制度の現状と留意事項の一部改定案

消費者庁は機能性表示食品制度について、届出確認業務の合理化・円滑化を図るために今年4月から民間等の団体による届出事前確認の仕組み構築の検討を始めた。事前確認を経た届出は最終的に消費者庁における届出確認期間0(ゼロ)日を目指し、来年度中の本格的運用開始を予定している。

これに関連して、社福協の健康食品フォーラムは7月7日、「食品に求める『機能性表示』の現状と今後の展望」と題したテーマでオンラインセミナーを開催した。

今回のセミナープログラムは「機能性表示食品の届出確認業務の合理化・円滑化と今後の課題について」(蟹江誠消費者庁食品表示企画課保健表示室長)、「健康食品における、景品表示法、医薬品医療機器等法、健康増進法の広告表示規制について~JAROの審査辞令を中心に~」(吉田厳日本広告審査機構審査部課長)と2つの講演が行われた。

蟹江室長は機能性表示食品の新規公表件数として今年の4月が174件と過去最多の件数だったこと、公表件数が4,992件で販売休止中等が2,489件(6月9日時点)などと話した。生鮮食品では最近の公表として、にんにく、ビルベリー、パイナップルを挙げた。公表または不備指摘を行うまでの日数を50日から30日に短縮する通知や、関係団体による届出事前確認の仕組みを構築し、団体の確認を経た届出は最終的に消費者庁における届出確認期間0日を目指すこと、今年9月までに0日ルールの手順書案を作成して試行してみたいと説明した。

また、食品表示基準に規定する「未成年」が満18歳未満の者を指すこととなること、第三者の試験機関の追加として、日本農林規格に関する法律(昭和25年法律第175号)に基づく登録試験業者を、機能性関与成分に関する定性試験および定量試験の分析ができる第三者機関として追加したことを解説した。さらにトクホの運用改善に係る布令・通知改正案の概要、特別用途食品の現状を述べ、制度全体の普及開発が大きな課題であること、機能性表示食品のデータベース見直しを内部で検討していることも話した。

吉田氏は健康食品に関する関係法令について、事例を挙げて詳しく解説した。例えば、体験談における表示の考え方や打消し表示、アフィリエイトサイト等について説明した。広告規制については、関連法規が一部改定され、明示的になるようだ。

消費者庁表示対策課は8月9日に「健康食品に関する景品表示法および健康増進法上の留意事項について」の一部改定(案)に関する意見募集を開始した。一部改定案は、景表法および健康増進法上問題となるおそれの表示への考え方について、より明示的に示し、事業者の適正な広告活動に資することや、措置命令の事例も多数蓄積されたため、本指針の措置命令事例を充実させるという。

改定の概要は留意事項の対象となる「健康食品」に明らか食品を追記した。また、健康の保持増進効果の例示を追加。例えば、「アンチエイジング」、「自然免疫力を高める」、「歩行能力改善」などが入った。また、景表法および健康増進法については、「表示」の該当性にかかる留意点を補足。アフィリエイト広告の表示主体性にかかる留意点を補足し、表示された効果と実証された内容が適切に対応していない例示を追記した。景品表示法および健康増進法上問題となる表示例としては、機能性表示食品事後チェック指針の広告パートの考え方を追記し、「健康保持増進効果等」の例示を追記。また、打消し表示にかかる留意点を補足した。違反事例では、景表法改正後の措置命令事例の更新を行う。これらの公表日として、今年12月1日を予定している。

「FOOD STYLE 21」2022年8月号 F’s eyeより


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