厚労省の通知改正と健康食品の安全性

小林製薬の紅麹原料事案は、死亡事例が5人(3月29日時点)となり、大きな衝撃が業界内だけでなく日本中に広がっている。原因とみられる「未知の成分」について研究者たちが様々な可能性を論じているが、小林製薬の紅麹サプリ「紅麹コレステヘルプ」が機能性表示食品であったことから、機能性表示食品制度の安全性の良し悪しまで言及する人たちも登場してきた。タイミングの良いこと(悪いこと?)に、厚労省は3月半ばにいわゆる健康食品の健康被害情報の対象範囲を広げる通知改正(平成14年通知)および自主点検の安全性強化の通知改正(平成17年通知)を発出している。

厚労省は3月11日、「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領について」(平成14年通知)を廃止し、13日に新たに「いわゆる『健康食品』・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領について」を食品基準審査課長および監視指導・麻薬対策課長の連名課長通知を発出した。また、11日には「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検および製品設計に関する指針(ガイドライン)」および「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理および品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」を発出した。

健康被害情報の通知改正は、対象範囲をいわゆる健康食品(保健機能食品や指定成分等含有食品も含む)と広げて、健康被害情報の報告の要否の判断の目安にするための厚労省への報告要否確認シートも改良され、収集した健康被害情報をすくい易くし、広く情報を集めることを目的とした。また、保健所が接種者、事業者、医療機関等の関係者に追加調査を行うことを明文化し、健康被害発生時の厚労省の対応についても明らかにした。さらに大切なことは、総合的な見地から成分指定を行うことの明確化である。指定成分への指定は行政裁量でなく、科学的見地に基づき行われることとなった。健康被害情報の初期段階では企業の商品名や内容成分を直ちに発表しないことも新開発食品調査部会で話し合われている。

一方、いわゆる「健康食品」の製造管理・品質管理について、「錠剤、カプセル剤等食品の原材料の安全性に関する自主点検および製品設計に関する指針(ガイドライン)」および「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理および品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」の通知については、前回の通知が「考え方」だったのを、新しいガイドライン(指針)と格上げして作成し、これに沿って、製造管理・品質管理(GMP)を行う。定義された対象食品は「天然物、もしくは天然由来の抽出物を用いて分画、精製、濃縮、乾燥、化学的反応等により本来天然に存在するものと成分割合が異なっているもの又は科学的合成品(以下「天然抽出物等」という)を原材料とする錠剤、カプセル剤、粉末剤、液剤等の形状である加工食品(以下、「錠剤・カプセル剤等食品」という)およびその原材料を対象とする」となり、新たに対象食品が定義されたのは意義深い。また、フローチャートも見直し、より現実的なものにするとともに、原材料の安全性に関する自主点検の考え方を厳正化した。

4月から厚労省の食品衛生基準行政が消費者庁に移管する。今回の通知改正の部分では、健康被害情報は厚労省の食品監視安全課が所管し、製造・加工基準等は消費者庁が所管する。健康食品を含めた食品全般の安全性に関する食品衛生基準作りと、機能性表示食品をはじめとした保健機能食品の機能性の有効性等の表示制度を一元的に所管していくのが、消費者庁となる。食品の “監視行政” は厚労省に残るが、どう連携できるか注視していく必要がある。

「FOOD STYLE 21」2024年4月号 F’s eyeより

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