健康食品産業協議会が次々と対応策

消費者庁は3月25日に内閣府告示第35号を公布し、機能性表示食品の届出を法令化し、機能性表示食品制度の強化を進めるとともに、一方では昨年末に微生物等関連原材料の指針を発出し、健康食品の原材料の安全性確保に動いている。一連の動向から、健食業界の意識が高まりつつあり、業界5団体の集合体である健康食品産業協議会(JAOHFA)はその対応策を次々に打ち出した。第1弾が3月17日に公開した「機能性表示食品制度の届出資料におけるPRISMA2020声明システマティックレビュー記載の留意点(第一版)」である。機能性表示食品の届出資料は4月1日からPRISMA2020に準拠しなければならず、ハードルが高くなっている。そのため、同協議会ではガイドライン分科会情報収集チームとエビデンス向上分科会がPRISMA2020に準拠したSRを用いた届出を円滑に推進するために、消費者庁食品表示課保健表示室との意見交換を踏まえ、日本健康・栄養食品協会、日本抗加齢協会、日本通信販売協会の3団体と協力して今回の第一版を作成した。内容は機能性表示食品のSRに関する届出資料の注目ポイントである別紙様式(V)-4本文・抄録および(Ⅴ)-5以降に関して、「記載のポイント例」と「より良い記載のポイント例」を記載の留意点として判断の基準を明示した。

第2弾は4月3日、同協議会は機能性表示食品に健康被害が発生した際に報告が義務化されていることから、行政機関へ情報提供する際の留意事項として、「機能性表示食品摂取者の体調変化/健康被害の行政機関への情報提供に係る留意事項~健康食品摂取者の体調変化申し出対応に向けて~」を作成し協議会ホームページ上で公開した。日本抗加齢協会、日本通信販売協会、健康と食品懇話会の3団体と協働し作成に至ったもので、“体調変化”という言葉を付け足すことで健康被害という業界が持つ言葉の違和感を薄めつつ、理解しやすくした。昨年9月1日の「機能性表示食品等に係る健康被害の情報提供について(健生食監発0823第3号)」によって昨年9月1日から機能性表示食品摂取による体調変化/健康被害が発生した場合に速やかに厚労省(保健所等)および消費者庁にその情報を提供することとなっている。この「留意事項」は、事業者の体制作りを後押しし、相談窓口の設置、健康被害対応部門の設置、医療機関への調査と調査結果を正確に確認、それを理解できる体制、行政機関への情報提供の判断および情報提供に関する体制など本格的な体制作りを推進するほか、初動対応、医療機関からの情報収集・対応、健康被害を含む体調変化に対する情報のレビューなどを挙げており、健康被害が起こる前の事業者側の体制強化準備を推進するものである。

第3弾は、原材料の安全性の対応策。同協議会は4月10日、「原材料に関する安全性のチェックリスト」を公表し注目を集めている。健康食品の原材料の安全性に関しては、消費者庁から「311通知の別添1のガイドライン」および「微生物等関連原材料指針」などの施策を発出しているが、健食事業者らが具体的な対応について読み取りづらいということもあり、より的確な対応策が求められていた。チェックリストは健康食品原材料が起因する健康被害をいかに防ぐかという視点を基に原材料設計における品質・安全性確保のための管理手順を示している。同チェックリストは、チェックリスト説明書、チェックリスト解説書、チェックリストのフロー、回答例などから構成されており、自主点検し易いように作成されている。これらの対応策は行政との連携が推測され、強い認識で作成されており、失われた信頼を取り戻す、出発点になる。

「FOOD STYLE 21」2025年5月号 F’s eyeより

関連記事一覧