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04認知症コラム

認知症の薬は飲まない方がいい?
注意点や薬を使わないケアの方法も紹介

2026.03.30

認知症の薬は飲まない方がいい?注意点や薬を使わないケアの方法も紹介 イメージ

「服薬をすると吐き気がする」「薬を飲みたくない」などの理由から、認知症の薬を拒否する方もいます。実際のところ、認知症の薬は飲まない方がいいのでしょうか。この記事では、認知症の薬を服用する際の注意点や薬を使わない認知症ケアの方法について解説します。

そもそも認知症の薬を服用する目的は?

認知症の症状の進行を緩やかにしたり
症状を安定させたりする

認知症と診断された方に処方される薬の多くは、認知症そのものを治すものではありません。

たとえば、近年承認された「レカネマブ」は認知症の進行を抑制する新薬です。他にも、認知症があまり進行していない段階から服用することで、認知機能や生活能力の低下を緩やかにする効果が期待される医薬品が処方されるケースがほとんどでしょう。

アルツハイマー型認知症の新薬「レカネマブ」について
詳しくはこちら

そもそも認知症の薬を服用する目的は? イメージ

従来の認知症の
薬の主な効果と副作用

ここでは、認知症患者に処方されることが多い薬を紹介します。各薬が用いられる認知症の種類や期待される効果、副作用について見ていきましょう。

種類 効果 副作用
アリセプト®(塩酸ドネペジル) 記憶障害の緩和
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 下痢
  • 興奮
  • 幻覚
  • 妄想
レミニール®(ガランタミン) 記憶障害および見当識障害症状の緩和
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 脈の低下
  • 失神(まれに)
イクセロン®パッチ・
リバスタッチ®パッチ(リバスチグミン)
記憶障害の緩和
  • 貼った部位のかゆみ
  • 発疹
  • 頭痛
  • 胸の痛み
メマリー®(メマンチン) 精神の安定
  • めまい
  • 便秘
  • 頭痛
  • 傾眠

アリセプト®(塩酸ドネペジル)

アリセプト®(塩酸ドネペジル)は、神経伝達物質である「アセチルコリン」のの分解を抑えて脳の働きをサポートする医薬品です。アルツハイマー型認知症の初期~中期の患者に処方され、症状の進行を遅らせる効果が期待されます。また、レビー小体型認知症の治療薬としても認可されています。

レミニール®(ガランタミン)

レミニール®(ガランタミン)は、アセチルコリンの働きを高める作用に加え、受容体を活性化する特徴のある医薬品です。軽度および中程度のアルツハイマー型認知症患者に処方されることがあります。

イクセロン®パッチ・
リバスタッチ®パッチ(リバスチグミン)

イクセロン®パッチやリバスタッチ®パッチは皮膚に貼るタイプの薬で、飲み薬が難しい方に処方されることがあります。アリセプト®やレミニール®と同様、アセチルコリンの分解を抑える作用は同じですが、貼り薬のため血中濃度が安定しやすいメリットがあります。主に軽度・中程度のアルツハイマー型認知症患者に処方されます。

認知症の貼り薬について詳しくはこちら

メマリー®(メマンチン)

メマリー®(メマンチン)は、脳の神経細胞を興奮させる神経伝達物質「グルタミン酸」を減少させ、興奮を鎮静化する働きが期待される医薬品です。主に中程度以上のアルツハイマー型認知症患者に適用され、興奮やもの取られ妄想といった介護負担の軽減を目的として処方されます。

認知症の治療薬について詳しくはこちら

認知症の薬を服用する際に
家族が注意すべき4つのこと

薬による効果を得るためには、用法用量に従って正しく服用することが大切です。ここでは、認知症の薬を服用する方の家族が注意すべきポイントについてまとめました。

他の薬や食べ物との飲み合わせを医師に確認する 飲み忘れたときの対処を家族で準備する 副作用が現れたらすぐに医師に連絡する 多剤服用のリスクを薬剤師と管理する

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他の薬や食べ物との飲み合わせを
医師に確認する

認知症の薬を飲むときは、他の薬や食べ物との組み合わせを必ず医師に確認しておくことが大切です。認知症の薬は、ほかの医薬品と相互作用を起こすことがあり、効果が強く出過ぎたり、逆に弱まったりする場合があります。

また、食べ物によって薬の吸収が変わることもあります。高齢者は代謝が低下しているため、わずかな食事量でも影響が出やすい点にも注意が必要です。

具体例
  • 血圧薬・睡眠薬・抗不安薬との併用を確認する
  • グレープフルーツなど相互作用がある食品の摂取を相談する
  • 新しい薬を処方されたら必ず飲み合わせを確認する

飲み忘れたときの対処を家族で準備する

認知症の薬を飲み忘れたときの対応は、家族であらかじめ決めておくことをおすすめします。認知症では記憶障害があるため、飲み忘れが起こりやすく、本人が自己判断で追加服用すると副作用のリスクが高まります。

そのため、家族が「朝食後に1錠」「飲み忘れたら次の時間まで待つ」など、服用ルールを共有しておくことが重要です。事前に対応を決めておくことで、本人の混乱や不安も軽減できます。

具体例
  • 「気づいた時点で1回分だけ飲む」など医師から指示をもらい共有しておく
  • 服薬カレンダーやピルケースを使う
  • 家族間で服薬状況を記録・共有する

副作用が現れたらすぐに医師に連絡する

副作用が疑われる症状が出たときは、すぐに医師へ連絡することが重要です。認知症の薬は、吐き気・興奮・食欲低下などの副作用が出ることがあり、放置すると重症化するおそれがあります。

また、副作用は本人が自覚しにくいことも多いため、家族が変化に気づいて早めに相談することが重要です。気になる症状があれば、迷わず医師に確認しましょう。

具体例
  • 食欲低下・下痢・興奮・不眠などの副作用とみられる症状を記録しておく
  • 症状が続く場合は受診する
  • 新しい薬を始めた直後はとくに注意して観察する

多剤服用のリスクを薬剤師と管理する

複数の薬を服用している場合は、薬剤師と一緒に管理することがとても重要です。薬の種類や数が増えるほど、相互作用や副作用のリスクが高まり、効果が強く出すぎたり弱まったりすることがあります。

そのため、一度すべての薬を薬剤師に見せて、重複処方や危険な組み合わせがないか確認してもらいましょう。

具体例
  • お薬手帳を必ず持参して一元管理する
  • 薬剤師に「全部の薬を見直したい」と相談してみる
  • 不要な薬がないか定期的にチェックしてもらう

認知症の薬を飲まない方がいいケース

医師に処方された医薬品は、原則として全て用法用量に従って服用することが必要です。しかし、場合によっては飲まない方がいいケースもあります。主なケースを見ていきましょう。

副作用が重く継続困難な場合 基礎疾患の悪化で薬が使えなくなった場合 多剤服用が原因で副作用や体調悪化が生じ
薬の継続が安全でなくなった場合
本人の意思で飲むことを拒否した場合

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副作用が重く継続困難な場合

副作用が強く出ている場合は、無理に飲み続けず、早めに医師へ相談することが大切です。認知症の薬は、吐き気・下痢・興奮・食欲不振などの副作用が出ることがあり、症状が続くと日常生活に支障が出ることがあります。一度服用を中止して症状が改善する場合は、薬による副作用の可能性が高いと考えられます。

さらに、幻覚・妄想・不整脈などの強い症状が現れた場合は、服用を続けるよりも安全の確保が優先されます。すぐに医師へ連絡し、薬の調整や別の薬への切り替えについて相談しましょう。

基礎疾患の悪化で薬が使えなくなった場合

基礎疾患が悪化している場合は、認知症の薬の服用よりも、まず基礎疾患の管理を優先することが大切です。心疾患・不整脈・胃腸障害などがあると、認知症薬によって症状が悪化する可能性があります。

また、認知症の進行度によっては薬の効果が得られにくくなることもあります。さらに、高齢になると薬の代謝能力が低下し、副作用のリスクが高まるのが自然です。そのため、医師が安全性を考慮して薬の中止を判断するケースもあります。

多剤服用が原因で副作用や体調悪化が生じ
薬の継続が安全でなくなった場合

複数の薬を服用している場合、副作用や相互作用のリスクが高まるため、認知症の薬の継続が安全でないと判断されることがあります。高齢者は複数の病気を抱えていることが多く、薬の種類や数が増えるほど体調への影響も大きくなります。

また、認知症の薬が他の薬の作用に影響したり、逆に他の薬が認知症薬の効果を妨げたりすることもあります。そのため、服用中の薬全体のバランスを見直すことが重要です。さらに、薬を減らすことで、転倒・混乱・食欲低下などのリスクを抑えられる場合もあります。

本人の意思で飲むことを拒否した場合

本人が強く服薬を拒否する場合は、無理に飲ませず、まずは理由を理解しながら医師と対応を相談することが大切です。認知症の方の中には、「薬の必要性が分からない」「毒だと思う」などの理由で服薬を拒むことがあります。

無理に飲ませようとすると、誤嚥や恐怖心の増大、介護者への不信感につながることがあります。そのため、本人の意思を尊重しつつ、薬の必要性を丁寧に説明したり、代替手段を医師と検討したりすることが必要です。

薬を使用しない認知症のケア方法

薬以外にも認知症をケアする方法はいくつかあります。主な方法について見ていきましょう。

認知機能を保つトレーニング

計算や書き取りなどの簡単な課題に取り組むことは、認知機能の維持に役立ちます。こうした課題は脳の注意力を刺激し、処理速度や残存機能の働きを引き出す効果が期待できます。

反復的な刺激は脳の活性化につながり、日中の活動性を保つ助けにもなるでしょう。また、達成感を得られる課題を選ぶことで、意欲の低下を防ぎやすくなります。

具体例
  • 計算問題・間違い探し・パズル
  • 新聞の音読や簡単な書き取り
  • カードゲームや指先を使う作業

昔の思い出を引き出す回想法

過去の思い出を語る回想法は、安心感や肯定的な感情を引き出しやすいケア方法です。最近の出来事は曖昧でも、昔の記憶は比較的保たれていることが多く、思い出を振り返ることで心が落ち着きやすくなります。

感情が動くことで脳の働きが活性化し、コミュニケーションのきっかけにもなります。さらに、人生を振り返ることで「自分らしさ」を再確認でき、混乱や不安の軽減にもつながるでしょう。

具体例
  • 昔の写真アルバムを一緒に見る
  • 子どもの頃の遊びや仕事の話を聞く
  • 昔の歌や流行を話題にする

音楽で気持ちを落ち着ける音楽療法

音楽療法は、興奮や不安などの心理症状を和らげ、気持ちを落ち着ける効果が期待できます。音楽は情動に直接働きかけ、歌唱やリズム運動を通して複数の脳領域を同時に刺激します。そのため、認知機能の維持にも良い影響を与えるとされています。

また、好きな音楽を聴くことで緊張がほぐれ、生活の質の向上にもつながります。さらに、日常の中に音楽を取り入れることで、心身の安定をサポートできるでしょう。

認知症の音楽療法について詳しくはこちら

具体例
  • 本人が好きだった曲を流す
  • 一緒に歌う・手拍子をする
  • リズムに合わせて体を軽く動かす

体を動かして元気にする運動療法

適度な運動は、脳の血流を改善し、認知機能の維持に役立ちます。日中の活動量が増えることで生活リズムが整い、睡眠の質の向上も期待できます。

運動によって達成感が得られると、自信や前向きな気持ちが生まれやすくなります。その結果、抑うつや不安といった心理症状の軽減にもつながる可能性もあるでしょう。

具体例
  • 散歩
  • 軽いストレッチ
  • 椅子に座ったままできる体操
  • ボール渡しやタオル体操などの簡単な運動

趣味活動で脳を刺激する園芸・芸術療法

園芸や芸術活動は、複数の感覚や動作を同時に使うため、脳の活性化に効果的です。「好きなこと」や「得意なこと」に取り組むことで継続しやすく、自己肯定感の向上にもつながります。

また、作業に集中する時間は、不安や混乱などのネガティブな状態を和らげる助けにもなります。生活の質を高めるためのケアとして、趣味活動は有効な選択肢です。

認知症の作業療法について詳しくはこちら

具体例
  • 植物の水やり
  • 簡単なガーデニング
  • 塗り絵
  • 折り紙
  • 工作
  • 絵を描く
  • 粘土細工などの創作活動

認知症の薬は飲まない方がいいかに
関するよくある質問

原則として、医師が処方した医薬品は用法用量に従って服用することが必要です。しかし、場合によっては飲まない方がいいと判断されることもあります。認知症薬に関するよくある質問とその答えを見ていきましょう。

Q認知症の薬を飲まないとどうなりますか?

認知症の薬を飲まない場合、症状そのものは自然に進行していきますが、すぐに急激な悪化が起こるとは限りません。ただし、薬には「進行をゆるやかにする効果」が期待されるため、服用しない場合、記憶障害や判断力の低下などが早く進む可能性があります。

Q認知症の薬を飲むと症状はどれくらい良くなりますか?

認知症の薬の効果には個人差があるため、効果については一概には言えません。また、服薬を始めるタイミングや薬の種類などによっても異なります。

Q薬を自分や家族の判断で止めてもいいですか?

重篤な副作用が生じる場合は、すぐに服用を中止することが必要です。しかし、服用を中止した後になるべく早く医師に相談し、今後の治療方針について確認しておきましょう。

薬が合っているのか定期的にチェックしよう

認知症の薬には、認知症の症状の進行を抑制する効果が期待できるものも少なくありません。しかし、副作用が生じる可能性もあるため、服用中もこまめに体調をチェックすることが必要です。重篤な副作用が出るときは、一旦服用を止め、医師に相談するようにしましょう。勝手に服用を中止すると、さまざまな危険性を引き起こす可能性があります。

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