注目集める「食薬区分」と最近の話題

最近、「食薬区分」が注目を集めている。複数のセミナーや学会で取り上げられている。厚労省が食薬区分リストの改定を進めていることも話題の一つだ。食薬区分判断の照会に関する相談窓口を国立医薬品食品衛生研究所に設置し、照会の申請様式も改訂した。これまでの申請様式はA4用紙1枚であるが、新書式では記載欄が植物・動物等由来のもので11ページ、その他(化学物質等)で10ページとなり、どの程度の深さまで調べれば良いかわかる作りとなっているという。

業界で話題となったフォーラムは、日本薬学会レギュラトリーサイエンス部会が2025年12月24日に開催した、第22回医薬品レギュラトリーサイエンスフォーラム「天然物医薬品と健康食品 ~食薬区分のグレーゾーンとその安全性に注目して~」である。国立衛研のセミナー室が満員の盛況であった。健康食品業界で話題になっている “食薬区分” に関して、天然物医薬品と健康食品についてさまざまな視点の講演と議論が行われた。

会の冒頭、神野透人部会長(名城大薬学部教授)が挨拶した後、実行委員長の伊藤美千穂国立医薬品食品衛生研究所生薬部長が、「天然物医薬品は生薬や漢方薬を指すものだが、世界的にみると特殊な立ち位置にある。多くの国が天然物医薬品は、化学医薬品や生物医薬品と違う分類、違う法律で対応しているのに対し、日本では同じ法律、同じ薬局方で取り組んでいる。このことは世界的にみてとても珍しいという背景がある。今回は健康食品と天然物医薬品についてさまざまな立場から講演していただく」と趣旨説明を行った。講演は5題。「食薬区分の実務について」と題して厚労省監視指導・麻薬対策課の青沼えり氏は、成分本質や食薬リストのほか、効能効果、形状、用法用量を「62通知」で説明するとともに、食薬区分リストにおける植物由来成分の重複や誤認を防ぐために学名や部位情報を追加する見直しを進めていると話した。次に「成分本質の判断基準について、特に毒性学的観点から」では名古屋徳洲会総合病院病理診断科部長の西川秋佳氏が毒性試験や食品中の発がん物質等を説明した後、食薬区分の課題として、非医リストが濃縮自在な健康食品の抜け穴になる可能性や食品と医薬品の複合影響が考慮されていない等健康食品の課題を指摘した。次に日本健康食品規格協会の池田秀子理事長が「健康食品の品質の現在地~歴史的背景、海外制度の比較、そして直面する課題~」と題して登壇し、健康食品の歴史を詳細に振り返り、新規成分の客観的評価の問題点やサプリのGMP問題を訴えた。「最近のグレーゾーン成分本質の研究から」と題して安田女子大学薬学部講師の川上普氏が講演し、例えば食経験がある一方で、薬理作用がある成分はグレーゾーン成分本質と呼び、このグレーゾーンが広がっていると指摘し、正確な化学構造の必要性や科学的根拠によるグレーゾーン成分本質の明確化が求められるとした。「健康食品企業の立場から、機能性表示食品として医薬品でないことを確認するために」と題して健康食品産業協議会の小松美穂氏が登壇、食薬区分に対する事業者の認識、食薬区分の確認とその後のステップのほか、適切に照会ができるよう産業協議会内で周知を促しており、事業者側の課題について解説した。
食薬区分の判断は、厚労省の「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(通称:46通知)に区分の判断基準が定められている。厚労省の「医薬品の成分本質に関するワーキンググループ」(食薬区分WGともいう)で毎年、審議し「医」か「非医」か判断している。長い間、事業者側が申請に漕ぎ付けない医薬品成分もあり、課題はまだ残っている。

「FOOD STYLE 21」2026年2月号 F’s eyeより

関連記事一覧