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04認知症コラム

認知症の方が水分不足になりやすい原因は?
予防法や水分摂取量の目安も紹介

2025.11.28

認知症の方が水分不足になりやすい原因は?予防法や水分摂取量の目安も紹介

認知症の高齢者は水分不足に陥りやすいといわれています。この記事では、なぜ認知症の方が水分不足になりやすい原因や、水分不足の予防法についてまとめました。また、水分補給の際の注意点もわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

認知機能と水分不足の関わりとは?

水分不足は認知機能の低下につながる可能性がある

適切に水分補給を行えば認知症の予防や
進行の抑制の効果が期待できる

2018年に実施された研究では、65歳以上の高齢者が断続的に水分不足に陥ると、認知症を発症するリスクが高まることが示唆されました。つまり、水分不足は身体の活動性を低下させるだけでなく、脳の活動性も低下させ、認知機能の低下の原因になる可能性があるといえるのです。

反対にいえば、適度に水分を補給することで、身体・脳の活動を正常に保ちやすくなります。認知症の予防や進行抑制のためにも、適度な水分補給は大切ともいえるでしょう。

※出典:Neurocognitive Disorders and Dehydration in Older Patients: Clinical Experience Supports the Hydromolecular Hypothesis of Dementia

認知機能と水分不足の関わりとは? イメージ

認知症の症状により水分不足になりやすい場合がある

認知症のある方は、症状によって喉の渇きに気づきにくくなったり、水分を摂る意欲が低下したりすることがあります。また、水の飲み方がわからなくなる、飲むタイミングを忘れるといった認知機能の低下も影響し、知らないうちに水分不足に陥るケースも少なくありません。

脱水は体調悪化や症状の進行につながるため、介護する側がこまめに声をかけたり、飲みやすい環境を整えたりすることが大切です。

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認知症の方が水分不足になりやすい4つの原因

認知症の高齢者が水分不足になりやすい原因は、一つではありません。よく指摘される原因を紹介します。

喉が渇く感覚が鈍くなるため

認知症のある高齢者は、喉の渇きや暑さを感じにくくなる傾向があり、身体が水分を必要としていても気づかずに過ごしてしまうことがあります。高齢者はもともと水分不足に陥りやすい傾向があり、認知症のある方ではその傾向がさらに強まり、身体が水分を必要としていても気づきにくくなります。

とくに高温の環境下では、水分補給を忘れがちになり、脱水症状を引き起こすリスクが高まるため、注意が必要です。

衣服の調節ができず汗をかきやすくなるため

認知症になると、その場に応じた服装を選ぶことが困難になる「着衣失行」という症状が見られることがあります。認知症の影響で新しい環境や状況への適応力が低下し、新しい環境や状況への適応力が低下し、このような症状が見られるといわれています。

とくに、夏に重ね着をした場合は、大量に汗をかいて脱水症状が引き起こされることがあるでしょう。

水分補給の重要性が理解できなくなるため

認知症が進行すると、何をいつ、どれくらい飲めばよいのか、なぜ飲まなければならないのかが理解できくなり、水分補給に対して不安や戸惑いを感じるようになります。その結果、飲むことをためらったり、水分摂取を後回しにしてしまったりすることも少なくありません。

また、水分補給のためにキッチンに行くことや後でトイレに行くことを面倒に感じて、意図的に水分摂取を避けることもあるといわれています。

水分補給が困難になるため

認知症の種類によっても、水分補給が困難になる原因が異なります。たとえば、アルツハイマー型認知症の場合、食事や飲水を認識できなくなり、水分を摂取するように勧めても拒否する方も少なくありません。あるいは血管性認知症の場合は、嚥下障害が生じ、水分補給自体が難しくなります。

また、せん妄の症状が出ているときは水分補給がさらに困難です。脱水症状によりせん妄が起こる可能性もあり、せん妄と脱水症状は相互にリスクをもたらしています。

アルツハイマー型認知症について詳しくはこちら
血管性認知症について詳しくはこちら
せん妄について詳しくはこちら

認知症の方の水分摂取量の目安
―摂りすぎは危険?

体重や活動量によっても異なりますが、高齢者は1日あたり1.5Lの水分を摂取することが望ましいとされています。しかし、食事からも水分を摂取しているため、飲み物としての摂取は1L程度が適切です。普段の生活を観察し、個人に合った水分摂取量を見つけましょう。

推奨されている量:1日あたり1.5L

実践したい!認知症の方のための
水分不足の予防法4選

健康を維持するためにも、また、身体機能や認知機能を維持するためにも、適度に水分を摂取することは大切です。認知症の方の水分不足を防ぐアイデアを紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

好みの飲み物を与える 常に近くに飲み物を置いておく ゼリーや寒天を使う 室内環境を整える

実践したい!認知症の方のための水分不足の予防法4選 イメージ

好みの飲み物を与える

水分補給は必ずしも「水」に限られていません。コーヒーや紅茶、牛乳、ジュースなど、好みのドリンクを準備してみましょう。好みの飲み物なら、自発的に飲んでくれるかもしれません。

また、飲み物の温度にも注意を払い、高齢者が進んで飲める状態にしておきましょう。さらに、飲みやすい容器やストローを用意することで、飲む動作への負担を軽減し、水分摂取の促進につながります。

常に近くに飲み物を置いておく

喉の渇きを自覚しなくても、飲み物が目に留まれば水分補給をしようと考えるようになるかもしれません。手に届く範囲に飲み物を置くようにし、定期的な水分摂取を促しましょう。とくに、目立つ色や好みの容器を使うと、視覚的な興味を引きやすくなります。また、出かけるときに水筒を渡し、外出時にも水分補給できるようにしておくこともおすすめです。

ゼリーや寒天を使う

飲み物を飲むことが好きではない場合は、フルーツやゼリー、寒天といった水分が多量に含まれている食べ物で水分補給をするのも一つの方法です。とくに、嚥下障害が見られる場合は、飲み物よりも食べ物のほうが摂取しやすい傾向があります。

また、「水分補給をしなくてはいけない」と義務感を背負わせるよりも、気軽に食べられるものを準備しておく方が、高齢者の精神的な負担を軽減できるでしょう。

室内環境を整える

汗をかくことで体内の水分が奪われます。室内の温度や湿度を調整し、夏場も汗をかきにくい環境を避けるようにしましょう。

熱中症により室内で死亡した高齢者の約9割が、エアコンを使用していなかったとの報告もあります。電気代がもったいない、とエアコンに頼らないようにしたい方も多いと思いますが、大切な命を守るためにも、適切な温度・湿度で過ごすようにしましょう

出典:厚生労働省「高齢者のための熱中症対策

認知症の方の水分補給を
サポートする際のポイント

認知症患者は判断力が衰えていることが多いため、身近な方が水分補給を管理することが望ましいと考えられます。水分不足に陥らないように声がけをするのはもちろんのこと、飲みすぎて水中毒を起こすことがないように目を配るようにしましょう。

また、水分不足に陥らないように環境を整えることも大切です。目に留まる場所にコップやペットボトルを置いたり、室内の温度・湿度を適度に管理して大量に汗をかかないようにしたりと、可能な範囲で工夫しましょう。

認知症の方との接し方・話し方のポイントについて
詳しくはこちら

  • 水分を補給の量や回数を把握し管理する
  • 量を飲ませすぎないようにする
  • 水分補給をしたいと思えるような声かけをする

認知症と水分不足に関するよくある質問

認知症と水分不足に関するよくある質問とその答えをまとめました。ぜひ参考にしてください。

認知症の方が水分補給をする際の注意点はありますか? 水分を摂取すれば認知機能は改善しますか? 高齢になると水分不足に陥りやすいのですか?

Q認知症の方が水分補給をする際の注意点はありますか?

認知症の方は水分不足に陥りやすいため、こまめに水を飲むようにサポートすることが大切です。好きなドリンクを準備したり、目に留まる場所にコップやペットボトルを置いたりしましょう。

Q水分を摂取すれば認知機能は改善しますか?

水分が不足するとせん妄などの意識障害を引き起こすことがありますが、水分を十分に摂取すれば認知機能や意識障害を改善できるというわけではありません。飲みすぎによりかえって水中毒を引き起こすこともあるため、適度な水分摂取を心がけましょう。

Q高齢になると水分不足に陥りやすいのですか?

高齢になると喉の渇きや暑さといった感覚が鈍る傾向にあります。そのため、水分を適度に補給せず、水分不足に陥ることがあります。また、「頻繁にトイレに行きたくない」「飲み物を準備するのが面倒」などの理由で、水分補給を避ける方もいるようです。

こまめな補給で水分不足を回避しよう

認知症の方や高齢者は、喉の渇きを感じにくく、水分不足に陥りがちといわれています。水分が不足すると熱中症になりやすくなるだけでなく、意識障害や認知機能の低下を引き起こすこともあるため注意が必要です。ゼリーやフルーツを準備したり、飲み物を周囲に置いたりといった工夫で、水分不足の回避を目指しましょう。

「認知機能ケアプロジェクト」では、ガンマ波の最新研究情報を配信しています。認知症は決して珍しい病気ではありません。誰もがなり得る病気のため、予防につながる情報を積極的に取り入れるようにしましょう。

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