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テクノロジーでウェルビーイングを叶える「フェムテック&メルテック」

女性や男性に特有の健康課題について、テクノロジーで解決する製品やサービスのことを示す「フェムテック(Femtech)」と「メルテック(Maletech)※」。2016年頃から始まったこれらの市場は様々な製品やサービスの開発を通じてその規模が急成長し、産官学で連携した研究も行われています。今回は、個々のウェルビーイング実現に加え、経済全体へも改進をもたらし得るフェムテックとメルテックについて解説していきます。
※「メルテック」は「メンテック」と呼ばれることもあります

「フェムテック(Femtech)・メルテック(Maletech)」とは

フェムテック(Femtech)とはFemale(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、対するメルテック(Maletech)はこれをMale(男性)で置き換えたものです。どちらも、その性やライフステージに特有の健康課題をテクノロジーで解決する、商品やサービスのことを指します。

その市場は2016年頃からの新しいもので、日本ではこのうちフェムテックについて推進する骨太方針が2021年に閣議決定されました。一方で、世界におけるフェムテック企業への投資額は2016年から3年間で2.8倍に相当する640億円にも上ります。今後さらにこの市場は伸びると見られ、2025年には5兆円を超えるとも予測されているのです。

男女で共有することが求められる、セクシャルな健康課題

フェムテックとメルテックが対象とする健康課題というと、女性なら月経や妊娠、不妊、産後ケアで抱える悩みを想像する人も多いでしょう。また、男性ならED(勃起不全)やAGA(男性型脱毛症)のようなものを思い浮かべるかもしれません。

近年、これらの課題は一方の性に限られたものではなく共有して解決していくことが求められています。たとえば、女性の年齢や身体の問題に対して目を向けられがちな不妊の原因は、排卵機能や子宮機能など女性に起因するものが41%。そして造精機能障害や精路通過障害など男性に起因するものと並んで、男女の両方に起因するものが各24%を占めているのです。こうした不妊に伴う “妊活”のほか更年期に起こる不調や生理的に起こる月経、EDといった課題は個々のウェルビーイングを大きく左右します。さらにこれらの製品やサービスの開発と提供には、医療と一直線上に在るものが多いのも特徴の一つです。

フェムテック&メルテックがもたらす経済効果と実態調査

フェムテックとメルテックが普及し活用されることにより、個々のウェルビーイングに加えて社会的な活動におけるパフォーマンスの向上も期待できます。このうちフェムテックに関する我が国での経済効果の試算は、2025年時点で約2兆円(年間)に上るとも。その推計は女性における雇用形態や離職率に加え、不妊治療の開始時期や中断する割合と出生率の変化などについて調査したものです。これらの背景には不妊治療を体験した女性で仕事との両立が難しく離職した人が23%、雇用形態を変更した人が10%、そして治療を断念した人が10%を占めているという実態があります。このような実態を受け、経済産業省は令和3年度予算額に1.5億円を投じ、フェムテック関連の事業者に対して補助金を行うなどの取り組みを始めました。

一方のメルテックについては我が国での歴史や認知度はまだ低く、このような試算はまだありません。今後、双方の製品やサービスが充実し活用されることで、これらが相乗的に互いのライフとキャリアを両立させて更なる経済効果を生みだしていくと期待できるでしょう。

多彩なニーズに対する商品開発やサービス提供

ライフステージに合わせてニーズが多岐にわたるフェムテックとメルテックの関連ツールは、大きく分けると5つあります。1つ目は機能性をもつ食品。2つ目は健康管理やトラッキングを行うもの。3つ目は簡易検査キットで、4つ目は専門家の相談やサポートを受けたり医療と連携して負担を和らげたりするもの。そして5つ目は、これらに該当しないか分野をまたいで新しい視点から活用することの出来るものです。

例えば、メルテックでもある精子セルフチェックサービス「Seem®(リクルートライフスタイル)」は精子の状態が生活環境で改善できるのを可視化することで、結果として女性にかぎらず男性の生き方にも深く関わってくるものでしょう。また、世界初のフェムテック専門オンラインストア「fermata store」では、実店舗や百貨店でのポップアップショップを展開して国内外における選りすぐりの製品を販売しています。

フェムテック&メルテック関連ビジネスの在り方と展望

フェムテックとメルテックに関するビジネスは経済格差や倫理の課題とも常に隣り合わせであるため、慎重に取り組んでいく必要があります。セクシャルウェルネスが引き起こす健康課題についてテクノロジーを駆使することに留まらず、個々のニーズに対して丁寧に向き合う企業が支持され残っていくことになるでしょう。そしてこれらの製品とサービスを多くの人が活用できるようにするためには、産官学で連携しながら制度や支援といった仕組みづくりも欠かせません。

フェムテックに比べると我が国ではまだ認知度の低いメルテックも、一般向けに大手製薬会社からAGAによる抜け毛や薄毛のリスク検査キットなどが登場し、徐々に広まりつつあります。また、これまで女性特有のものとして捉えられがちだった“更年期”は、男性にも起こり得る健康課題(男性更年期障害、LOH症候群)として知られるようになってきました。

これからの未来、フェムテックとメルテックのようなイノベーションがより身近に普及していくことは、個々のウェルビーイングを実現するために必要なのかもしれません。


ウェルネス総研レポートonline編集部

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