「ウェルネストレンド白書Vol.4」から導く、令和ミドルの行動変容戦略と創造型市場の作り方

2025年7月4日、一般社団法人ウェルネス総合研究所は『ウェルネストレンド白書 Vol.4』の刊行を記念し、セミナー『7つの健康セグメントから読み解く、現代の「健康意識と行動」と市場拡大の方向性』を開催しました。

シリーズ第4弾となる今回の白書では、ヘルスベネフィット、成分・素材、トレンドワードに関する内容が拡充されただけでなく、話題となっている商品が生まれた背景にある創造型市場の顕在的なニーズを読み解くヒントも示されています。ここでは、セミナーで解説された白書の変更点や注目ポイント、そして令和の時代に消費者が求める商品像、パネルディスカッションについてレポートします。

【第1部】ロンジェビティを含む注目テーマを拡充、認知から摂取意向まで4段階で階層化した白書Vol.4の概要

はじめに、当総研主席アナリストの白井俊行氏が、「ウェルネストレンド白書の調査概要と主な結果」について説明しました。『ウェルネストレンド白書 Vol.4』(以降、本書)の製作にあたり、2025年3月に国内在住の20〜79歳男女、約4,500人を対象としたインターネット調査が実施されました。設問内容は大きく分けると9種類で、そのうち3つが新規、2つが再編です。

ウェルネストレンド白書vol.4より

本書は「本編」と「データ編」の2部構成で、本編では文章を中心に全体的な傾向と要点がまとめられています。例えば、令和世代の健康意識や幸福度分析など複数の視点で消費者の価値観やプロファイルを分析しています。一方の、データ編は200ページ以上にわたる、51種のヘルスベネフィット、57種の素材・成分、そして23個のトレンドワードに関する詳細なクロス集計表です。

ウェルネストレンド白書vol.4より

4回目となる今回の調査を受け、7つある健康セグメントの分布は2023年版(Vo.3)と比べて大きな変動がなく、結果の再現性が高いと評価していました。特に注目すべきは、「健康無関心層」が13%から11%に減少し、これは調査以来最も低い割合である点です。このことから、全体的に健康への関心がやや高まっていることが伺えると話しました。

また、女性はすべての年代で健康意識が高い傾向にあります。一方で、特に40代から50代の男性では、何らかの不調が出始める世代であるにもかかわらず、「まだ大丈夫層」や「健康無関心層」の割合が高いことが明らかになりました。

本書では、これらの健康セグメントのプロファイル情報を一歩踏み込み、食事機会ごとの傾向や、趣味・価値観における特徴的な差異も可視化されています。

ウェルネストレンド白書vol.4より

今回の調査では、健康セグメントごとの「幸福を感じる瞬間」についても分析しています。その結果、「健康無関心層」「トレーニング大好き層」「まだ大丈夫層」は、“ドーパミン的幸福”(達成や快楽に基づく幸福)が優位であったのに対し、「健康ストイック層」は、 “オキシトシン的幸福”(人とのつながりや共感を基盤とした幸福)が優位でした。中でも、健康意識が低い層ほど「幸福を感じる瞬間が特にない・わからない」という回答する割合が高く、「健康無関心層」に至っては4人に1人がこれに該当していることは課題のひとつです。

また、単語ランキングから、「健康」と「趣味」がほぼ比例していることが分かりました。健康意識が高いセグメントほど、観光やレジャーなどアクティブな趣味を持ち、趣味の総数も多い傾向があるようです。

ウェルネストレンド白書vol.4より

ウェルネス領域のトレンドワードについても受容性を評価しており、話題の老化指標「エピジェネティック・クロック(生物学的年齢)」への関心は女性で高く、男性は若年層を除いて低い傾向が見られました。継続的にこのような調査をおこなうことで、認知度と関心度の経年変化も追跡できると話します。

ウェルネストレンド白書vol.4より

加えて、本書では健康セグメントのパーソナリティがさらに階層立てて分析されています。中でも、「趣味」や「好きなこと」に関する健康セグメントごとの傾向には大きな差異があり、全体との比較が重点的にプロットされました。

また、ヘルスベネフィット項目はVo.3の47種から51種に増え、クロス集計では「関心の有無」と「対策の実施状況」から、潜在的・顕在的なニーズの詳細な分析が可能に。そして、57種類の素材・成分については、「認知→理解→関心→摂取意向」の段階ごとに消費者の状況を把握できるようになったことを示し、本書の調査概要と結果についての解説を締めくくりました。

ウェルネストレンド白書vol.4より

ウェルネス総研レポートonline編集部

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