ハーブブームの次なる主役になるか?今注目の「ルッコラ」

日本の食卓にもすっかり定着したハーブ。香りづけなど調理工程で使用されるだけでなく、ハーブそのものが惣菜やサラダとして料理の主役となることも少なくありません。近年はこうした生鮮品でもあるフレッシュハーブが注目されており、おうち需要が高まったコロナ禍以降、家庭での利用も増加しています。多くの種類が流通するフレッシュハーブの中でも、今特に注目したいのが「ルッコラ」。栄養素が豊富で、ウェルネスな食生活に今取り入れたい、ルッコラについて紹介します。

国内で需要が高まるハーブ、イタリアンやタイ料理が火付け役に

そもそもハーブとは「草」「野草」を意味し、料理やハーブティーなど、食用として幅広く使われる素材です。一昔前までは国内で料理にハーブを使用する人は限られていましたが、1990年代のイタ飯ブーム、2000年代のエスニックブームなどが影響し、一般家庭にも浸透。乾燥により保存がきき、風味が濃縮された“ドライハーブ”、ハーブ本来の味をそのまま楽しむことができる生のハーブである“フレッシュハーブ”、ともに年々需要が高まっており、実はフレッシュハーブは国内生産も盛んです。

注目のハーブ「ルッコラ」とは

日本食にも相性抜群、意外と身近な優等生ハーブ

「ルッコラ」とはイタリアの呼び名で、フランスやイギリスで「ロケット」、日本では「黄花すずしろ」とも呼ばれ、日本の春の七草でも有名なすずしろ(だいこん)と同じアブラナ科の植物です。ほのかなごまの香りやピリッとした辛味があり、イタリアやフランスでサラダの葉野菜として使われることが多い野菜ですが、刺激は少なく、ごま和えやお浸しなど日本料理にもよく合うマルチなハーブです。若い葉は「ベビーリーフ」(野菜の幼葉の総称)として、ほうれん草、ロメインレタスなどとミックスされて販売されているため、知らず知らずルッコラを口にしている方も多いかもしれません。

クレオパトラも取り入れたハーブ、栄養豊富で美容にも期待

ルッコラは健康面でも美容面から見ても栄養素が豊富であることが特徴です。原産地は地中海沿岸といわれ、古代ギリシャや古代ローマ時代には既に食用として栽培されていたとか。そして世界三大美女の一人として有名なクレオパトラも、自らの美しさを保つために好んで取り入れていたとされます。

ビタミン・ミネラル豊富で抗酸化力も高い健康野菜

ルッコラは下の表のように食物繊維やビタミン、ミネラルなどがバランスよく豊富に含まれるハーブです。含まれる栄養素と期待できる効果について見ていきましょう。

ルッコラの栄養素から期待できるウェルネスパワー

<健康編>

●整腸効果、免疫力向上/食物繊維

・食物繊維が便のかさを増やし便秘対策に役立つとともに食後の血糖上昇を緩やかに
・腸内環境が整うことにより、免疫力を高めるはたらきも

●皮膚の健康維持、風邪予防/ビタミンC

・ビタミンCはコラーゲン生成に必要な成分であるとともにメラニン色素の生成を抑えるはたらきがあり、皮膚の健康維持に
・ストレスや風邪に対する免疫力を調整するはたらきも

●貧血対策/鉄

・鉄は赤血球中のヘモグロビンの材料になるため、不足すると貧血の原因に
・貧血気味の方や妊娠中の女性には意識して摂ってほしい栄養素

●むくみ対策/カリウム

カリウムには塩分(ナトリウム)を体外に排出するはたらきがあり、むくみ対策に効果的
※塩分の多い食事を摂りすぎると、血中の塩分(ナトリウム)濃度が上がります。それを薄めようとするからだ本来のはたらきにより、水分が体にためこまれやすくなり、むくみの原因になるので注意しましょう。

<美容編>

●お肌を守る抗酸化作用/β‐カロテン、ビタミンC、ビタミンE

・体内で活性酸素が増えると細胞を攻撃し、がんや老化を引き起こすと言われており、それが肌で起こるとシミやシワの原因に
・抗酸化作用(体内に発生した活性酸素を除去するはたらき)のあるβ-カロテンやビタミンにより、肌の老化予防が期待

●お肌のハリを作るコラーゲン合成/ビタミンC、鉄

・コラーゲンは、食事から摂ったアミノ酸から体中で合成されるお肌のハリを作るたんぱく質
・ビタミンCと鉄は、体内のコラーゲン合成に必要な栄養素であり、美肌作りをサポート

●ダイエットにぴったり/低カロリー(100g/19kcal)

・「ルッコラ」は低カロリーで様々な栄養素が含まれているため、ダイエットに向いている食材
・ダイエット中は食事制限などで栄養のバランスが崩れてしまうことも多いので、不足しがちなカルシウムや鉄などを含むルッコラを食事に取り入れるとGOOD

健康と美容を整えるルッコラの食べ方

「ルッコラ」には、ごまのような風味と表現されるほんのり香る苦味があります。この風味を生かし調和させる組み合わせとして、①乳製品(ヨーグルトやチーズ、生クリーム)、②油脂(オリーブオイルやベーコンなど動物性の脂質など)、③タンパク質(肉、魚、卵、大豆製品)と合わせるのがおすすめです。抗酸化作用を高め、内側から美肌を作るサポートをします。

牛肉やレバーと合わせる

<ポイント>
鉄分を多く含む牛肉にビタミンC、葉酸などを含むルッコラを合わせることで血流の改善を行い全身の代謝を助けます。
ミネラル感の強いレバーや牛肉に対して、ルッコラがアクセントとなって味わいも相性良しです!

ナッツや種実を組み合わせる

<ポイント>
くるみやごまにはビタミンEが豊富に含まれています。ルッコラのβ-カロテンと組み合わせることで、抗酸化作用をより高めることができます。

チーズやヨーグルト、味噌を組み合わせる

<ポイント>
発酵食品であるチーズやヨーグルト、味噌などの食品と、食物繊維が豊富なルッコラを組み合わせることで、腸内環境を整えて便通を良くし、内側からの肌ケアを助けます。

イタリア料理の普及とともに知名度も上がり、店頭でも見かけることが多くなったルッコラ。少しの苦みと辛み、そこに香るごまの風味。風味も然ることながら、入手も調理も手軽にできて、健康や美容に嬉しい栄養素がたっぷりの魅力的なハーブです。馴染みがなくこれまで手が伸びなかった方も、ぜひこの機会にルッコラを食卓を飾る一品に加えてみてはいかがでしょうか。

ウェルネス総研レポートonline編集部

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