“飲み方”の多様性「ソバーキュリアス」はどこまで広がるか?

飲酒できる体質だけど敢えて飲まないことを選択するライフスタイル「ソバーキュリアス」。それは身体的な健康志向に加えて精神的ストレスからも自ら解放し、最大限に自身の可能性を引き出すことを目的とした新しい生き方とも言えます。今回は、ストレスフルな現代でこれを実践する人たち“ソバキュリアン”の実態や目的、メリットについて解説していきます。

飲酒しない自分に好奇心を持つ「ソバーキュリアス」とは?

ソバーキュリアスとは「sober」(酒を飲んでいない、素面)と「curious」(好奇心)を合わせた造語で、体質的には酒を飲めるのに敢えて飲まないことを自ら選択するライフスタイルのこと。その発案者は英国出身のジャーナリスト、ルビー・ウォリントンで彼女自身の体験本『SOBER CURIOUS』(2018年12月発売)では、飲まないことによるメリットや自らの変化、そして飲まない自分が持つ新たな側面に好奇心を持ち楽しむ状況について記しています。日本では、その翻訳版『飲まない生き方 ソバーキュリアス』(方丈社)が2021年10月に発売されました。
元々、欧米のミレニアル世代で流行ったこのスタイルは、最近の日本でもトレンドキーワードとして注目され雑誌やWEB等で広く特集が組まれています。

日本では若者たちを中心に、“ソバキュリアン”が増えている

ソバ―キュリアスを実践する人達のことを“ソバキュリアン”と呼び、欧米ではノンアルコール飲料のみを扱うバー“Sober Bar”も在るほど知られています。対して日本での認知度は低いながらも、昨今の感染症拡大予防に対するアルコールの提供制限などが追い風となって少しずつ関心を集めています。
2021年12月に大手ビールメーカーが行った調査(n=1600)では、ソバーキュリアスを知る人は平均すると全体の3.6%でした。全体的には認知度の低い一方で、一番知る人の多かった世代は20代で5.8%、次いで30代で4.8%と若い世代ほど関心の高いことが分かります。また、飲酒習慣の有無では30代から50代は過半数が“飲む派”であるのに対し、20代だけ“飲まない派”が過半数を占めました。そして全世代で「ソバキュリアン」に該当したのは13.7%と、言葉の周知はさておき既に実践中の人がいるということを示しています。さらにソバーキュリアスの内容に対する賛同する人は、全体の平均が80.6%であったのに対し、20代では84.0%と多くの若者で賛同していることが分かったのです。

ソバーキュリアスは、新たな自分の価値を見つける手段の一つ

身体にとって、飲まない方が健康的だという理由は広く知られています。この健康志向に加えて精神面をより良く保つ“マインドフルネス”における近年のブームも、ソバキュリアンが増える理由の一つかもしれません。
例えば、仕事の関係で仕方なく飲んでいる人にとっては飲酒による集中力の低下や翌日の二日酔いをストレスと感じることもあるでしょう。プライベートでも、場の雰囲気に合わせ気を遣って飲酒している人では潜在的なストレスとなることも。また、飲める人が飲まない選択をすると、なぜか煙たがられるといった思い込みもストレスを生む一因です。
私たちは日々、何かしらのストレスを受けて発生するダメージを修復するために細胞が機能しています。このダメージがなければ、本来のパフォーマンスを余すことなく発揮できるかもしれません。ソバーキュリアスを選択すると、健康面でのメリットに加えてストレスから解放されることによる精神面での安定と、二日酔いのない自分が未知の価値を生み出す可能性を期待しながら新しい日々を迎えることが出来るようになるのです。

「飲み方の多様性」と市場の行方

飲酒はリラックス効果や幸福感、コミュニケーションツールになるといったメリットがある一方で、過剰摂取などにより周囲との衝突や自身のパフォーマンスが低下するといったデメリットがあるのも事実。近年、大手ビールメーカーでは相次いでノンアルコール飲料や0.5%以下の微アルコール飲料を開発し、“責任のある飲酒”や“適正な飲み方”についてアピールしています。
ソバーキュリアスは自ら身体的かつ精神的なストレスから防御することで、新たな自分の価値に好奇心を持ち人生を自分らしく送るという新しい生き方です。今後こうした「飲み方の多様性」に対する意識は高まり、企業においては消費者が自分にとって明確な付加価値を見出すことのできる情報提供を求められることとなるでしょう。
近い将来、ソバキュリアンを対象とする商品がアルコール飲料の市場を上回る日がくるのかもしれません。


ウェルネス総研レポートonline編集部

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