の質問・意見があったことから、サプリメント形状食品の有効性・安全性の実効性の確保や健康被害情報の収集・活用等について意見を明記したもの。「機能性表示食品を表示中心の届出制としたまま、表示との関係性の必ずしも強くない事項についての事業者の義務を強化する方向性は消費者にとっても事業者にとっても不透明なもの」として法制上の明確化に言及しており、サプリメント法の設置を視野に入れているものと感じられる。

「FOOD STYLE 21」2024年8月号 F’s eyeより

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