脳機能低下の改善・予防に役立つたんぱく質「BDNF」とは
【サイエンス】高たんぱく、低炭水化物、カロリー制限食は腸内細菌叢の多様性に関連する可能性
減量プログラムが腸内細菌叢の組成に有益な影響を与える可能性が、フランスの研究で示唆された。人の腸内細菌は、菌の種類によって1型(バクテロイデス属優 勢)、2型(プレボテラ属)、3型(ルミノコッカス属)の 3つのタイプ(エンテロタイプ)に分けられると考えられる。
研究チームは、標準の減量プログラムに参加する 263人を対象に、腸内細菌叢の組成を評価した。特に、肥満患者に多く存在するといわれるバクテロイデス2(Bact2)エンテロタイプに注目し、減量との関連性を検証する。減量プログラムは、8週間の高たんぱく質、低炭水化物、カロリー制限(1日800~1100カロリー)のダイエット期、標準食に戻る移行期、体重減少維持のためのサポートを受けるフォローアップ期の3つのフェーズで構成されている。
また、被験者の一部は、11種の異なる菌株を配合したプロバイオティクス生菌サプリメントを摂取した。被験者全員の糞サンプルが研究開始時に採取され、さらに10%の減量に成功した163人のサンプルを後で採取し評価した。分析の結果、研究開始時、Bact2は肥満被験者に多くみられたが、減量プログラム後は、腸内細菌叢の多様性が増し、開始時に多様性が低かった被験者でBact2が減少したことがわかった。これは特に、プロバイオティクスを摂取した群に認められた。研究者は、「高たんぱく質、低炭水化物、カロリー制限食で、腸内細菌叢の多様性および組成が大幅に改善した」と結論付けた。本研究は、Biomedicinesに掲載されている。
「GNGグローバルニュース 2022年3月11日号」より