ポストアンチエイジングの潮流「細胞再活性化」が注目される理由とは?

長寿が達成されつつある今、健康寿命の延伸が21世紀の世界共通の課題となっています。近年、老化のメカニズムの科学的な解明が遺伝子レベルで飛躍的に進み、老化するのは細胞であり、活性を失った細胞を再び活性化させる「細胞再活性化」によって、若さと健康を保つことができることがわかってきました。

健康で長生きしたい。これは古今東西変わらぬ人間の願いです。さらにコロナ禍は否応なく、私たちに生命と健康の大切さに目を向けさせることになりました。そんな中、世界中で老化のメカニズムが遺伝子レベルで解明され、120歳まで若く生きることが当たり前の時代がすぐそこまで来ているといわれます。老化するのは細胞であり、活性を失った細胞を再び活性化させる「細胞再活性化」によって、若さと健康を保つことができるというのです。ここでは健康寿命延伸のカギとなる「細胞再活性化」が注目される理由をひもときます。

人生100年時代、老化は「治せる病気」に

伸び続ける日本の平均寿命 健康寿命の延伸が課題

日本が長寿大国と言われて久しくなります。令和元年の平均寿命は男性81.41 歳、女性87.45歳で、2050年には女性の平均寿命は90歳を超えると予測されています。また、日本では100歳を超える「百寿者」も急増しており、2020年には8万人を突破しました。 平均寿命が延びているのは日本だけでなく、先進国、新興国ともに世界的な傾向です。長寿が達成されれば、次に注目されるのはその状態です。WHO(世界保健機関)は2000年に、「健康寿命」という新しい健康指針を提唱。日常生活動作が自立し、健康で過ごせる期間のことで、平均寿命との差は日本では男性で約9年、女性で約12年と、平均寿命が長い国ほど健康寿命との差も大きいことが課題です。

「老化は病気である」という考え方

いつまでも健康で、若々しいまま、できるだけ長く生きたい──。こんなわがままな願いに長年向き合ってきたのが老化研究です。 老化と不老長寿は表裏一体の関係にあり、不老長寿の実現のためには老化のメカニズムを知る必要があります。老化研究では、避けられない現象である老化の原因と、その発現をいかに抑えて老化を遅らせることができるかを科学的に探究してきました。ところが最新の研究によって、「老化は病気であり、病気である以上は治療できる」という説が唱えられるようになり、注目を集めています。この考え方を広く世に知らしめたのは、ハーバード大学医学大学院のデビッド・A・シンクレア教授による世界的なベストセラー『LIFESPAN 老いなき世界』(東洋経済新報社 梶山あゆみ訳)です。

アンチエイジング研究の主役は「細胞」に

「老化は病気である」という考え方の背景には、細胞研究の目覚ましい発展があります。遺伝子工学の発達によって、遺伝子の機能を個体で調べることができるようになり、細胞の老化が個体の老化であることが証明されました。老化細胞を取り除くことが老化を抑制したり病気予防につながるという研究結果も発表されています。 老化研究、アンチエイジング研究の主役は今、まさに「細胞」であると言えます。

ポストアンチエイジング「細胞再活性化」とは

人は細胞から老いる~細胞が老化する主な原因

ではなぜ細胞は老化するのでしょうか。
老化の原因については、突然変異が蓄積されることが老化につながるという「突然変異説」、体内で発生した活性酸素が原因とする「活性酸素説」、染色体の末端にあるテロメアが短くなることで老化するという「テロメア短縮説」などさまざまな学説が唱えられています。総合すると、老化はあらかじめ遺伝子に組み込まれているプログラムであり、いろいろな原因による障害が細胞に蓄積された結果として起こる「機能低下」であると考えられます。 プログラムを変えることはできないので、細胞の老化を防ぐためには、細胞を傷つける原因と考えられる活性酸素や紫外線、ストレスなどをなるべく避け、抗酸化力の高い食品を摂ることで「細胞の回復力」を高めることがこれまで主に勧められてきました。

老化に向かう細胞は「機能低下」のうちに再活性化できる

しかし、いくら外からの刺激を減らしても、細胞そのものの機能が低下したままでは、老化を食い止めることはできません。そこで注目されているのが、機能低下した細胞を再び活性化させるシステム=細胞再活性化です。

全身の細胞は毎日少しずつ入れ替わっていますが、細胞の内部でも日々、古くなった小器官などを少しずつ入れ替えています。この細胞内の新陳代謝を担うのがオートファジーです。また、DNAの傷の修復力をアップさせるサーチュイン遺伝子を活性化することができれば、細胞は機能低下のうちに食い止められ、全身の老化スピードも遅らせられると考えられるのです。 オートファジー、サーチュイン遺伝子については、細胞再活性化のキーワード「オートファジー」を知るサーチュイン遺伝子と細胞再活性化の関係で詳しく紹介していますのでそちらをご覧ください。

「細胞再活性化」で長生きの不安を軽減

細胞再活性化は運動や食事などの生活習慣によって促進できることがわかってきました。
まずは摂取カロリーのコントロールです。オートファジーは細胞が飢餓状態になると活性化され、カロリー制限によりサーチュイン遺伝子を刺激されて、正常な細胞分裂が促進されます。 また、運動によって適度な負荷を体にかけることによっても、サーチュイン遺伝子が活性化され、細胞再活性化につながります。

オートファジーやサーチュイン遺伝子を活性化する成分や食品素材もいくつか見つかっています。ブドウや赤ワインに含まれるレスベラトロール、納豆などに含まれるスペルミジン、枝豆やアボカドなどに含まれるNMN(ニコチンアミドヌクレオチド)、鮭などに含まれるアスタキサンチン、古くから健康増進機能があることが知られているザクロなどの腸内代謝物であるウロリチンなどです。こうした成分がどのようにオートファジーやサーチュイン遺伝子を活性化するかについて、研究者や企業がエビデンスを積み重ね、さまざまな形での実用化を行っています。

ある調査によると、2人に1人は長生きすることに不安を感じているというデータもあります。 全身の劣化した細胞を日々、若い細胞に生まれ変わらせることができるなら──。シンクレア教授の言う「120歳まで健康で生きる」ことは難しくないのかもしれません。


ウェルネス総研レポートonline編集部

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