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04認知症コラム

認知症疾患医療センターとは?
主な役割や探し方についても解説

2026.02.27

認知症疾患医療センターとは?主な役割や探し方についても解説 イメージ

認知症の治療において、地域で重要な役割を担っているのが「認知症疾患医療センター」です。この記事では、認知症疾患医療センターについてその役割と、どのようなときに受診・相談すべきなのか、具体的な利用方法などを紹介します。最近認知症が気になっている方や、どこに受診・相談すればよいか分からない、という方はぜひご覧ください。

認知症疾患医療センターとは?

認知症の鑑別診断とその他の初期対応、合併症の行動・心理症状への対応、専門医療相談などを行うほかに、
地域の認知症医療連携体制を構築する拠点となる医療機関のこと

認知症疾患医療センターとは? イメージ

認知症疾患医療センターは、都道府県・指定都市が指定する認知症専門の医療機関のことを指します。認知症の鑑別診断をはじめ、認知症の周辺症状であるBPSDへの対応や専門医療スタッフによる相談、地域連携を担う中核拠点としての役割を持っています。

平成20年から設置が進められ、令和7年11月現在では全国に514カ所設置されており、ほとんどの地域で利用可能なものとなっています。

設置された背景と目的

認知症疾患医療センターの設置背景は、2025年に認知症患者が約700万人と推計されていたことと、症状のある方が住み慣れた地域で安心して暮らせるための医療介護連携の必要性でした。
2008年の「認知症施策大綱」以降、全国514カ所(2025年11月時点)に拡大し、地域包括ケアシステムの中核として整備が進められています。

参考:厚生労働省「認知症疾患医療センター(概要) 参考:厚生労働省「認知症疾患医療センターと地域包括支援センター等の
連携等について(依頼)

認知症について詳しくはこちら
認知症の周辺症状(BPSD)について詳しくはこちら

認知症疾患医療センターの3つの分類

認知症疾患医療センターは、記の3つのタイプに分類されています。それぞれの詳しい特徴や役割について以下に紹介します。

分類 特徴 主な役割
基幹型 大学病院や総合病院に
設置されることが多い
精密検査や入院治療
など高度医療を提供
地域型 精神科病院や地域の
拠点病院に設置される
精神科病院や地域の
拠点病院に設置される
連携型 診療所やクリニックに
設置される
初期対応や相談を行い、
必要に応じて基幹型へつなぐ

基幹型

基幹型認知症疾患医療センターは、主に大学病院や総合病院に設置されます。地域型・連携型認知症疾患医療センターからの紹介を受けるケースが多く、地域全体の診療ネットワークにおいて中心的な役割を持っています。

基幹型は、標準化された診療モデルを地域に広げるだけでなく、先進的な診断機器や専門知識を生かして高度な医療を提供しています。そのうえで、研究や人材育成の中心としても機能している点が特徴です。

地域型

地域型認知症疾患医療センターは精神科病院や総合病院に設置されることが多いです。住民に近い立場で相談を受けるため、日常生活に密着した支援につながりやすく、地域特性に応じた柔軟な対応ができる特徴があります。地域包括支援センターや介護事業者との連携が強いため、生活支援のハブとしての機能を持ちます。

また、患者さまの状態に応じて基幹型との橋渡し役を担うのも地域型の役割の一つです。

地域包括支援センターについて詳しくはこちら

連携型

連携型認知症疾患医療センターは診療所やクリニックに設置されることが多いです。連携型は初期段階で相談できる身近な相談窓口として認知症を持つ本人や家族がアクセスしやすく、地域住民の「最初の一歩」を支える役割を持っています。

また連携型では、患者さまの必要に応じ他タイプの認知症疾患医療センターへ速やかに紹介することで、医療資源の効率的な活用にも貢献しています。

認知症疾患医療センターの主な役割

認知症疾患医療センターには、主に下記のような役割があります。具体的な内容について、以下で詳しく見ていきましょう。

専門的な相談窓口 認知症が原因で突然起こる
行動や体調変化への支援
専門医による鑑別診断 関係機関との連携 研修会・講演会の実施

専門的な相談窓口

認知症疾患医療センターには、認知症に関する不安や疑問を専門知識が豊富なスタッフに相談できる場所としての役割があります。

相談は本人だけでなく家族も可能です。「親が認知症かもしれない」「介護をする中で生活上の困りごとがある」といった相談にも対応してくれます。そのため、「どこに相談すればいいかわからない」という方がまず頼れる場所です。

認知症が原因で突然起こる行動や体調変化への支援

認知症疾患医療センターは、認知症の方が突然「不安」「興奮」「徘徊」になっても、すぐに医師が対応できる緊急の医療拠点です。

夜間や休日でも看護師と医師が待機しており、転倒や感染などの体調急変を見逃しません。症状が変わっても、すぐに入院や施設連携が可能で、本人と家族の負担をできるだけ減らします。このような急な変化に、最寄りで頼れる支えとして機能しています。

徘徊について詳しくはこちら

専門医による鑑別診断

認知症疾患医療センターでは、認知症かどうかを正しく見極めるため、専門医が検査や診察を行います。

認知症である場合には、アルツハイマー型やレビー小体型など、詳しい認知症の種類を診断し、その結果をもとに今後の治療や生活支援の方向性を決めていきます。物忘れの症状があっても必ずしも認知症とは限らないため、その他の疾患との鑑別も慎重に行われます。

認知症の代表的な種類について詳しくはこちら

関係機関との連携

認知症疾患医療センターは認知症の方の生活を支えるため、関係機関と連携し医療と介護の橋渡しをする役割を果たします。医療機関同士で連携をとることはもちろんですが、必要に応じて介護サービスや地域包括支援センターとも情報を共有していきます。

こうした連携を通じて、医療と介護の情報が途切れないよう調整する役割を担っています。

研修会・講演会の実施

認知症疾患医療センターは地域住民や介護者に向けて、認知症に関する正しい知識を広める活動も行っています。

具体的には、医療・介護従事者には定期的に研修を行い、より良い支援につながる知識を届けています。また、地域住民には講演会などを通して認知症への理解を深めてもらい、地域で支え合う土台づくりを進めています。

いつ相談すべき?認知症疾患医療センターを利用するかの判断基準

認知症は本人では気づきにくいことも多く、家族の違和感は重要な兆候です。記のような症状がみられたら、認知症疾患医療センターに相談されることをおすすめします。

もの忘れは「年のせい」「気のせい」と放置せず、専門家の判断を仰ぐことが大切です。かかりつけ医で「認知症の可能性」を指摘された場合も、詳しい検査を受けるために認知症疾患医療センターの受診が推奨されます。

認知症が疑われる方を病院に連れていく方法について
詳しくはこちら

こんな症状が出たら相談のサイン
  • もの忘れが増え、日常生活に支障が出始めた
    (約束を忘れる、何度も同じことを聞く)
  • 時間や場所が分からなくなることがある
  • 料理や家事など慣れた作業ができなくなった
  • 性格が変わった、怒りっぽくなった
  • 財布や鍵をしょっちゅう探している
  • 会話の内容が理解できなくなってきた

利用できる認知症疾患医療センターの探し方

お住まいの近くで利用できる認知症疾患医療センターを探すには、記のような方法があります。探しやすい方法を利用して確認してみましょう。

厚生労働省や地方自治体のサイトで検索する

厚生労働省のホームページには「認知症疾患医療センター一覧」が掲載されています。 また、地方自治体のサイトでは住所や電話番号、診療科目などの基本情報も一緒に確認できるため、初めて医療機関を探す人にとって便利です。インターネットで探せば、最新情報が更新されやすいため、最新の設置状況を把握しやすいでしょう。

参考:厚生労働省「 認知症疾患医療センターの整備状況について(令和7年11月現在)

かかりつけ医に相談し紹介状を依頼する

かかりつけ医に相談することで、本人の状態を踏まえた適切なセンターを紹介してもらえることがあります。普段の診察で気軽に相談できるメリットに加え、紹介状があることで認知症疾患医療センターでの受診がスムーズになり、診断や検査の流れも整いやすいのでおすすめです。

地域包括支援センターに問い合わせる

域包括支援センターに問い合わせると、医療機関だけでなく介護サービスや福祉制度とのつながりも紹介してもらえます。地域包括支援センターは高齢者支援の総合窓口として、認知症に関する相談も受け付けているため、最初の相談先として利用しやすい窓口です。

利用できる認知症疾患医療センターの探し方 イメージ

認知症疾患医療センターに関する気になるQ&A

認知症疾患医療センターについて、よく聞かれる質問とその回答を以下に短くまとめています。認知症での通院先をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。

認知症疾患医療センターと一般の病院との違いは何ですか? 認知症疾患医療センターを受診するにはどうすればよいですか? 認知症疾患医療センターを利用する費用はどのくらいかかりますか?

Q認知症疾患医療センターと一般の病院との
違いは何ですか?

認知症疾患医療センターには職員の人員配置や検査体制などに施設基準があります。類型によって基準は異なりますが、具体的には専門医や臨床心理技術者など専門職員の配置やBPSD・合併症対応のための空床確保などがあります。

Q認知症疾患医療センターを受診するには
どうすればよいですか?

かかりつけ医がいる方は、事前にかかりつけ医から紹介状をもらうことをおすすめします。かかりつけ医がない方は地域包括支援センターまたは認知症疾患医療センターに相談するとよいです。また、受診の際は家族や関係者などと一緒に受診しましょう。

Q認知症疾患医療センターを利用する費用は
どのくらいかかりますか?

受診費用は受ける検査の内容や医療費の自己負担割合によって異なります。3割負担の場合で、簡単な検査であれば数千円~、画像検査なども含めると1万円以上かかると思っておくとよいでしょう。

また、受診する医療機関によっては紹介所なしで受診した場合に別途1万円程度の選定療養費の負担が必要になります。

認知症を疑ったら認知症疾患医療センターを受診しよう

認知症疾患医療センターは全国にあり、認知症に関連する事項の相談から病院の受け入れ支援まで幅広くサポートしてくれる医療機関です。詳しい診断と専門職員による手厚い支援が受けられるため、認知症が疑われる場合には、介護側の負担を軽減させるためにもまずは認知症疾患医療センターを受診するのがおすすめです。

「認知機能ケアプロジェクト」では認知症の方に役立つ情報を発信するとともに、ガンマ波と認知症に関する最新の研究情報を配信しています。大切なご家族といきいきした毎日を過ごすため、認知症に関する正しい知識を得ることが重要です。認知症が気になっている方は、ぜひチェックしてみてください。

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