機能性表示食品の届出ガイドライン改正
消費者庁は9月29日、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」および「機能性表示食品に関する質疑応答集」の一部改正を行った。今回の届出ガイドラインの改正には①システマティックレビュー(SR)の「PRISMA声明(2020年)」への更新②届出内容の責任の所在の明確化等が盛り込まれた。質疑応答集では、「PRISMA声明(2020年)」に準拠することから、そのためのチェックリスト等の修正・追加を実施した。また、30日ルールは廃止となり、質疑応答集に記載されていた「事前確認を適切に実施できる体制が構築されていることを消費者庁が確認した団体については、消費者庁ウェブサイトに団体の名称を掲載する」という記述が消え、2団体(日本健康・栄養食品協会、日本抗加齢協会)の名称も削除された。
今回の改正は「PRISMA声明(2009年)」から「PRISMA声明(2020)」に更新されたことで、SRのチェック項目が大きく変更されたため、事業者側の大幅な負担増となっている。ガイドライン改正の意見募集の際に明記していた新規届出(PRISMA2020準拠)が令和7年4月1日となっており、既存の届出は随時受け付ける。また、PRISMA2009版による資料提出の場合は別紙様式2(新様式:2009準拠版)を使用する。既存の届出の経過措置については、パブリックコメントの「御意見の概要およびご意見に対する考え方」にも改めて「随時」となっている。
今回のガイドライン改正の主な内容は、①システマティックレビュー(SR)の「PRISMA声明(2020年)」への準拠(システマティックレビュー報告のための国際指針であるシステマティックレビューの作成を2020年版に準拠することを原則とし、チェックリスト等を追加・改正)②届出内容の責任の所在の明確化(届出の内容、とりわけ科学的根拠の検証責任を届出事業者全体で負っていることを確認するため、チェックリストに届出者(個人または法人)の代表者の確認欄を追加)③その他の技術的事項として、参照するガイドライン等の変更(軽症者が含まれたデータの取扱いについて、鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版)が(2020年版)に更新されたことに伴い、アレルギー鼻炎症状の重症度分類を変更する等)、あるいは最終製品を用いた臨床試験の実施にあたっての留意事項として、研究計画の事前登録について「特定保健用食品申請に係る申請書作成上の留意事項」に準拠する等となっている。また、ガイドラインの文章中にエビデンス総体について「確実性(または信頼性)」の評価も踏まえて表示しようとする機能性について総合的に肯定されるとの判断を具体的に明記する。“エビデンス総体の「確実性(または信頼性)」”については、さくらフォレスト事案からもSRへの信頼性が求められており、2020年版に正確に準拠することも事業者の大事な取組みとなる。
一方、トクホの新しい疾病リスク低減表示については、1歩前に進み、画期的な試みが実現しようとしている。消費者委員会は10月2日、内閣総理大臣から諮問されていた、「DHA入りリサーラソーセージω」(マルハニチロ)を特定保健用食品(疾病リスク低減表示)として認めることと差し支えないと答申した。同委員会の新開発食品調査部会で審議していた。表示は「この食品はドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)を豊富に含みます。日頃の運動とDHAおよびEPAを含む健康的な食事は、将来、心血管疾患になるリスクを低減する可能性があります」と、近い将来、疾病名(心血管疾患)を表示したトクホ製品が誕生するのは業界にとっても有意義なことである。
「FOOD STYLE 21」2023年11月号 F’s eyeより