サプリ定義を食品衛生監視部会で審議へ

日本弁護士連合会がサプリメント法の制定を提唱したことや、関東弁護士会連合会が機能性表示食品制度を廃止する意見書を政府に提出したことを本誌今年9月号で触れているが、サプリメントを法律の中で定義することについて、厚労省の厚生科学審議会食品衛生監視部会で議題「サプリメントに関する規制の在り方」となっていることが、業界で大きな話題となっている。サプリメント法を制定することにより、例えば食品衛生法の中で定義した方がサプリメント法を策定するより、スピード感を持って検討できることから、より規制しやすくなるので行政的には好都合にみえる。業界としてもサプリメントの認知度が上がり、社会的受容が広がる可能性がある。

厚労省は10月23日、第4回厚生科学審議会食品衛生監視部会を開催し、「平成30年食品衛生法改正の施行状況等を踏まえた課題について」をテーマに話し合った。今回は平成30年の改正食品衛生法において施行後5年(令和7年6月)を目途とした検討規定が設けられており、今後、時期的な目途を付けずに審議がまとまるまで検討していく予定だ。議論する事項については、平成30年食品衛生法改正関係として①HACCPによる衛生管理の徹底について②指定成分等含有食品について③食品等の自主回収届出(リコール)制度について、小林製薬事案関係として④サプリメントに関する規制の在り方について(サプリメントの定義、製造管理等のあり方、事業者による健康被害の報告)、その他⑤自動車による飲食店営業(キッチンカー)について等を取り上げて、それぞれの現状や論点を整理し、今後の対応策について議論することとなった。HACCPについては現在、(令和7年9月)、製造・加工90、調理13、販売13、保管1等117業種HACCPの考え方を取り入れた手引書を公開していることや食品衛生管理に関する技術検討会等の現状報告が示された。指定成分等含有食品については現在、コレウス・フォルスコリー、ドオウレン、プエラリア・ミリフィカ、ブラックコホシュの4成分が指定成分となり、毎年健康被害情報の件数等が報告されている。食品のリコール制度については、平成30年食品衛生法の改正前から都道府県等の条例で定められていたものを改正によって平準化および一元化したもので、届出を受けた都道府県知事がCLASS(Ⅰ~Ⅲ)分けし、厚労省に報告し、すべて自主回収届出を厚労省のホームページで閲覧可能となっている。自動車による飲食店営業(キッチンカー)については、都道府県をまたいで移動することを営業許可を含めて論議する。

サプリメントに関する規制のあり方に関しては、昨年5月の関係閣僚会議の報告の中で、「食品業界の実態を踏まえつつ、サプリメントに関する規制のあり方、許可業種や営業許可施設の基準のあり方などについて、必要に応じて検討を進める」と検討課題として取り上げており、これが具現化する。消費者庁でも審議会を立ち上げて並行して議論するものと推測される。消費者庁の関係項目は消費者庁の審議会で議論を行い、適宜報告をし合いながら同監視部会でも議論を進めていく。むしろ消費者庁でサプリメントの定義や製造管理のあり方を議論し、厚労省では事業者による健康被害情報の報告やサプリメントの製造の要許可業種について議論・整理するものと考える。サプリメントの定義の議論が消費者庁の関係項目となれば、食品衛生法ではなく、食品表示法の中で定義されることになるのかどうか、今後見守っていく必要がある。サプリメントを定義することは、健食業界にとってとても大きなことで、業界の重要な転機となるだろう。

「FOOD STYLE 21」2025年12月号 F’s eyeより

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